7月12日(日)13時30分〜 第5回無為塾「40歳からは役割を脱いで自分らしく」@東播磨生活創造センター「かこむ」
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https://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/5228981/
ユング心理学が教えてくれる「中年の危機」の意味
スイスの心理学者ユングは40歳前後までを人生の前半、それ以降を人生の後半と捉え、それぞれに違う人生の課題があると考えました。
人生前半の課題は、職業を得て社会参加することや、家庭を築くことなど、社会に適応していくことであったのに対して、人生後半の課題は、自分らしく生きること、つまり自己実現することによって達成されると考えました。(『ウィキペディア(Wikipedia)』より)
・人生前半(40歳前後まで)の課題
「より良い社会人になること」(社会適応)
・人生後半(40歳前後以降)の課題
「自由に自分らしく生きること」(自己実現)
ユングにとって人間としての成長の終着点はどんどん自分らしくなっていくこと(個性化)であるとしました。
そのためには影(シャドー)(「抑圧している自分」「忘れてしまった自分」「自分の知らない自分」)を許し受け入れ、再統合する必要があると考えました。
自我にとって影(シャドー)は認めたくない自分であり、その再統合を阻んでいます。
その構造をユングは自我と自己という概念を用いて次のように説明しています。
心の構造:自我と自己

心というのは大きく分けて自我と自己に分けられます。
自我というのは、こうあるべきという自分の考え、信念、価値観です。
通常私たちは自我のことを「私」として意識しています。
いっぽう自己というのは意識だけでなく、無意識も含めた心の全体性です。
無意識には、抑圧した自分、忘れたつもりの自分、自分が知らない自分がいます。また混沌として言葉にならない思いやイメージ、芸術的なインスピレーションの源泉ともなっています。
無意識の中の影(シャドー)を認め、許し、受け入れることができれば、それらは「自由に自分らしく生きる」可能性へと変容します。
しかし自我はそれを拒否します。なぜなら影(シャドー)を抑圧したのは自我だからです。
その自我の妨害を乗り越えるために「中年の危機」があり、それは不幸な出来事ではなく、その先にある自己実現のためには必要なことなのです。
「中年の危機」には4つのパターンがあります。
「中年の危機」の4つのパターン
- アイデンティティの崩壊
- 親の死、病気や老い
- 人間関係の悩み
- 過度な依存
1.アイデンティティの崩壊
それまで自分を支えていた「役割」や「立場」が失われることです。
- 子どもの不登校で「良い母親」ではなくなってしまった。
- 失業して「一家の大黒柱」ではなくなってしまった。
- 事業が失敗して「成功者」ではなくなってしまった。
- 離婚を突きつけられ「良き夫」ではなくなってしまった。
冬季オリンピックで5位から逆転金メダルを取った「りくりゅうペア」。
そこには木原龍一選手のアイデンティティの崩壊と影(シャドー)の再統合がありました。
ショートプログラムでのミスで木原龍一選手の精神は限界を超え、涙が止まらなくなりました。(この時彼の「三浦選手を支える自分」というアイデンティティは崩壊しました)
涙が止まらない木原選手を責めることなく支えた三浦選手がいました。
(他者から受容されることにより「弱い自分」(シャドー)を再統合できた)
弱さを再統合できると、それは相手への思いやりや感謝に変わるだけでなく、「しなやかな強さ」へと変容し、あの歴代最高得点のフリーの演技として結実しました。
ショートプログラムでの致命的なミス。それは一見不幸な出来事に見えますが、そのことにより木原選手のアイデンティティが崩壊し(さらに不幸に見えます)、その結果、自分の弱さ(シャドー)を再統合することができたのです。(大逆転の幸福)
2.親の死、病気や老い
