不定期更新 「前略 墓の中から」 序章
「いや、ほんと真ん中の通路以外せまいな~」
家族がにわかにつぶやく。
ヒロシも求めた当時のことを思い出し何かが違うと思った。
「うわ、数年前に決めたときより通路狭くなったいるな。ロッカーもしかして2列ぐらい増えてんじゃないか?通路狭くなった分圧迫感あるな~。選択ミスだったかな?」
担当者の声が聞こえる。
「一昨年すべてのロッカーが設置され定員の500体のご遺骨を収容できるようになりました。〇〇さまがお求めいただいたときはまだまだ内部の設置段階でしたので当時は少し広かったんですよ」
その話に間違いはなかった。ヒロシは思わずうなった。
「確かに求めたとき500体って言っていたしこちらの確認ミスだな。
しかし落ち着くような、落ち着かないような・・・・。
結構な人口密度だよね(苦笑い)。
まさに生きてきた時代と一緒で、次の世も団塊のせだいなのかな?
自分が選んだとはいえ、これって世代の習性なのかな?」
駆け足で時代を切り開き、新しい納骨文化をも団塊の世代として作り上げていくヒロシであった。