人工関節置換手術、関節の固定手術と健康靴との関係

小黒健二

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テーマ:足と靴

股関節や膝関節、足首の関節等の障害で人工関節へ置換する手術や関節の固定手術を受けられた場合、脚の長さの違いや関節の動きを固定されてしまうことから歩容(歩き方)が変化して、新たな骨格の歪みや動きをカバーすることによる筋肉痛などに悩まされる方がおられます。
その中には、整体や整骨院に通われて、その都度痛みを揉み解したり、強張った筋をストレッチしてもらったり、電気治療を受けられている方が大勢いらっしゃいます。
健康靴で骨格の歪みの基である体のバランスや関節の動きをサポートすることが出来る場合が多いにも関わらず、そういった「健康靴の効用」を知らないままで悩んでいる方が多いようです。

当相談室には、長年そうした悩みを解消できずにおられた方が、たまたま病院の待合室で当相談室で健康靴を作ったお客様の話を聞いて訪ねてこられたり、通われていた整体院や整骨院のご紹介で来店されるケースがあります。
また、元々当相談室で健康靴をお作り頂いていた方が、新たに手術を受けられた結果、脚の長さが変わったり、関節の動きが変化して今までの健康靴では合わなくなるという事も起こります。
そんな場合は、既にお作りした健康靴に新たなサポートを加えて変化に対応させるのですが、変化の度合いによっては、健康靴自体を新しく作り直した方が良いケースもあります。
しかし、新たに掛かるコストとの関係で、そんなに簡単に新しい健康靴を勧められる訳ではありません。

5月に入ってから、関節の障害で手術を受けられた方々のご来店が多かったせいで、なんとなく関節の手術と靴との関係が意識されるようになっています。
本日もそうした方々のご来店が続きました。
不思議な事に、同じようなケースが集中する事があるんですね・・・。

お一人は、元々当相談室で健康靴をお作り頂いていた御婦人が、膝関節の人工関節置換術を受けられて、脚の長さの違いが大きくなったために起きた腰痛に対応するためでした。
この御婦人は元々右足に障害をお持ちで、右足の靴に補高(脚の長さを補う加工)をしていたのですが、手術の結果、さらに左脚が長くなってしまったために、右足に新たに補高を加えなければなりませんでした。
ところが、新たに補高を加えると、今まで以上に踵だけを持ち上げるのでハイヒールを履いたようになり、負担が強くなって踵の外側の脇に角質が出来て痛み出してしまいました。
かといって、高さを補わなければ腰痛に悩み続けることになってしまいます。
先日から何回か手直しを続けて、現状での落としどころを探っていたのですが、本日、ようやく効果がある手直しに辿り着きました。
踵周りをヒールカップ状に柔らかい素材で包みこんで、踵全体の除圧を試みた結果、やっと満足のいく効果が得られたのです。
「もっと早くこの方法を思いつけば良かったのですが、まだまだ未熟ですいませんでした・・・。」と私。
「いいえ、そんな事はありませんよ・・・。」と御婦人。
優しい言葉を頂いた上に、さらに手土産まで頂いてしまい、恐縮するしかありませんでした。

別のお一人は、病院からのご紹介でご来店頂いた御婦人でした。
この方は足首の関節の固定術を受けられたので、右足の足関節がまったく動きません。
さらに、担当の医師からの説明で、歩きやすくするために踵を少し持ち上げるような角度で関節を固定しているそうで、こういう情報はとてもありがたい限りです。
結果、左足の方も踵を少し持ち上げるような補正を加えると、とてもバランス良く快適に歩けるという事が分かりました。
ご本人は、新しく出来たばかりの健康靴を履いて、とっても喜んでお帰りになりました。

こういったケースが集中して続くと、関節の手術を受けられた方が、もっと健康靴の効用を知る機会に恵まれ、少しでも早く悩みの解消に繋がるように願わずにはいられません。
 
「足と靴の相談室」ロビンフット長津田 http://www.robinfoot.co.jp/

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小黒健二
専門家

小黒健二(シューフィッター)

有限会社ロビンフット

足のトラブルの原因は様々ですが、病気や事故が原因でなければ、多くの場合が生活習慣による足の筋力の低下によるものです。「足のカウンセリング」は、生活習慣の見直しと運動による自己管理もアドバイスします。

小黒健二プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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