前略 墓の中から 第1章 約束が違う!さだ子の嘆き その3
「さ・だ・子さん。やっと来たわね!待ちわびてたわよ」
「あ、そうだ私、今日お墓に納骨されるんだった。って、え~っ、約束が違うじゃないの。私絶対お義母さんと一緒のお墓はいやだって、あれほど死ぬ前にいっていたのに。絶対恨んででてやる~」
そう、さだ子は先日亡くなり、今日が納骨の日です。
義母のありし日は、随分と厳しい言葉をいただき、そして介護も。
自分が病気になったのも義母の介護疲れだと周りにはこぼし、義母とは絶対に同じお墓に入れてくれるなと檀那さんに伝えていたのでした。
「ねえ、さだ子さん。この世界ってなんでも聞こえちゃうの。だからあなたの今の気持ちも丸見えなの。でもね、あなたがきたら、ずーーっと言いたいことがあったのよ」
「まさかのお礼かしら?」
「それも聞こえているわよ」
家墓のカロートの中にはほかにも骨壷はいくつかある。でも義母以外は誰もいないようだ。
「おかしいな。確か旦那のおじいさんおばあさんとお義父さんも入っているはずなのに」
「そうなのよ、私が来たときは檀那(義父)もいたんだけど何年かするとまた違う世界に行っちゃうみたいなのよ。それが何年かはわからないんだけど」
お互いのこころの声が聞こえ自然と会話になってしまう。
続く