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「大島石墓石」の価格・ランク・品質を徹底解明!(最終話)なぜ中国加工の大島石墓石が売れるのか?

2014年6月8日 公開 / 2014年8月1日更新

テーマ:日本の銘石

コラムカテゴリ:冠婚葬祭

コラムキーワード: 墓石 種類お墓

(1)大島石とはどんな石?
(2)大島石にはランク・等級があるのか?
(3)大島石特級でお墓をつくれば安心なのか?
(4)大島石墓石は本当に国産?
(5)日本と中国でつくる大島石墓石の素材の違い
(6)日本と中国では加工・製作方法が違う!
(7)日本と中国では磨きが違う!
(8)日本と中国で加工精度が違う!
(9)国内加工と中国加工とでは見分けがつくのでは?
(10)大島石墓石とインド産墓石が同じ値段?

上記のコラムからのつづきです


(11・最終話)なぜ中国で加工された大島石墓石が売れるのか?


消費者は日本で加工されたものだと思っている。


ここまでのコラムで、「大島石」とはどんな石なのか?
また、中国の石材加工工場でつくられる大島石墓石について書いてきました。

原石の品質の違いや、加工・製作の方法の違い、研磨行程の違い、
「やくもの」などの加工精度の違いなど、全ての日本の石材加工工場が良いとは言いませんが、
優れた加工技術を持つ日本の工場でつくられた大島石墓石との違いも書かせていただきました。

中国へ送られる大島石で良い石はほとんど無い!


(5)日本と中国でつくる大島石墓石の素材の違い
日本の石材加工工場で大島石墓石を製作する際に使用する原石と、
中国に大量に送られる大島石とは、原石の品質が異なります(当たり外れもあるが…)。

日本の石材加工工場が大島石の原石を調達する場合、
採石丁場や仲買人に、原石に関して細かな注文を要求します。

そして、届いた原石を確認し、あまりにも状態が悪ければ、
新たな別の原石に取り替えてもらうなどの交渉をします。

ところが、日本や中国の石材商社を通じて中国に送られる大島石の場合は、
安い価格で大量に原石を買い付けするので、そこまで細かく品質は要求できません。


大島石採石丁場

ということは、そこそこの石ももちろん含まれていると思いますが、
日本では到底使われないような、極めて粗悪な石も混ざっているのです。

どの品質の大島石が消費者に当たるのかは、その時の運もありますが、
中国に送られている大島石で、極めて良質の美しい石はまず少ないでしょう。

日本と中国とでは大島石墓石の造り方が違う!


(6)日本と中国では加工・製作方法が違う!
日本の石材工場(すべての石材工場ではないが)と中国の石材加工工場とでは、
墓石を加工・製作する工程において、根本的につくり方が異なります。

木に「柾目」「板目」の目があるように、石にも目があります。

黒御影石のように、ほとんど石目が分からないものもありますが、
大島石や天山石などは、切る方向によって石目や色目の見え方が異なります。

日本の石材加工工場の中でも、製品にこだわる工場では、
この石目を合わせてつくり、最もきれいな面が正面に向くように、
「天目取り」という加工方法で墓石を製作しています。

しかし、この加工・製作方法で墓石をつくるとなると原石の歩留まりが悪く、
原価コストが高くつくため、中国の石材加工工場では基本的には行っていません。

そのため、ひどいものになると、正面から見るとパッチワークのように、
墓石の各パーツごとに、色目や石目が極端に違って見えるものもありますが、
中国でお墓をつくることの最大の目的は低コストであるため止むを得ません。

日本と中国では磨きに差がある!


(7)日本と中国では磨きが違う!
日本の石材加工工場では、コンピュータ制御による自動研磨機による磨きが主流ですが、
短納期での受注・発注が日常化している中国の石材加工工場では、
手磨きに比べると、時間を要する自動研磨機を使っている工場はそう多くなく、
加工時間が短くてすむ手動研磨が現在でも主流で、磨きの工程も、
丁寧な日本の工場では8〜9工程後にバフ仕上げ、中国の工場では5工程程度が一般的です。


手動研磨による磨き

この研磨工程の差は、艶がどれだけ長持ちするかに大きく影響し、
5年、10年、20年と年月を経るごとにその差がよく分かってくるのです。

細かい部分の加工精度が違う!


