「大島石墓石」の価格・ランク・品質を徹底解明!(8)日本と中国で加工精度が違う!
(1)「庵治石」ってどんな石?
(2)鉱物学的に見る庵治石の特徴
(3)庵治石の種類
(4)庵治石の産地と歴史
(5)最高の庵治石は、「大丁場」から
(6)庵治石の各丁場
(7)庵治石の鉱物鮮度
(8)庵治石が希少価値となる所以
上記のコラムからのつづきです
9.庵治石の採石丁場の使用料
石を掘る山、採石場のことを「丁場(ちょうば)」と呼びますが、
庵治石の丁場は、大きく分けると三つの丁場があります。
先ずは、庵治町丸山に位置し、旧高松藩御用丁場の流れをくみ、
現在は大久保家が所有(株式会社オオクボエンタープライズ)し、
庵治石の中でも、最も良質の庵治石が採掘されるといわれる「大丁場」。
次は、住所地は牟礼町に位置するが、大丁場に隣接し、
ほとんどの部分が、白羽(しらは)神社所有の「野山丁場」。
そして、最後が、庵治町に位置し、主に平井家(湯谷地区)、
奴賀(ぬか)家(松尾地区・馬治地区)所有の「庵治山丁場」です。
ただし、「野山丁場」「庵治山丁場」については、一部個人所有の丁場もあります。
これらの各丁場にて庵治石の採石を行っているのは、
2005年現在、採石を休止しているところを含めて50社余りあります。
そして、これら50社余りの庵治石の採石業者は、
どこでも好きなところから、勝手に庵治石を採掘できるのではなく、
それぞれどの丁場のどのエリアが自社の採掘権かが細かく決められています。
また、庵治石を採掘するには、丁場の所有者に対し、
手数料を支払う必要があり、この手数料のことを「年貢」と言います。
▲庵治石の各丁場
年貢
「年貢」とは、採石業者が支払う、「丁場」の使用料のことです。
50社余りの庵治石採石業者のうち、個人所有の丁場を除く大部分の業者は、
所有者(=地主)に対して「年貢」を支払って採石する権利を得るのです。
実際のところは、庵治石を採掘しなくても、
また採れた庵治石が、仮に売り物にならないような石であり、
事実、その石が売れなかったとしても「年貢」は必要となります。
この「年貢」が庵治石の価格決定を左右する重要なポイントの一つでもあります。
丁場の維持
庵治石の丁場を維持していくには莫大な費用がかかるのです。
丁場に続く道路の整備から始まって、採石跡の埋め戻し、
「みどりの条例」に基づいた採石跡などへの植林、
防火用貯水池や砂防ダム(山からの鉄砲水を防ぐために必要)の管理等々、
さまざまな丁場の維持管理費用が必要となってきます。
この費用は莫大なもので、すべてが採石業者にかかってきます。
▲「みどりの条例」に基づいた採石跡の埋め戻し及び、植林。
庵治石丁場における採石量の許可
庵治石の採石業者は所有者に年貢を支払って、
採石する権利を持っているからといって、
好きなところで、好きなように採石できるわけではありません。
丁場の持ち主である地主(=所有者)の許可はもちろんのこと、
採石法に基づき香川県知事の許可が必要になるのです。
「大規模開発」「中規模開発」「小規模開発」といったように、
原石の採掘量と採掘期間の長さで許可の種類が分かれています。
このように、庵治石の採掘には、莫大な費用が掛かるのですが、
良い石が出るかどうかは、実際に採掘してみないことにはわかりません。
かつては、すばらしく良い石が採掘されていた丁場であっても、
ある年から突然、良い石がまったく採掘されない、といった例もあります。
それだけに、庵治石のお墓を購入される際には、
その年、その時期の各丁場の庵治石の状態に関する情報を、
よく把握している石材店を選ぶことが重要です。
※参考文献:『天下の銘石 庵治石』(谷本竹正氏著)
〜つづく〜
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