40代以降は当然のことながら親の死を経験することになります。そこで大きな喪失感に見舞われ鬱になってしまう人もいます。
また仕事で鬱になることもあるでしょう。病気が見つかり落ち込むこともあるでしょう。
「親の死」や「病気や老い」。
これらを意識することにより「自分は死にゆく存在である。自分の人生はこれでいいのだろうか。何かし残したことはないのか。」と自問自答するようになります。
それが自分の新しい可能性の扉を開くこともあります。
私の京都の友人で40代でひどい鬱になった女性がいました。彼女はその回復の過程で旅の持つ「癒し効果」に気づきます。彼女は鬱になった経験からカウンセラーの勉強をし、「そっと寄り添う」ことの大切を学びます。そして旅を通じて人を癒すガイドになりたいと考えるようになりました。
今、彼女はその夢を形にし、京都のプライベート旅専門の旅行社「京都癒しの旅」を経営すると共にガイドとしてお客様の心を旅を通じて癒しています。
一見マイナスに見える問題から、導かれるように自己実現へとつながっていく。それは偶然ではなく、絶え間なく私たちは自己実現へと誘われているのです。
3.人間関係の悩み
人間関係の悩みも40代以降では深刻です。
- 職場にどうしても耐え難いストレスになる人がいる。
- 同居の姑の面倒は一切見ないと妻に宣言された。
- 夫婦関係が冷え切っていて会話がほぼない状態である。
- 自分の親や兄弟が許せない。
こうした問題を通じてユングの言う「影(シャドー)」と直面し、それを許し、受け入れることで自己実現の扉が開かれることもあります。
4.過度な依存
40代以降にコントロールできないほど何かに夢中にのめり込んでしまうということがあります。
それ自体は悪いことではないのですが、体力的にも時間的にも経済的にも過度に負担になるようなら、それはやはり中年の危機と呼ぶべきものです。
- ボディビル、美容、健康
- 車とかバイクのカスタム、趣味
- 推し活、クラブ通い
- 宗教、スピリチュアル
これらにどハマりすること自体は悪くありません。むしろ自分の新しい可能性を開いてくれたり、自己実現の扉になることもあるくらいです。
しかし、宗教にあり得ない額のお布施をしたり、スピリチュアルな啓発セミナーに高額を注ぎ込んだりすれば、それはやはり問題となります。
ただ、それらの依存から抜け出した後、そうなってしまう自分と真摯に向き合い、自分の弱さや過去の満たされなかった思いを受け入れられるようになれば、それは自己実現へとつながっていきます。
また、それらの趣味に熱中する中で、今まで生きてこられなかった自分を十分に生きているのなら、それもまた自己実現の一つです。
まとめ
40代以降に出会う悩みや問題は、自我の殻を破り自己実現していくために起こるのだ、ということを色々な角度から解説していきました。
40代以降に直面する悩み、例えば子どもの不登校や離婚、親の死や鬱、病気、失業などは自らのアイデンティティを崩壊させる程の危機となり得ます。実際にそれがあまりにも辛いことなのでアルコールに逃げたりする人もいるでしょう。
でも、逃げることなく「立場や面目をなくした自分」を静かに見つめた時、見えてくるものがあります。
一生懸命に努力してきた自分。
成功し自信満々な自分。
思い通りにならず苦しかった自分。
怖くて逃げ出したい自分。
不安を誤魔化してきた自分。
そんな自分を思い返した時、必死で頑張っていたんだなあ、無理していたんだなあ、我慢していたんだなあ、と自分に「もういいんだよ。よく頑張ったね。」と声をかけたくなります。
その時、あなたは初めてありのままの自分を許し、ありのままの自分を受け入れられるようになったのです。
それが自己実現の入り口に立ったということです。
絶望は自己実現の母です。
絶望し、開き直った時、新しい扉が開かれます
もう不自然なことはしなくなります。
不思議と気が楽になります。
気がつけば自分の好きなことを始めています。
おめでとうございます!
あなたが今感じている自由さ。
それが自己実現した気分なのです。




