「墓じまい」を考える前に読んでほしい物語(27)「祖母の言葉から」川上さゆりさん(23歳)

能島孝志

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テーマ:お墓物語

お墓にまつわるエピソード集「お墓物語」 

一見、同じように見えるお墓だが、実はそれぞれのお墓には、
それぞれの思いと数々のエピソードがあります。

全国の墓石を含む石材関連業者約1,300社が加盟する、
日本最大の業界団体である、(一社)日本石材産業協会では、
お墓にまつわる感動的なエピソードを集めた小冊子、
「お墓物語」を、2011年3月に発行いたしました。(非売品)


お墓にまつわるエピソード集「お墓物語」

「お墓物語」を発行するにあたり、作品を募集したところ、
全国各地から数多くの応募作品が寄せられました。


その中から33名の方の作品がこの小冊子に収められています。


涙あり、笑顔あり、驚きありの素晴らしい物語ばかりです。


マスコミ等で「墓じまい」ばかりが大きく取り上げられる昨今において、
「お墓ってこんなに素晴らしいものなんだよ」ということを、
今一度、一人でも多くの人に気づいていただければと思い、
ここに、33話、全ての物語を順にご紹介させていただきます。

これまでに、以下の26作品をご紹介いたしました。

(1)「祖母との出会い」/三浦るるさん
(2)「お墓参りの不思議」/伊東徳久さん
(3)「祖父のお墓で」/水野真由美さん
(4)「おはからい」/漣ほたるさん
(5)「星よりも近く」/倉木敬人さん
(6)「泣き虫」/藤田徹朗さん
(7)「田舎のお墓を訪れて」/長坂隆雄さん
(8) 「祖母の墓を抱きしめて」/梅山太郎さん
(9) 「祖母VS母・お墓バトル」/森下純一さん
(10) 「一片の桜」/咲ママさん
(11)「心の掛け橋 」/棚橋すみえさん
(12)「おじいちゃんがくれたもの」/匿名希望さん
(13)「お墓物語」/寺田聡さん
(14)「温かい土」/渡辺笑子さん
(15)「父の死と我が使命」/匿名希望さん
(16)「孫に引かれて歩む道」/今野芳彦さん
(17)「墓石は語る」/伊東静雄さん
(18)「癒しの園」/加納一馬さん
(19)「家族の縁をつなぐお墓」/ももいちごさん
(20)「プロポーズはお墓で」/仁平井清次さん
(21)「お墓が仲人」/岡部晋一さん
(22)「桜咲く春の奇跡」/サカナさん
(23)「お墓で集うイトコ会」/前田喜久子さん
(24)「墓守娘のつぶやき」/久米早緒里さん
(25)「墓の花筒作り」/山本信之さん
(26)/“「天保」の年号”北山亮司さん

今回は、栃木県在住の川上さゆりさんの作品、
「祖母の言葉から」をご紹介させていただきます。
心温まるエピソードを通じて、家族や大切な方との絆や、
命の尊さを考えていただくきっかけになればと考えております。


「祖母の言葉から」/川上さゆりさん(23歳・栃木県)

私は、春や秋のお彼岸とお盆のお墓参りをするたび、
思い出す言葉があります。


大好きな祖母がよく言っていた言葉です。


その言葉を思い出すと、今でも私の心はポッと温かくなります。


毎年、私の親せきは、お彼岸とお盆になると、我が家に集まります。


全員そろうと、お墓参りに出かけるのです。


それは、私が高校生でお盆の時でした。


ご先祖様に感謝

お墓参りの帰り道、足の不自由な祖母と手をつなぎ、
歩幅を合わせて歩いていると、祖母は私にこう言いました。

「いいかい。ご先祖様がいるから、今の自分があるんだよ。
お墓だって、ご先祖様が眠っているし、
お墓を通して私たちを見てる。見守ってくれてるんだよ。
だから、お前もご先祖様に感謝して大切にするんだよ」


私はこの言葉を聞いたとき、ハッと気付かされました。


『そうか。ご先祖様がいなければ、祖母も母も私も生まれない。
そしたら、今こうして生きてもいないんだ。
お墓の中でご先祖様が私たちを見守ってくれているなら、
これからはもっと精一杯、生きよう』

こんな大事なことを教えてくれた祖母は、
二年前に亡くなりました。


心不全でした。


祖母はご先祖様になった。

祖母は、ご先祖様の一人になりました。


思い出すと悲しいけれど、今なら笑顔で「ありがとう」と伝えたいです。


今、私たちは、ご先祖様への「ありがたさ」と、
「つながり」を忘れているように思います。


核家族が増え、今ではこの二つが消えかかろうとしています。


だから、もう一度、振り返ってみたらどうでしょうか。


ご先祖様への感謝の心が、他人への思いやりの心になると思います。


それに、先祖から先祖の」つながりが、親から子へ、
子から孫へと命の輪になるんだと思います。


誰もが入るお墓。


私は、ご先祖様に感謝し、今を生きる喜びに気付くことができました。


本当に感謝、感謝です。


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お申込みは第一石材までFAXまたはEメールにてお申込みください。
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・FAX:078・515・2737(24時間受付)
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「お墓物語」は、近畿地方の方限定でお送りさせていただきます。
なお、部数に限りがありますので業者の方のお申し込みはご遠慮ください。


             
            ~つづく~



次回は、石田亘さん(76歳・東京都)の作品、
「我家の記念碑」をご紹介させていただきます。


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