不登校における親の勝負どころ 〜その一言が言えない〜
10月21日(月)10時から稲美町社会福祉協議会で不登校親の会「おやもこ」座談会に呼んでいただきました。
不登校はどのようにすれば解決するのかについて例えを用いて解説しました。
不登校家庭に必要なものは『自由』と『安心感』
不登校であれば「学校に行けるように」と色々言ったり、色々したりされていると思います。
それらは方法論としては大体間違っています。
例えるなら、
サルとオリとバナナがあるとします。
サルは親であるあなたです。
バナナは子どもが学校に行くことです。
あなたが望む状態、ゴールだと考えてください。
そして「学校に行け、行け」ということはまっすぐバナナに突進することなのです。でもそこにはオリがあるのでまっすぐ突進しても望む状態は手に入りません。
こういう感じです。
バナナは目の前にあるのにオリがあって取れないので、
オリを手でガタガタいわせたり、大きな声を出したり、
そんなことをしても無駄なのにそれを繰り返してしまう・・。
バナナ(望む状態)を得るためには、
一度バナナに背を向けて、バナナから離れるような行動をとる必要があります。
こんな感じです。
もし、子どもに学校に行って欲しいと望むなら、
「もう学校に行かなくてもいいよ」
「そのままのあなたでいいよ」
真心と態度と言葉でそう言ってあげて下さい。
そして、
もうこの子は学校になんか行かなくたっていいや、
もう元気やったらそれでいいわと開き直って下さい。
それがバナナ(望む状態)に背を向けることであり、バナナから離れるということです。
オリとは、常識であり、自分の価値観であり、そういう自分や子どもを縛ってきたものです。
だから望む状態に背を向け離れるとは、自分を縛ってきた常識や価値観から自由になることでもあるのです。
そういったものから自由になってみると、自分がずーっと恐れていたもの、人の目とか普通とか普通でないとかも本当はそんなに怖がることではなかったんだと体感できるんですね。
「な~あんだ、こんなもんなんだ。どっちでもいいんだ。」
そうすると安心できるんです、親も子も。
そしてこの安心感が子どもを元気にし、前向きな気持ちにします。
自由と安心感。
最も必要で足りなかったのは、この2つです。
もし、あなたがここに書かれていることを読んで本当にその通りだと感じられたなら、是非読むだけでなく実行してみてください。
最後に一言。
「あなたには愛情は溢れるほどあります。
足りないのはお子さんへの信頼です。
あなたのお子さんは必ず自分の力で良くなります。
それを無条件に信じ抜いてください。
本当に信じるとは任せきることです。
これはお子さんのミッションではなく
あなたの『信じる』というミッションです。」
「啐啄同時」 縛っていたのは私だった
そのあと、詩「啐啄同時」とそれについてのエッセイを紹介しました。
「啐啄同時(そったくどうじ)」
雛鳥がその殻を破って生まれ出ようとする時、まず最初に雛鳥がコツコツと殻を内側からつつきます。
これを「啐(そつ)」と言います。
その音を聞きつけた親鳥が雛を外に出そうと同じ場所を外側からコツコツとつつきます。
これを「啄(たく)」と言います。
大切なのは親鳥は決して自分から殻をつつくことはしないということです。
必ず雛鳥が殻を内側からつつく音を聞いてからしか「啄」をしません。
そして内からコツコツ、外からコツコツと互いにつつき合っているうちに、全く同時につつき合う瞬間が訪れます。
その時、殻が敗れて雛はこの世界に生まれ出ることが出来ます。
このことから親の欲や考えで先回りするのではなく、子どもにその準備が出来るまで十分に待って「やりたい」と言い出してから動くようにすれば何事も上手くいくことの例えとして「啐啄同時」は使われます。
子どもにその準備ができて動き始めたらそれに応える、そういう子育てにとても共感を感じます。
子育ては何よりも待つことが大切です。
ただこの詩では、親が自らのエゴや思い込み、常識に捉われた考えという自分の殻を破りその外に出られた時に、子どもも不登校という殻を破り外の世界に出ていけるのだということを表現しました。
子どもに不登校という殻を破って外の世界に出てほしいと願う親の気持ちはよ~く理解できます。
でもそう願う親の方だって自分のエゴや思い込みや世間の常識に捉われていて「自由に自分らしく生きる」ということが出来ていません。
まあ「自由に自分らしく生きる」て言ったってそんなに簡単に出来るものではありません。
それはリスクを伴うものであり、下手をすれば今まで築いてきた社会的信用や安定を失う危険を孕んでいます。
だから多くの人はそんな「自由に自分らしく生きる」なんて夢みたいなことは考えずに生きているのです。
そのほうがずっと賢明であり安全なのですから。
でもやっぱり自由に自分らしく生きたいという願いは心の底で生き続けているのではないでしょうか。
それは自分を生きるということ。
その疼きのような願いを持った人のところには神様が一つのプレゼントを贈ってくださいます。
子どもの不登校というプレゼントです。
その不登校というプレゼントを受け取れた時(不登校の子のありのままを許し受け入れた時)、あなたは自由に自分らしく生きられるようになったのです。
啐啄同時。
解放は親子同時に訪れる、と僕は考えています。
不登校克服のための10か条
最後に参加して下さったみなさんの参考になればと「不登校克服のための10か条」も資料に加えておきました。
教育講演・人権講演のテーマや内容、お問い合わせについては
http://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/64075/
講演会の講演依頼.com|長谷川満 プロフィールページ
https://www.kouenirai.com/profile/3820
子どもさんの学習の悩み・家庭教師のご相談は
http://www.hariat.co.jp/ksg/
< 最近行った講演会 >
2024年7月 しそう市就学前人権教育研修会
「子どもの心を満たす教育と受容について」
https://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/5170233/
2024年5月 学研ミドルペンスクールオンライン講演
「子どもの意欲を引き出すプラスの問いかけ」
https://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/5162800/
2024年1月 加古川市立平岡北幼稚園
「子どもを幸せに伸ばす10の秘訣」
https://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/5153090/
2024年1月 子どもと保育実践研究会
「子どもの心を満たす教育と受容について」
https://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/5152753/
2023年12月 大阪府貝塚市PTA協議会
「思春期・反抗期の子どもとのつきあい方」
https://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/5150532/
2023年12月 大阪府立清水谷高校教職員研修
「生徒の自尊感情を育てる関わり」
https://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/5150139/
2023年11月 加古川市立平岡北小学校人権研修会
「思春期になる前に知っておきたい7つの接し方」
https://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/5149715/
2023年11月 加古川市立中部中学校区PTA五校園研修会
「自信と意欲を引き出すプラスの問いかけ」
https://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/5149583/
2023年10月 佐賀学園成穎中学校
「学力向上のための7つの問いかけ」
https://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/5147821/
2023年10月 九州地区理容師美容師養成施設教職員研修会
「多様化する学生対応」
https://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/5147141/
2023年10月 兵庫県加西市立加西中学校PTA人権講演会
「自信と意欲を引き出すプラスの問いかけ」
https://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/5146749/
2023年9月 兵庫県多可町立中町南小学校PTA人権講演会
「自信とやる気を引き出すプラスの問いかけ」
https://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/5145867/
2023年9月 大分県豊後高田市主催
オンライン講演「いのちの大切さを子どもたちにどう伝えるか」
https://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/5145807/
2023年9月 三重県明和町立下御糸小学校人権講演会
「絵本で語る子どもの人権』
https://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/5145297/
2023年9月 東京都港区芝浦小学校人権講演会
「子どもの自信と意欲を引き出すプラスの問いかけ」
https://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/5144594/