足の痛みと履きたいデザインの狭間に揺れる女性の気持ち・・・
リウマチによる足首の関節の変形や破壊が進むと、強い痛みや歩行困難からの改善を目的に、足関節の固定術をする場合があります。
足関節の固定術をすると、足首を金具やボルトで固定してしまうので、体重の負荷による関節の負担や痛みがなくなります。
それと引き換えに、足首の関節が固定されて動かなくなってしまうことから、体のバランスを取るための姿勢の変化が困難になったり、歩行の蹴りだしがスムースに行えずに足を引き摺るような歩き方になったり、しゃがんだり正座ができなくなったり、靴の脱ぎ履きがスムースに行えない等、様々な問題が発生します。
そういった生活の質の低下に対しては、健康靴の補正加工や室内履きの提供によって、かなりのところまでサポートが可能なのですが、そのための「コスト」がネックになってしまうことが少なくありません。
一般的な靴や室内履きと違って、機能は落としたくないということがあり、中途半端なものにコストを掛けるくらいなら、いっそ諦めてしまうという選択肢に繋がってしまうこともあります。
今回のご相談者の御婦人も、手術後の履物に相当苦労しているのですが、やはりコストを考えると二の足を踏んでしまうようです。
かといって、テストシューズを履いた時の快適な歩行は身に沁みてしまったようで、他の選択肢は中途半端に感じてしまいます。
こういう場合は時間をかけてじっくりと考慮していただくしかありません。
「早計に結論を出さずとも、じっくりと考えて、ご自信の納得のもとに決断される方がよろしいかと思います。」と私。
「でも、本当に困っているんですよ・・・。機能はこのままで、なんとかコストを下げる方法はありませんか?」と御婦人。
「ごめんなさい。まだそういった方法が開発されていないので、今現在はこれが限度なんです。」と説明する私。
「ああ、そうなのね・・・。」とため息をつく御婦人。
辛いですが、これもまた現実です。
結局、この御婦人はご家族とご相談された後に、またご連絡を頂くということでお帰りになりました。
「足と靴の相談室」ロビンフット長津田 http://www.robinfoot.co.jp/