エスカレーターでは「歩いてはいけない」のが正しい・・・?

小黒健二

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テーマ:よもやま話

メーカーによれば、エスカレーターの安全規定は、そもそも歩く事を前提にしていないのだそうです。
エスカレーターを歩くのは、「目的外使用」にあたる危険行為なのだそうです・・・。

しかし現実には、エスカレーターの右側(関西は左側)を歩行者のために空けるのがマナーになっているようなところがあります。
いつの間にか、そんな誤った常識?がマナーとして定着しているのだと言うのです。
そして、一旦定着してしまった「常識」を変えるのは大変難しい事のようです・・・。

神奈川県川崎市は、JR川崎駅東西自由通路のエスカレーター上り口・下り口付近で、チラシやプラカードなどで「エスカレーターでは歩かず、立ち止まって利用する」ことを呼びかけているそうですが、歩行する人はなかなか減らないのが実態らしいです。
いっそのこと、公共広告機構(AC)を利用した全国的なTVキャンペーンでも行わないと、利用者間での摩擦やトラブルが起きてしまわないかと心配です。
通勤、通学による時間との勝負をして急いでいるような多くの人々に周知徹底するには、そうとう強力な告知努力が必要なはずです。
私も、急いでいる時には、ついつい空いている右側を歩いてしまいますから・・・。
もしもラッシュ時に右側に正しく立ち止まって利用していたら、恐らく、時間に追われ急いで歩こうとする人達から疎ましく思われる事でしょう。

それにしても、長年に亘り危険行為として告知せず、事実上黙認していたような管理者側が、エスカレーターによる事故の多発を受けて、急に「歩いてはいけない」と建前を持ち出してきたような唐突な印象すらあります。
一般の利用者の間に定着してしまった誤った常識?を正すためには、もっともっと大々的に周知徹底を図らなければ、利用者間での感情的なトラブルが多発する事態になるのではないかと危惧しています。

「時間が無い! 急いでいるんだ! 間に合わない!」と時間に追い立てられ、我先に進もうと必死になるラッシュアワー時の人間心理・・・。
満員電車の乗車率にしても、駅の混雑にしても、大量に一気に移動を強いられるからこそ発生するという現実があります。

そして、そんな環境で自然発生的に定着してしまったエスカレーターの右側(関西は左側)を歩くという行為・・・。
なぜ、通勤、通学の時間帯が集中するという社会システム自体を見直し、調整する事が出来ないのでしょうか?
「フレックスタイム」や「時間差通勤・通学」等のアイデアが論じられても、それを実行する事が出来ないのは、どうしてなのでしょうか?
何か根本的なことは置き忘れたまま、今更の様に「危険行為」として指摘され、使用する側のマナーやモラルに訴えかけられると、何となく論点がすり替えられているような気がしてしまうのは、私だけでしょうか・・・?

*このコラムを公開して、読者の方から丁重なメールをいただきました。
世界中で「片側は空けて片側を歩く人用にする」事がルールになっているとのご指摘でした。
また、「本来歩くものではない」と言っているのは日本のメーカーだけという事でした。
いろいろな角度から慎重に検討されるべき問題だと改めて感じています。
ご指摘やご意見、ありがとうございました。


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