中足骨骨頭痛(ちゅうそつこつこっとうつう)
「私のじゃないんだけど、靴を探しているのですが・・・」と言ってご来店されたご婦人。
「どんな靴を探していらっしゃるんですか?・・・」と私。
「ちょっと特殊な足なので、普通の靴ではうまく歩けないみたいなんで・・・。」とご婦人。
「というと、どんな足の状態なんですか?」と私。
「実は脳梗塞で左に麻痺がありまして・・・。」とご婦人。
「なるほど、そうであれば御本人様の麻痺の度合いや足の状態を詳しく調べた上で、場合によっては靴を調整加工してご提供させて頂くということになるかと思いますが・・・。」と私。
「やはり本人が来ないとダメですよね・・・。」とご婦人。
「合わせるべきはご本人の足ですからねえ・・・。」と私。
「それじゃあ、これから帰って本人が了承したら連れてきてもいいですか?」とご婦人。
「それはいいですけど、何時頃になりますか?」と私。
「たぶん夕方の4時頃になると思います。」とご婦人。
「分かりました。では、お待ちしています。」と私。
夕方、4時少し前にご来店されたのは、先ほどご来店されたご婦人のお母様ということでした。
左足には病院で処方されたという足首を支えるアンクルブレースが装着されています。
履かれていた靴は、なんとスリップオンタイプの運動靴でした。
これでは足元が安定せずに爪先が突っかかって歩き辛いはずです。
早速、「足のカウンセリング」を始めました。
多くの片麻痺の方がそうであるように、この方も麻痺によって左足のカカトが少し持ち上がり、足首が体の外側に倒れこんでいました。
これは、病院で処方されたアンクルブレースにも手を加えなければなりません。
土踏まずを支えた上で足首が外側に倒れ難くなるように足の外側を支え、少しカカトを持ち上げるようなヒール加工を施しました。
これで室内でも安定感が増して快適に過ごせるはずです。
早速、靴を履かずに歩いて頂きました。
「あら、シャンとして歩けるようだわ・・・」とお母様。
「お母さん、今までよりもキチンと歩いているわよ。」と娘さん。
「とりあえず、室内はこれで少しは楽に過ごせるはずです。」と私。
次にいよいよ健康靴の出番です。
爪先が引っかからずに足首を安定させるため、ロッカーソールのアンクルブーツを選択しました。
左足はアンクルブレースを装着したまま履いて頂けるようにフットベッドを取り外し、右足には簡単なアーチ補正を加工したフットベッドを入れて履いて頂きました。
「わあ、なんだか普通に歩けるみたい。」とお母様。
「お母さん、スイスイ歩いてるわよ。」と娘さん。
「今まで、散々苦労して靴を探してはこれもダメ、あれもダメと買い替えてきたんですよ・・・。こんなにすぐに合う靴を作って貰えるなんて思ってもみなかった・・・。」と娘さん。
早速、出来上がったばかりの健康靴を履いて、母娘はお帰りになりました。
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