足と靴の川柳
病院で「種子骨炎」と診断された御婦人の「足のカウンセリング」を承りました。
足の親指の付け根の下には、「種子骨」と呼ばれるお豆さんのような2つの小さな骨があります。
その種子骨に過度な負担が掛かり続けて炎症を起こした状態が「種子骨炎」です。
強い痛みを伴う症状で、外反母趾の痛みと勘違いされる場合もあります。
さて、この御婦人の親指の付け根の関節の可動域を調べてみると、ほとんど動かないことが分かりました。
「ああ、これは強剛母指ですね。」と私。
「えっ? 何ですかそれ?」と御婦人。
「親指の関節が固縮して動き難くなっているんですよ。たぶん種子骨炎の原因はこの強剛母指ですね・・・。」と私。
「ええっ? そうなんですか? でも、病院ではそんな事言われなかったですけど・・・。」と御婦人。
「種子骨炎には間違いないんですよ。でも、なぜ種子骨炎になったのかという原因は、強剛母指ではないかという事なんです。」と私。
足の親指の関節が固縮すると、地面を滑らかに蹴りだす動作がうまくいかず、親指の付け根に負荷が集中してしまいます。
そのために親指の付け根の下にある種子骨に強い負担が掛かり続け、炎症を起こしたのではないかと考えられるのです。
40分後、この方のための健康靴が仕上がりました。
地面を蹴りだす時に、なるべく親指に負担が掛からないように特殊な加工をしたインソールを組み込んでいます。
「どうですか? まだ痛みがありますか?」と私。
「いいえ、全然痛くないです。」と御婦人。
けれども、まだ恐る恐る庇い歩きをしています。
「もう、庇わなくても痛くないと思いますから、普通に歩いてみて下さい。」と私。
「なんだか普通の歩き方を忘れちゃったみたいで・・・」と御婦人。
それでも徐々に普通に歩き始めました。
「あら、大丈夫だわ・・・。痛くないです。普通に歩ける・・・。」と御婦人。
そのまま履いてお帰りになりました。
「足と靴の相談室」ロビンフット長津田 http://www.robinfoot.co.jp/