10年後に再びご来店された御婦人

小黒健二

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テーマ:足と靴

10年前に当相談室で足底板(インソール)を作られたという御婦人からお電話が入りました。
「お宅でインソールを作ってもらった者ですが、インソールが足に合わなくなっていると思うので診てもらいたいのですが・・・。」とのこと。
お名前を伺って足のカルテを取り出すと、確かに10年前に足底板(インソール)をお作りしていました。
「はい、分かりました。」とご予約の日時を決めて、お電話をお切りしました。

その御婦人がご来店されました。

「これをお宅で作ったのですが・・・。」と袋から足底板(インソール)を取り出す御婦人。
ところが、その足底板(インソール)は新品同様で、まったく使用した形跡がありませんでした。
「これは、全然使っていないようですが・・・。」と私。
「そうなの・・・。一回も使ってないの・・・。」と御婦人。
「えっ? 一回もですか・・・? それはまたどういうことなんですか?」と私。
「このインソールを作った時に、使用する靴の選び方やお勧めの靴を出してもらったけど、気に入らなかったのよね。でも、私が持っている靴には全然入らなかったのよ。だから一回も使ってないの。」と御婦人。
「そういう訳でしたか・・・。」と半ば呆れ返ってしまう私。
「それでは、お電話でお聞きした足に合わなくなったというのは・・・?」とお尋ねすると、
「だって、かれこれ10年前に作ったものでしょ、今の足に合わなくなっていると思うの・・・。それに私、前より足が悪くなっているんで・・・。」と御婦人。

とにかく、「足のカウンセリング」を始めました。
なるほど、御婦人の仰るように、偏平足も外反母趾も悪化しています。骨盤の歪みも強くなっていました。
「確かに以前より症状が悪くなっていますね。でも、この足底板(インソール)を少し手直しすれば大丈夫ですよ・・・。」と私。
「そう? そんなんで使えるの?」と御婦人。
「但し、今履いているような靴には使えませんよ。」と私。
「やっぱりね・・・。」と御婦人。
御婦人の履いている靴は○○○○○スポーツという有名な全国チェーンの靴屋さんのオリジナルブランドで、ヒール高があってつま先がすごくシャープなスポーツ風シューズです。
外反母趾や偏平足を助長することになりかねない靴なのでした。

「結局、インソールを作っても自分の靴には使えないのよねえ・・・。」と御婦人。
「足底板(インソール)は足に合った安定性を保てる靴で使用しないと効果がありませんからね・・・。」と私。
そこで御婦人が履いている靴に雰囲気やデザインが近い健康靴をお出しして、足底板(インソール)を入れて履いて歩いて頂きました。

「いかがですか?」と私。
「そりゃ、楽よね。やっぱり全然履き心地が違うわね。」と御婦人。
「足に合う靴で足底板(インソール)を使って歩けば、足の筋力を高めて足の健康を改善することが出来ますよ。」と私。

こうして、足に合う靴を新調して、お作り頂いてから10年経ってようやく足底板(インソール)を使って頂けることになったのでした。
「でも、どうして今まで全然使わないまま、気にもならずに放置していたんですか?」とお尋ねすると、
「実は引越しで荷物を整理していたら、これが出てきたのよ・・・。使わずにしまい込んだまま忘れていたのよ・・・。」と御婦人。
「なんと、そういう事だったんですか・・・。」と私。
いやー、何だか不思議な展開でした・・・。
 
「足と靴の相談室」ロビンフット長津田 http://www.robinfoot.co.jp/

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小黒健二
専門家

小黒健二(シューフィッター)

有限会社ロビンフット

足のトラブルの原因は様々ですが、病気や事故が原因でなければ、多くの場合が生活習慣による足の筋力の低下によるものです。「足のカウンセリング」は、生活習慣の見直しと運動による自己管理もアドバイスします。

小黒健二プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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