コラム
腓骨遠位端裂離骨折で短下肢装具をしている男性
2012年6月7日 公開 / 2014年7月17日更新
若い頃に空手が得意だったという80歳の男性。
その空手が原因で、外くるぶしにあたる腓骨遠位端裂離骨折になり、右足首が体の外側に倒れてしまっています。
有名な大学病院で作った短下肢装具を右足に装着して、マジックベルトの運動靴を履いてご来店されました。
左手で杖を付いていらっしゃいます。
「家の近所の整形外科の先生に靴の事を相談したら、○○○マートで探したらいいよ。と言われたんだけど、履ける靴がないんだよね。」と男性。
「それは無理でしょうね・・・。装具をしたまま履ける既成靴を靴のチェーン店で探すのは至難の業ですよ。」と私。
「そうなんだよ。それで仕方がないから自分で安いスニーカーを買ってきて、なんとか履けるように工夫したんだ。」と男性。
確かに男性の履いて来たスニーカーは右のマジックベルトを切って縫い直して長さを延長し、装具をしたままでも履けるように工夫してありました。
「ご自分で出来る限りの工夫をして靴を履かなくてはならないなんて、ちょっと悲しい事ですねえ・・・。」と私。
「それで、靴の専門家の話を聞いてみようと思って来たんだよ・・・。」と男性。
「私から見ると、まずその短下肢装具があまり効果を発揮していないように思います。
それにスニーカーを選んだ事で、靴が体重に負けて外側に捩れてしまって、装具を支えることが出来ていません。
結局、装具も靴もうまく右足首を支える事が出来ないまま、杖に頼って歩かれているのが現状だと思います。」と私。
「どうしたら良いのかなあ・・・。」と男性。
早速、テストシューズを仕立てて履いてもらう事にしました。
右足に装着している短下肢装具に手を加え、足首が外側に倒れないように簡単なサポートを加えてみます。
左足にもサポートを加え、試しに履いて歩いてもらいました。
「あれ? なんだ? ちゃんと歩けるようになったね・・・。」と不思議がる男性。
「ちょっと装具にも手直しをしましたが、靴底がしっかりした靴で足を支え直すと、体が安定して軽快に歩けるようになるでしょ。」と私。
「そうだね・・・。なんだこんな事で良いんだ・・・。」と男性。
「いやいや、今は簡単にサポートを加えただけで、ちゃんと足に合わせて作った訳ではありませんよ。」と私。
「でも、ずいぶん歩きやすくなったよ・・・。」と男性。
それから40分後、出来上がったばかりの健康靴を履いて、男性はお帰りになりました。
「足と靴の相談室」ロビンフット長津田 http://www.robinfoot.co.jp/
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