栃木県真岡市立真岡西小学校での講演会「子どもを幸せに伸ばすための親学講座」
11月2日(火)は新温泉町立浜坂南小学校で人権講演会がありました。
テーマは「いのちの大切さを子どもたちにどう伝えるか」。
聞いてくださるのは保護者の方々や先生方、約100名です。
苦しみの本質は孤独にある
この世には色々な苦しみがありますが、それらは孤独だから苦しいんですね。
貧乏でもね、周りがみんな豊かで自分の家一軒だけお金がなかったら惨めで苦しいですけど、周りもみんな貧乏やったら自分とこが貧乏でも全然楽しく生きていけるんですね。
「そっちもお金ないんか。うちもないわ。わはは。」みたいにして。
問題はその悩みそのものより、そこから来る孤独感こそが人を苦しめ追い詰めてしまうんですね。
いじめもね。
たった一人いじめられて誰もかばってくれない。誰も自分の気持ちをわかってくれない。その孤独感が最も苦しいんですね。
そんな時に一人でもいい。
自分の気持ちをわかってくれる、本当に味方になってくれる、そんな人がいてくれたらどんなに救われることでしょう。
「命は大切だ」ではなく「あなたが大切だ」
以前、公共広告機構のCMで
「命は大切だ。命を大切に。そんなこと何千何万回言われるより『あなたが大切だ』誰かがそう言ってくれたらそれだけで生きていける。」というのがありましたが、今子どもたちにとって最も必要なメッセージとは「あなたが大切だ」という心からの言葉や関わりではないでしょうか。
そういう個別具体的な言葉や関わりこそが子どもの自尊感情を高め、自己肯定感を育みます。
「愛」を幼い子どもたちに伝える
今皆さんのお手元に「あいってなあに?」という詩がありますね。
この詩は「愛とな何か」を幼い子どもに伝えようとしている詩ですが、その表現はやはり個別具体的です。
愛とは人の心を明るくするものです。
愛とは人の心をあたたかくするものです。
その愛をあなたが私に持ってきてくれた。
そんなふうに愛を伝えられたら素敵だなあという思いからこの詩が生まれました。
子どもを大切にするってどうすること?
命の大切さとは「あなたの大切さ」であり、それはどうすれば伝わるかということが問題になってきます。
ここで皆さんに質問です。
「子どもたちを大切にするってどうすることでしょうか?」
子どものことを思うが故に厳しく躾ける、厳しく接するということがあります。
でもその結果、その子が自分は親から、または先生から嫌われていると感じるなら全くの逆効果になってしまうということです。
大切なのは子どもがそれをどう感じるかです。
だから質問をこう変えなければなりません。
「子どもたちはどんな時に自分は大切にされていると感じるのだろうか?」
この点について一緒に考えてまいりましょう。
非行少年たちの心を知りたい一心からカウンセリングは生まれた
心理カウンセリングを創始したのはアメリカのカール・ロジャーズという人です。
カール・ロジャーズはもともとアメリカの児童相談所に勤めていたんですね。
そこで問題行動のある子どもたちの更生プログラムに携わっていました。
そのころの更生プログラムは指導が中心です。
でも、いくら指導しても再犯率は下がらなかったんですね。
そこでカール・ロジャーズは考えたんですね。
今の「指導」というやり方では効果がない。
ではどうすればいいのか。
それにはまず相手を知ることが大切だ。
彼らの心を知らずに対策を立てることは出来ない。
そうして、彼は子どもたちの話を一切指導したり、批判したりすることなく、ただただ子どもたちの心を知るために、聴くことに徹したんですね。
彼は来る日も来る日も子どもたちの話を聴きました。
しばらくすると何も対策を講じていないのに目に見えて再犯率が下がり、子どもたちの問題行動が減ってきたんですね。そればかりか更生した元非行少年たちが何人もカール・ロジャーズのもとを訪れてお礼を言うようになったんですね。
「今こうして自分があるのは先生のおかげです。先生は僕を問題児としてではなく、一人の対等な人間として接してくださいました。僕の話を真剣に聞いて下さったのは先生だけです。」
図らずも、子どもたちにどう関わればいいかとその方策を知るために子どもたちの話を聴き始めたのですが、その「聴く」という行為が奇しくも最も有効な対策だったのです。
ここに「あなたを大切に思っているよ」と伝えるにはどうすればいいのか、子どもたちはどんな時に大切にしてもらっていると感じるのかの一つの答えがあります。
それは子どもの話を「聴く」ことです。
自尊感情や自己肯定感を育てる関わり
子どもたちが自分を大切に思う気持ち、自尊感情があるからこそ相手も大切に思えます。
そういう意味では自尊感情を育てることが「命の大切さ」を伝える上でとても重要になってきます。
(指導上の体験例やエピソードを交え、わかりやすく具体的にお話ししました。)
子どもを大切にするとはどういうことか。
それは子どもの気持ちを大切にするということです。
子どもの気持ちを理解しようとするということです。
人間の社会は弱さに支えられている
在日朝鮮人作家の高 史明(コ・サミョン)さんてご存知でしょうか。
一人息子さんを12歳の時に自殺で失くされ、その子がノートに書き残していた詩を「ボクは12歳」という詩集にして出版された方です。その後「命とは何か」「生きるとはどういうことか」を問い続けてこられました。
その高 史明(コ・サミョン)さんが先日NHKの「こころの時代」という番組に出ておられてこんなことを仰っていました。
「人は一人で生きているのではありません。全ての命と繋がって生きているのです。私が息子に伝えるべきだったのは『強くなくていいんだよ。苦しい時は苦しいと言っていいんだよ。助けてと言っていいんだよ。」という言葉だったように思います。人は支え合って、つながりあって生きています。それは人間が強いからではなく弱いからなのです。弱さとは否定されるものではなくむしろ人と人が助け合ってつながり合って生きていくための大切な要素なのではないでしょうか。」
人間の社会は実は弱さに支えられてあります。
弱いからこそ支え合い、励まし合い、助け合って生きているのです。
弱さを認め受け入れた時、それは思いやりや許す力へと変容する
弱さは恥ずべきものではありません。
自分の弱さを認め受け入れた時、それは思いやりや許す力へと変容します。
そしてそれを持つことができた時はじめて本当の意味で「命の大切さ」を伝えることができるようになるのだと思います。
最後に「弱さという贈りもの」という詩を読ませていただいて私の講演を終わりにしたいと思います。
「本日は誠にご清聴ありがとうございました。」
そのあとお一人お一人にそれぞれ違う100種類の詩をプレゼントしました。
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