安全靴で外反母趾や内反小指になる?
ある人にとって価値ある物が、他の人にとっても価値があるとは限らない・・・。
混沌とした時代であるからこそ、見方や立場によって同じ物の評価がガラリと違う事が起きるようです。
世代によって、性別によって、トラブルの有無や大小、経験の深さや趣向によって、同じ健康靴でも評価がまったく違うというケースがあります。
例えば、姉妹でご来店頂いた場合、お姉様と妹様の意見が対立する場合があるのです。
足が痛いと訴えるお姉様を見るに見かねて、当相談室で健康靴をお作り頂いた50代後半の妹様が60代前半のお姉様を連れてご来店されました。
「この人は、しょっちゅう靴を買っちゃあ痛くて履けないと、すぐに履かなくなるから、下駄箱に履かない靴が溢れているんです・・・。」と妹様。
「だって、靴屋さんで履いた時は問題なかったのに、2、3回履いただけで足が痛くなる靴が多いんですよ。」とお姉様。
「お姉さんは女性らしいデザインに拘ってばかりいるから、足に合った靴に巡り合わないのよ・・・。」と妹様。
「う~ん、デザインに拘るのは男性も女性も同じなんです。ただ、男性はより機能性重視、女性はよりファッション性重視と拘る方向が違うようなんですね・・・。」と私。
「足のカウンセリング」の結果、お姉様は中度の外反母趾で、足裏に強い角質が出来ていました。
また、両足共に足首が内側に傾く踵骨外反であり、骨盤の歪みもお持ちでした。
「私と同じウォーキングシューズをお願いします。」と妹様が言われました。
すると、「嫌だよ、そんな男の人の靴みたいなのは履かないよ!。」とお姉様。
「一度履いたら考え方が変るから、とにかく履いてみなさいよ。」と妹様。
「やだやだ! あんたみたいな靴は絶対に履かないわよ!」とお姉様。
このやり取りを聞いた限りでは、お姉様にはウォーキング系の靴は履いて貰えないようです。
けれども、足の状態をサポートするには、やはり機能性を考慮しなくてはなりません。
「このカッタータイプのネックベルトの靴はいかがでしょうか?」と提案する私。
「ええ? これ? ちょっと可愛過ぎるんじゃないかしら? 妹の靴よりはいいけど・・・。」とお姉様。
「機能性とデザインとの兼ね合いからすると、この靴が一番のお勧めなんですが・・・。」と私。
「せっかく足のプロが選んでくれたんだから、とにかく一度履いてみたら・・・。」と妹様。
早速、簡単なサポートを組み合わせてテストシューズを仕立てて、履いて歩いて頂きました。
「あら、なんだか今までにない感じねえ・・・。確かに歩き易いわね・・・。何だか足の裏に吸い付くような履き心地ね・・・。」とお姉様。
「ちょっと鏡で履いた姿を見て下さいな・・・。」と促す私。
「ああ、そうねえ・・・。履いた方がしっくりくるわねえ・・・。」とお姉様。
「お姉さん、その靴に決めなさいよ・・・。今までどれだけ履かない靴ばかり買ってきたんだか分かってるでしょ?」と妹様。
「でもね、いくつになっても女は素敵な靴が履きたいものなのよ・・・。」とお姉様。
「そうかもしれないけど、痛くて履けないんじゃ素敵な靴も宝の持ち腐れでしょ・・・。」と妹様。
「まあ、あんたと同じ靴は絶対に嫌だけど、これなら男の人の靴には見えないし、せっかくだからこれに決めましょうか・・・。」とお姉様。
こうしてお姉様の健康靴が決定しました。
ホッと一安心しました。
妹様の思いもお姉様の気持ちも何とか汲み取る事が出来て良かった・・・。
「足と靴の相談室」ロビンフット長津田 http://www.robinfoot.co.jp/