市販の「外反母趾に優しい靴」をご持参頂いた御婦人

小黒健二

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テーマ:足と靴

巷では、「外反母趾に優しい靴」と謳われている靴がたくさんあります。
多くの場合、親指の付け根の痛みを和らげるために「幅広」であったり、素材の柔らかさや足ざわりのソフトな点を特徴としています。
先日、「足のカウンセリング」のご予約を頂いた御婦人も、そんな「外反母趾に優しい靴」をご持参下さいました。

「この靴、買ったばかりなんですが、なんとかならないでしょうか?」と御婦人。
バッグから取り出されたのは、親指と小指の付け根のところが伸び縮みする素材で出来たローヒールのパンプスでした。

「うーん、まあ、少しは楽になったような気がするという程度の加工でしたら出来るでしょうが、やっぱり足が痛くなってくると思いますよ。それでもかまわないと割り切って頂けるなら、お引き受けしますが・・・。」と私。
「そう・・・、あんまり期待しちゃいけないって事なのね・・・。」と御婦人。
「結局、根本的に足に負担を掛けないように設計されている靴ではなくて、あくまでもパンプスというデザインの枠の中で、外反母趾による親指の付け根の痛みを和らげる工夫を施しましたという靴なんですよ。
ですから、外反母趾の原因である筋力の低下や骨格の歪みをサポートするという構造にはなっていないので、一旦痛みが軽減されたとしても、症状が一段と悪化すれば、また痛みが襲ってくる事になるんですよ・・・。」と説明する私。
「確かに買ったばかりの時は、今まで購入した靴の中で、一番痛くなく履けると思ってたんだけど、暫く履いていると、やっぱりまた痛みが出てくるのよね・・・。」と御婦人。
「そうなんですよ。その原因は、幅が広く、柔らかく出来ているのに、つま先がスリムになっているというパンプス独特のデザインにあるのですよ・・・。」と私。
ちょっと難しい話になりますが、幅が広くてつま先がスリムな靴ほど、外反母趾を悪化させるというメカニズムをご説明しましょう・・・。

そもそも外反母趾の原因は、足の指先をつま先のスリムな靴で閉じ込めて動けなくすることにあります。

閉じ込められ動けなくなった指先は、指先が踏ん張って足首や体を支え、バランスを取るための筋肉が使われなくなることで、足指の筋力を低下させてしまいます。
足の指先が動けないのですから、いくら歩いても足の指先の筋力は使われないまま歩行している訳です。
すると、足の指先を動かす筋肉群が支え、指先を動かすのに必要な足の横アーチ構造までもが潰れてしまいます。

足の横アーチが潰れると、足の親指と小指の付け根の幅が広がってしまい、幅広で厚みのない横幅の足になってしまいます。
けれども、足の指先は細い靴のつま先で閉じ込められたままなので、指の付け根までの骨(中足骨)と指先の骨が関節で「くの字」のように曲がり始め、やがて大きな角度が生じてしまいます。
親指は外反母趾に、そして小指は内反小趾になってしまうのです・・・。

もう、お分かりでしょうか・・・?。
従って、幅が広くてつま先がスリムな靴を履き続けると、返って外反母趾が悪化する結果になるのです・・・。

「足と靴の相談室」ロビンフット長津田 http://www.robinfoot.co.jp/
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小黒健二(シューフィッター)

有限会社ロビンフット

足のトラブルの原因は様々ですが、病気や事故が原因でなければ、多くの場合が生活習慣による足の筋力の低下によるものです。「足のカウンセリング」は、生活習慣の見直しと運動による自己管理もアドバイスします。

小黒健二プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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