足の痛みと履きたいデザインの狭間に揺れる女性の気持ち・・・
「私、扁平足なんですが・・・」ということで、「足のカウンセリング」を受けにご来店された60代のご婦人。
足元を見ると柔らかそうな靴を履いていらっしゃいます。よく見ると、右足が内側に倒れこんでいます。そして、右足の親指の付け根が出っ張って、靴の横幅が張っています。
「では、早速、足のカウンセリングを始めましょうか?」
「お願いします。」
最初にフットプリンターで足跡を採ります。裏にインクが付いた特殊ラバーの上に片足ずつ足を乗せて立っていただくのです。
フットプリンターは、ラバーの下に敷いた紙の上に荷重が掛かった足でスタンプを押すように足跡(フットプリント)が転写される仕組みです。
さらに、足の輪郭や骨格のポイントなどを書き込んで、フットプリントが完成します。
「う~ん、扁平足ではありませんね。」とフットプリントを見て私が言うと、「えっ???」とそのご婦人は驚きの声を上げました。
「私、ずっと扁平足だと言われていたのですが・・・。」
「土踏まずはしっかりと形成されていますよ。ほら、これを見て下さい。土踏まずの空間がちゃんとあるでしょ?扁平足ではないですね。」と私はフットプリントを示しました。
「扁平足なら、この部分の白い空間がなくなって、インクが付いて埋まってしまうはずです。」と私。
「え~?、じゃ、なんで足が痛かったり、腰が重くなったりして疲れるの?」とその方。
「ちょっと後ろ向きになって下さい。」と私。背後からカカトの状態を観察します。
「はい、今度は前を向いて真っ直ぐに立って下さい。」と私。ペルビックレベルという水準器を使って骨盤の歪みを調べます。
「はい、原因がおおよそ分かりましたよ。どうぞ、お座り下さい。」
「お客様の足は、カカトの骨が外反することで、足が内側、つまり土踏まずの側に倒れ込んでいます。両足が内側に倒れ込むことで、あたかも土踏まずがない扁平足のように見えてしまうのです。特に右足の歪みが強いようですね。
体重が掛かると右足首が左足首より「く」の字に曲がってしまうため、骨盤が右に傾斜します。そして、右に傾斜した骨盤の影響で体が右に傾くので、無意識に上体を少し左に曲げて、右に傾かないようにバランス調整をしているのです。
体のバランスを調整するために、上体を少し左に傾けるには、背骨を曲げることになります。
そして、骨盤の傾斜を背骨を曲げることで補うことが、腰痛の原因にもなっているのです。」
「え~???」と戸惑うご婦人。
次回に続きます。
「足と靴の相談室」ロビンフット長津田 http://www.robinfoot.co.jp/