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徳島県「共働き・共育て」推進セミナーの振り返り

谷川由紀

谷川由紀

テーマ:育児・介護と仕事の両立支援

制度だけでは、職場は変わらない

今年度、夏から冬にかけて、徳島県主催「共働き・共育て」推進に向けた職場環境づくりセミナーに携わる機会をいただきました。

奨励金(1社あたり最大50万円)と連動したセミナーということもあり、各回とも県内企業の皆様に多数ご参加いただきました。私は、第2回では《第1部・第2部》を担当し、第1・第3・第4・第5回については《第2部》を担当する形で、すべての回に関わらせていただきました。

(詳細はこちら)
徳島県「共働き・共育て」支援セミナー登壇レポート



印象に残ったパネルディスカッション

5回を通じて、最も印象に残っているのはパネルディスカッション。

ご登壇いただいたのは、いずれも実践の重みを持つ企業の皆さま。

まず、四国建設コンサルタント(株) 様。
男性育休取得の取組状況に加え、

・子の看護等休暇の整備
・保育料の半額負担

といった制度面の工夫などについて紹介いただきました。
制度は設計できる。だが、運用に息を吹き込むのは企業の覚悟と継続である――
そんな本質を静かに示す内容でした。

続いて、(株)ときわ 様。
印象的だったのは、制度の柔軟な組み立てです。

・ジョブローテーション
・子の看護等休暇
・ライフステージに応じた転換制度

働き方や役割を固定しない発想。
キャリアを一本の線ではなく、選択肢の束として捉える視点。
その思想そのものが、これからの人事制度の核心に触れているように感じました。

そして、西精工(株)様。
テーマは「産後パパ育休の活用」と「メンタルヘルス研修」。

制度が存在することと、機能することは別問題である。
活用されなければ意味はなく、受け皿がなければ続きません。

その現実と向き合う実践に加え、もう一つ、強く印象に残ったお話がありました。
難病を抱える社員に対するサポートの取組です。

働き続けたいという本人の意思。
支えたいという職場の姿勢。

この二つが噛み合わなければ、どれほど制度が整っていても現実は動かない。
個別性の高い事情に対し、組織としてどのように配慮し、どのように環境を整えるのか。
その試行錯誤と実践の話には、制度論だけでは語れない重みがありました。



制度設計ににじむ企業の哲学

男性育休も、治療と仕事の両立も、本質は驚くほど似ています。

制度を用意すること。
運用できる職場をつくること。
心理的な安心を醸成すること。

いずれが欠けても、機能しません。

登壇された企業の取組は、どれも表面的な制度導入の話ではなく
「なぜ、その施策を選んだのか」
「どのような調整や葛藤を経て実行されたのか」

その背景にこそ、企業経営のリアルが滲みます。
意思決定の重みと、運用の試行錯誤。
現場の言葉には、理論では代替できない密度があります。

私はこれまで、国や各県の事業を通じて、
香川をはじめ岡山、鳥取、その他複数地域で企業支援に携わってきました。
同じテーマであっても、企業文化や組織構造が異なれば、解決策の設計思想は根本から変わる。その当たり前でいて忘れがちな事実を、今回もあらためて深く実感しました。

企業支援の仕事は、制度の説明で完結しない。

制度と風土。
仕組みと心理。

この二層を同時に見なければ、実効性は生まれません。
現場に足を運び、経営者や担当者の声に耳を澄ませるたび、「正解」は外から持ち込むものではなく、対話の中から立ち上がるものだと痛感しています。

企業を支えているつもりで、実は多くを受け取っている。
その感覚の揺らぎが、この仕事の面白さ。

学び、試し、また考える。
見て、感じて、言葉にする。

この流れを止めないこと。
簡単ではないテーマですが、
提案力とは、きっとその積み重ねの中でしか育たないと感じています。

企業の数だけ物語がある。
その物語に触れられることに感謝しつつ、
そこで得た経験や知見を社会のために活かせるよう、これからも邁進したいと思います。

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谷川由紀
専門家

谷川由紀(社会保険労務士)

高松太田社労士事務所

社会保険労務士としての知識と実績を元に、人材不足対策の要となる働き方改革支援や女性活躍推進、高齢者、外国人等の多様な人材活用コンサルティングに強みをもつ。県内外でアンガーマネジメント研修等に多数登壇。

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