「靴を見てさい」というご依頼

小黒健二

小黒健二

テーマ:足と靴

手提げ袋に持てるだけの靴を入れて当相談室に持ち込まれた御婦人。
「すみません。私が愛用している靴を持ってきたので見て下さい。なんとか履き良くして欲しいんです。」と言われました。
「申し訳ありませんが、先に靴ありきではなく、足のカウンセリングで足のトラブルの原因を調べて、その結果に基づいて足のトラブルをサポートする健康靴やインソールをご提供しているのですが・・・。」と私。
「だったら、この靴に合うインソールを作って下さい。」と御婦人。
手提げ袋の中にはパンプスがいっぱい入っています。
「すみませんが、いったいどのように履き心地が悪いのでしょうか?」とお尋ねする私。
「営業での外回りが多いので、午後には足が浮腫んで靴がパンパンに窮屈になってしまうんです。つま先や足の裏がジンジンしてくるし、脹脛が張って歩くのが辛くなるんです。」と御婦人。

手提げ袋に入っている靴は、どれも5~9cmヒールのプレーンなパンプスやヒールローファーと呼ばれるタイプの靴です。
しかも、つま先がシャープな靴ばかりです。

「大変申し訳ありませんが、これらの靴にインソールを作っても、効果はありません。多少履き良くなったと感じても、確実に足が痛くなると思います。」と私。
「でも、多少は効果があるんでしょ?」と御婦人。
「例えば、コチラにあるようなパンプスでインソールを処方すれば、それなりの効果が期待できますが・・・。」と私。
そして、当相談室で数点しか取り扱っていないパンプスをご紹介しました。
「そういうのは営業向きではないんです。シンプルですっきりしたデザインの靴でないといけないんで・・・。」と御婦人。
「そうですか。では申し訳ありませんが、ご期待にはお応えできません。ごめんなさい。」と私。
「ええっ? 何にもしてくれないの? せっかくこんなに持って来たのに・・・?」と御婦人。
「すみません・・・。」と私。
「何よ~。靴を直してくれないの? ここは靴専門店じゃないの?」と御婦人。
「申し訳ありません。でも、私どものことを何でお知りになったんですか?」とお尋ねすると、
「母からです。ここに相談すれば足に合った靴を作ってくれると言われたんで・・・。」と御婦人。
「ああ、そうでしたか・・・。でも、靴を作るという意味を誤解されたようですね・・・。」と私。

何だか後味の悪いやり取りになってしまいました。
でも、変に期待を持たせるのは、もっと後味の悪い結果になりますので、ここは正直に接するしかないのです。

「足と靴の相談室」ロビンフット長津田 http://www.robinfoot.co.jp/

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小黒健二
専門家

小黒健二(シューフィッター)

有限会社ロビンフット

足のトラブルの原因は様々ですが、病気や事故が原因でなければ、多くの場合が生活習慣による足の筋力の低下によるものです。「足のカウンセリング」は、生活習慣の見直しと運動による自己管理もアドバイスします。

小黒健二プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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