天下の銘石「庵治石(あじいし)」ならではの価格の割り増し

能島孝志

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テーマ:日本の銘石

大丁場・田渕石材産の庵治石極上細目で造った9寸神戸型3重台墓石

庵治石と聞いて先ず思い浮かぶのは、墓石の中でも最高級品であるということではないでしょうか。

現在においては、墓石の中で庵治石は最高級ブランドとして定着しています。
しかし、意外と墓石として一般的になったのは近年で、
一躍名を馳せたのは戦後、戦没者の軍人墓を量産した頃からです。

それまでは、墓石より燈籠・彫刻物が主であり、
さらにさかのぼると建築材・石垣材としての需要が大部分でした。

この「庵治石」が一躍名を馳せた背景には、庵治石は硬く細かい加工が細部まで確実にでき、
風化しにくいため、永く美しさが保てるという理由からであります。

また、磨いた時の艶と独特の『斑(ふ)』には他に類を見ない美しさであります。

これらには、庵治の石工(いしく)達の卓越した技術があったからこそです。

こうして、庵治石は徐々にブランド化され永く愛されてきたのであります。


この庵治石が高価である理由の一つに「庵治石の割増(わりまし)」という商習慣があります。

標準的な形状の9寸神戸型2重台墓石

【割増とは】
墓石業界において、販売価格設定の基本方式がありますが、
別途加算しなくてはならない部分が生じます。

例えば、全体に加工が難しい製品や、花立の花瓶加工や蓮華台など
凝った加工を要するものが付随する場合などです。

この別途加算しなくてはならない要因の一つが「庵治石の割増」となります。

割増の対象となる蓮華加工、花瓶型花立、霊標(墓誌)等

【割増になる場合】
基本的には、3尺(約90㎝)以上の長いもの、5才(約0.14㎥)以上の量があるものや、
厚さの薄い物、そして、霊標(墓誌)や碑銘などの板状のものなどが割り増しの対象となります。

つまり、大きいものや、採りにくい寸法のもの、
逃げ道のないもの(見える部分が多いもの)などであります。

長いものは庵治石の地層条件からしてなかなか採れないことに加え、
難点(キズなど)を取り除くのが難しい。

大きなものはそれだけ採石時に手間も時間もかかり、
運搬も難しく、またこれも石の難点を取り除くのが難しい。

霊標のように薄いものは難点を取り除くのが難しいうえ、
加工途中でキズや玉、サビなどによりその石がダメになった場合に、
寸法を小さくして他の部材として使い回すことが出来ないためであります。

これらの「割増」の付く条件や割増率の計算方法は業者によって多少の違いがあります。

                 ~つづく~

※参考文献:『天下の銘石 庵治石』(谷本竹正氏著)


「庵治石」について詳しくはこちらまで
http://www.daiichisekizai.com/choose_stones/2010/01/entry_692/
神戸の「お墓のプロ」、(株)第一石材・能島孝志の神戸新聞取材記事はこちら!
http://mbp-japan.com/hyogo/daiichisekizai/
神戸・兵庫・阪神間の“いいお墓づくり”は「和型墓石」から「デザイン墓石」まで第一石材へ
http://www.daiichisekizai.com/

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専門家

能島孝志(1級お墓ディレクター)

株式会社第一石材

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