高齢者と健康靴

足の浮腫みに悩むお母様を心配された娘さんが、お母様をお連れになってご来店されました。
足首がかなり浮腫んでいるお母様。
娘さんから、歩くのは苦手であるとお聞きしました。

お母様が履いていらっしゃるのは、某有名国産靴メーカーのコンフォートシューズでした。
つま先が華奢なデザインの紐靴でしたが、靴の足首周りから浮腫んだ足首が溢れ出ているように見えます。

娘さんと相談した結果、「足のカウンセリング」はせず、簡単な見立てで健康靴を選ぶ事にしました。
ところが、このお母様にとって、健康靴のデザインはどれもお気に召さないようなのです。
「重い、恰好が悪い、ドレスに合わない、パーティに履いていけない・・・」等々と不満を口にされました。
８０歳代を超えてもなお、デザインが気になるようです。
足の健康や体の安定性を考慮した靴の選択が、ご本人にとって押し付けられたように感じるのでは、結果的に履いて頂けないかもしれません。

諦めかけたところで、今履いていらっしゃる既製靴のデザインに近いレースアップの健康靴を履いて頂きました。
「歩きにくい、足先が遊んでいるから綿を詰めたくなる、踵が深くて気持ち悪い・・・」等々散々な評価です。
娘さんが一生懸命に説得されています・・・。
「お母さん、似合っていますよ・・・。ふらつかないで歩けてますよ・・・。」

椅子に座ったり歩いたりを5分ぐらい繰り返しているうちに、「なんだか慣れてきたみたい・・・。」とお母様。
「この靴なら良いみたいだよ・・・」と言ってくれました。

そこですかさず、履いてきた既製靴に履き替えて頂き、再び歩いてもらいました。
「あら・・・・。」と言って笑顔のお母様。
「何だか指が詰まってきつい靴だね・・・。」と一言。

ようやく健康靴に履き替える決心がついたようです。
娘さんも喜んでいらっしゃいます。
私も嬉しい気持ちとホッとした気持ちでいっぱいになりました。

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