毎日のように食している野菜のお話 ピーマン編
野生の鳥獣を捕獲して食用とするジビエ食。
農作物被害を守るための害獣駆除、少子化等で里山荒廃が進むことによる生態系の崩壊進行防止等と、食肉利用の一石二鳥的効果が全国的に注目されています。
全国各地で里山地域活性化も重ね合わせ、自治体もその取組に積極的にバックアップしています。
しかし、このジビエ食に大きな落とし穴があったようです。
国内で80才の女性の方が輸血由来の血液製剤を通して、E型肝炎ウイルスに感染し約100日後に肝炎を発症し死亡しました。
感染ルートを追跡したところ、2ヶ月前にシカの生肉を食した供血者がE型肝炎ウイルスに感染したことに気付かないままに献血し、血液がウイルス感染していたにもかかわらず検査をすり抜けて血液製剤化され、この80才の女性の方に使用されてしまったことが原因であったことが判明しました。
E型肝炎ウイルス
献血された血液はだれがいつ献血したものか?を明確にしており、血液製剤も誰の血液から造られたか?全て記録が残されています。
なのに? こんな残念な事故が起こってしまったのか・・・
上述の血液成分検査において、E型肝炎ウイルスについては感染率の高い北海道地区のみで実施され、それ以外の地区は検査対象外であったことも、この不幸を招くこととなりました。
E型肝炎ウイルスは野生の獣肉に多く、しっかりと加熱すればウイルスは死滅し問題はないのですが、加熱が不十分な場合はウイルスが完全に死滅せず、その肉を食した人はE型肝炎ウイルスの保菌者、または感染者となる確率が非常に高くなります。
日本赤十字社は、今月9日付けで「E型肝炎ウイルスに対する安全対策へのお願いについて」という注意情報を発信し、E型肝炎ウイルスの感染リスクがあるブタ、シカ、イノシシの肉や内臓を生または生焼けで食べた人は、狩猟解体や食べた時点から6ヶ月は献血しないように呼びかけています。
また、北海道地区以外でも採血時のE型肝炎ウイルス検査を行うように対策を進めるそうです。
日本赤十字社の注意情報については
↓
http://www.jrc.or.jp/activity/blood/news/180309_005178.html
筆者が問題としているのは、ジビエ食で加熱によってウイルスが死滅したことを確認と判断することは、なかなか難しいように思います。
相手はウイルス! 目で確認も出来ず、臭覚でも確認できません。
ウイルスに感染すると被害者でもあり、時には加害者にもなります。
いまブームのジビエ食については、これから色々な議論が出るのではないでしょうか?