お嬢さん、その靴は足を痛めますよ！

昼食を食べてホッと一息ついているところに、突然の来客です。
「すみません、靴をみていただきたいのですが・・・。」と来店されたのは、親子らしい母娘のお二人。
「はーい、足が痛いとか、膝が痛いとかの症状がありますか？」と尋ねる私。
「実は、娘がひどい扁平足らしくて、履ける靴がないんです。」とお母様。
「ああ、そうなんですか・・・。私どもでは、まず、足のカウンセリングをして、足の痛みの原因を調べ、その結果に基づいて足をサポートする健康靴を提供いたします。」と説明する私。
「それは整形外科で済ませてきたので、靴が欲しいだけなんですが・・・。」とお母様。
「整形外科のお医者様はどのような靴を推薦されてました？」と私。
「靴のことは特に言われなかったですが、中敷を作った方が良いと言われました。」とお母様。
「ああ、そうなんですか。では、整形外科で中敷を作られたのですね。今、お持ちですか？」と尋ねる私。
「いいえ、まだ作るとは決めていないので、作ってないんです。」とお母様。

これはちょっとややこしい話になりそうだなと感じた私。
ふと娘さんの足に目を落とすと、左足首が右足首に比べてかなり体の内側に倒れ込んでいます。典型的な外反扁平足のようです。
そして、娘さんの履いている靴は、ペッタンコで履き口が大きく開いたバレーシューズと呼ばれるカッターシューズなのでした。
靴の左足の土踏まずの部分が、地面に接するぐらいに撓んでしまっています。
「ああ、この靴はよけいに足を痛めてしまいますから、履かない方が良いでしょうね。」と私。
「どんな靴を選んだらいいですか？」とお母様。

とりあえず、ネックベルトのカッターシューズタイプの健康靴を履いていただくことにしました。
「この靴は、フットベッドという足をサポートするための中敷が予め組み込まれていますので、土踏まずが押されるような感じがすると思いますが、それが扁平足にとっては大事なサポートですので、まずは履いてみて下さい。」と私。
なんとなく不安げな表情で靴を履いてみる娘さん。
「ちょっと歩いてみてもらえませんか？」と私。
娘さんの歩容を観察すると、左足も右足もまだ内側に倒れこんでいます。特に左足が強く倒れています。
「この靴のままでは、まだ充分なサポートにはなっていませんが、それでも、今履いている靴よりは足をサポートしてくれると思います。」と私。

「どう？やっぱり違う？」と娘さんに尋ねるお母様。
「全然楽、歩ける。」と娘さん。
「本来は足のカウンセリングをして、その結果に基づいて、個々に適正なサポートを加工しているんですが、どうしますか？」と私。
「整形外科で中敷を作ってもらえると言われているので、今回は靴だけでいいです。」とお母様。

「もしも、まだサポートが足りないと感じるようでしたら、後からでもサポートの加工ができますので、足のカウンセリングを受けにいらして下さい。」と私。
こうして、娘さんは健康靴に履き替えて、お母様と帰っていかれました。

「足と靴の相談室」ロビンフット長津田　http://www.robinfoot.co.jp/