天下の銘石「庵治石(あじいし)」の特性

能島孝志

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テーマ:日本の銘石

■かさね・二番・目

「庵治石」の大丁場付近では良質の「細目(こまめ)」と呼ばれる庵治石が多く採掘され、
その年間採石量は約3720t(日本石材産業協会調べ/平成16年度現在)でありますが、
その内、墓石・燈籠・彫刻材等として製品化される量はわずか3~5%です。

他のものは、栗石(建築用の土台石等)・庭石・築石・捨石(埋め立て等)などに使用されます。

なぜこのように産出量に対しての製品量が少ないかというと、
この庵治石の丁場は他の地方の採石丁場に比べ、
岩盤に入っている亀裂が非常に多いため大きい石が採石されにくいのです。

庵治石の特性である「かさね」と「二番」。

岩盤に入っている亀裂を南北が「かさね」、東西が「二番」といわれ、水平方向に「目」といわれています。

この「かさね」はほとんどが縦方向に、「二番」は横方向に走っています。

これらの石の状態のことを「かさね肌」「二番肌」と呼びます。

「かさね」「二番」「目」には、それぞれキズといわれる筋があります。

それぞれ「かさねキズ」「二番キズ」「目キズ」と呼ばれております。

キズには他に「青タン」「白キズ(こもりキズ)」「発破キズ」と呼ばれるものもあり、
またキズではないが一般的に「ナデ」と呼ばれている石の模様・ムラ(ヨリ)もあります。

庵治石丁場の「かさね」の層。

【かさね】
瀬戸内火山活動期に南部方向が高く、北部方向が低くなるような
四半球状の急激な曲隆(地殻が穏やかに上方へたわむこと)により北側に放射線状の亀裂が生じました。

この筋は南北にほぼ縦方向に走っており、この亀裂が庵治石産地にも起こり「かさね」といわれています。

これは石割りにおいて最も割りにくい面方向でもあります。(他の丁場では三番とも呼ばれているそうです。)

かさね肌は、石を原石から切削の時点でほぼ発見され、
仕上がった製品にこのキズが残ることはほとんど無いといってもよいでしょう。

【二番】
「かさね」に対してほぼ垂直方向(横方向)に入っている筋を「二番」:といい、
石割りにおいては「かさね」の次に割りにくいとされています。

二番肌もかさね肌と同様に、切削や研磨工程の段階で発見されますが、
まれに判りにくいキズがあり、職人の目をくぐり抜け、
製品になってしまうこともあります。(出荷の段階でのチェックを要します。)

【目】
地盤に対して水平方向にあり、一番割れやすい方向でもあります。



昔から『庵治石は玉石』という言葉が伝えられているように明治初期頃までの採石方法として、
山の花崗土を除去して玉石(玉状の石)を取り出していた頃は、
土中から彫り出した石が良質な「庵治石細目」であれば、その下にある岩盤も良質な「庵治石細目」であり、
また玉石が「庵治石中目」であれば、その下の岩盤も「庵治石中目」であるとされていました。

庵治石は、中目が採石される場所には比較的キズが少ないため大きな石が採石されやすいが、
細目が採石される場所にはキズが多いため、大きな石は採石されにくく、
中目に比べて小さな石しか採石されないといわれています。

それぞれの筋(キズ)に沿って筋をよけ、キズの無い部分を岩盤から切り出すため作業効率が悪く、
他の地方の丁場に比べ、一般的に「庵治石の丁場はキズが多い」といわれています。

また、採石された石を加工する段階においても、
原石の状態では見えていなかったキズ等が出てくる場合もあり、
黒玉やナデの問題、色合わせの難しさ等々、
製品に仕上がるまでのリスクが他の石種と比べて非常に高いともいわれています。

以上のようなことから、「庵治石」の希少価値が高く評価され、
なぜ庵治石の産出量が少なく高価になるのかの所以です。

※参考文献:『天下の銘石 庵治石』(谷本竹正氏著)


「庵治石」について詳しくはこちらまで
http://www.daiichisekizai.com/choose_stones/2010/01/entry_692/
神戸の「お墓のプロ」、(株)第一石材・能島孝志の神戸新聞取材記事はこちら!
http://mbp-japan.com/hyogo/daiichisekizai/
神戸・兵庫・阪神間の“いいお墓づくり”は「和型墓石」から「デザイン墓石」まで第一石材へ
http://www.daiichisekizai.com/

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株式会社第一石材

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