(8)日本と中国で加工精度が違う!
「やくもの加工」と呼ばれる、“蓮華加工”や“角花瓶加工花立て”など、
特殊加工については、中国、日本を問わず、これらをつくることが出来る職人は少なく、
日本石材三大加工地の一つで、200件を超える石材加工工場が軒を連ねる、
香川県・高松市にある「庵治・牟礼」においても例外ではありません。


中国でのやくもの加工

現在、「庵治・牟礼」で“蓮華加工”の出来る職人は10人に満たず、
技術の善し悪しはともかく、安価な加工賃の中国の石材加工工場に押され、
仕事量が無いため、後継者の育成もままならない状態とのことです。

以上のように、中国の石材加工工場でつくられる大島石墓石と、
日本の石材加工工場(すべてとは言えませんが)でつくられるものとは、
一口に大島石墓石と言っても、実は細部にわたり異なるのです。

しかし、現実には中国で加工・製作された大島石墓石は売れています!

それも、日本でつくられる大島石の何倍も売れているのです。

その理由は、多くの消費者は、自分自身が買った大島石の墓石が、
まさか、中国でつくられているなんて思ってもいないからです。

近年では、大島石に限らず、多くの国産石材の原石が中国に送られ、
墓石やその他の付属品として大量に製品化され逆輸入されていますが、
石自体が国産であれば、特に「中国加工」と明記する必要も法的にはありません。

だとすれば、石材店では、中国で加工・製作された大島石墓石を、
店頭で堂々と「国産・大島石墓石」と表示して販売することが出来る訳です。

また、石材店の営業マンに「中国産の石より国産が安心ですよ!」なんて言われたら、
消費者からすれば、当然日本でつくられているものだと、勝手に解釈してしまうのです。

ましてや、中国で加工しているので、日本でつくられる大島石墓石と違い、
値段もそこそこ安いので、お値打ち品かと勘違いし、ついつい買ってしまうのでしょう。

だから、お薦めはインド産墓石セット!


前回のコラムで書かせていただいた、良質のアーバングレー原石をし、
中国の極めて技術力の高い工場でつくる「アーバングレー墓石セット」…①

…と、中国加工の大島石墓石に中国産の安価な御影石でつくった、
外柵・付属品とを組み合わせた「中国加工・大島石墓石セット」…②

上記、①と②の墓石セットのうち、どちらを選ぶのがベストなのか?

それは、当然、①のアーバングレー墓石セットです!


アーバングレー墓石

しかし、②の「中国加工・大島石墓石セット」薦める石材店も少なくありません。

その理由は、他店との競合に勝ちやすいからです。

例えば、Aという石材店から、①の「アーバングレー墓石セット」を、
工事費等を含み、総額150万円という見積もりが出たとしましょう。

そこで、B石材店は「大島石墓石セット」を同額の150万円で見積りします。
(もちろん、中国加工の大島石墓石だが、見積書には明記されていない)

「同じ金額で、当社は国産の石ですよ!」なんて言われれば、
お墓のことなど、何も分からない一般消費者からすれば、
そりゃ、大島石の墓石セットを選んだ方が安心だと思いがちです。

これが、現在、大量の中国加工・大島石墓石が市場に流通している大きな理由です。

中国で加工・製作された大島石墓石が良いか悪いかどうかは、
ほとんどの石材店は、当然分かって販売していると思いますが……?

私ども、(株)第一石材では、値段の高い安いに関係なく、
中国で加工・製作された大島石墓石は一切取り扱っておりません。

これまで、長々と大島石の墓石について書かせていただきましたが、
日本が誇る銘石の一つである、愛媛県産の「伊予大島石」は、
大島石をよく知る石職人の手で丹誠込めてつくられてこそ、
大島石が本来持つ美しさと堅牢さが引き出されるのです。

一般消費者の方々には、大島石墓石の大半が中国の石材加工工場で、
つくられていることを、きちんと知っていただくとともに、
それが、どのような品質なのかも認識した上でご判断ください。

では、日本の技術力の高い工場で、大島石墓石をつくるとなると、
中国でつくられる大島石墓石とでは、値段はどれくらい違うのでしょうか?

上台への亀腹加工、角花瓶加工花立て、蓮華加工などの特別加工がなければ、
中国加工の2〜3割アップで、日本の技術力の高い工場でつくることが出来ます。

この、2〜3割の違いを高いと考えるか、安いと考えるかは、
人それぞれ異なると思いますが、値段の差以上の違いがあることは確かです。

お墓は、一生に一度買うかどうかの大きな買い物です。

長い目で見ての、2〜3割の違いです。

いずれにしても、どうぞ慎重にお選びください。




        ~おわり~




『墓石大賞』受賞・5度の実績!
1級お墓ディレクター・能島孝志がご提案する
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http://www.daiichisekizai.com/

この記事を書いたプロ

能島孝志

お墓のプロ

能島孝志(株式会社第一石材)

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