『みどりのゆび』
ゴールデンウイークが始まりました。
きょう平成三十年四月二十九日は、旧暦では弥生(やよい)十四日。
七十二候では17候 「穀雨 次候 霜止出苗(しもやみてなえいづ)」。
霜の降りる時期が終わり、種籾の苗が生長する頃となりました。
農家では、田植え準備が忙しくなる頃です。
先日、熊野に行ってきました。
熊野三社詣だけではなく、古代神社らも巡る機会を得ました。
その中で、思いがけず南方熊楠が伐採の危機から護ったと伝えられている
「引作(ひきつくり)の大クス」(阿田和(あたわ)の大クス)
を訪れることが出来ました。
推定の樹齢1500年の三重県一の巨木です。
南方熊楠は変形菌を、
自然植生に近い環境が維持されていた神社林でも、採取するようになっていました。
そんな明治時代末期頃、神社合祀令により神社の統廃合が進められ
それまで菌を採取していた神社が廃社となり、やがてその神社林も失われていったのを
熊楠は目の当たりにしました。
明治44年(1911年)、
引作神社の廃社によって「引作の大クス」は伐採の危機にありました。
新聞報道でそのことを知った熊楠は
柳田國男や幼馴染の新聞記者の尽力を得ながら、保護に奔走し
他の神社林は伐採換金されましたが、この大楠は残りました。
(平成19年(2007年)に折損した大枝の跡は金属板で覆われていました。)
廃社により神社林が失われていく様を見た熊楠は、
「やがては日本人の美的感覚だけでなく、
愛国心をひどく荒廃させることになるでしょう。
近代の発展は本当に利益になるものかどうか
疑わしく思っています」
と知人に伝えています。(明治42年2月19日付)
今回、案内人に連れて行っていただいた
石・岩座・滝などをご神体とする、古代神社の周りには
豊かな自然が残されていました。
地域の人に大切に護られ祀られているからこそ
それらは残されてきたのだと、感じました。
聖地である神社や周辺の生態系を守るため、
熊楠は神社合祀政策に反対し続けました。
「千百年来 斧片を入れざりし神林は、
諸草木相互の関係甚だ密接錯雑致し、
近頃は『エコロギー』と申し、此相互の関係を研究する
特殊専門の学問さえ出来り居る事に御座候」
(明治44年、和歌山県知事あて書簡より)
「HEAL THE WORLD」 Michael Jackson 和訳付き LIVE with Lyric
https://youtu.be/Dxfqi2bPO1o
*以下は関連過去コラムです。
『有機水銀分解菌 ~自然の持つ力・浄化2~ (2011-05-01)』
http://mbp-japan.com/hyogo/yu-cocoro/column/19369/
『整体観〈全体観〉(2011-03-11)』
http://mbp-japan.com/hyogo/yu-cocoro/column/18074
『コウナゴ〈小女子〉(2011-04-08)』
http://mbp-japan.com/hyogo/yu-cocoro/column/18734
コラム一覧 :HEAL THE WORLD
http://mbp-japan.com/hyogo/yu-cocoro/column/?jid=464
参考)別冊太陽 南方熊楠 2012年2月17日初版第一刷
ウイキペディア