原ダイエーは、スーパーの顔をした遊園地だった
誰かが成功する。
売上が伸びる。
昇進する。
独立する。
家を買う。
SNSのフォロワーが増える。
……すごい。
素直にそう思えるといい。
ところが、
しばらくすると、
どこからともなく始まります。
「でも、あの人って運がよかっただけじゃない?」
「親がお金持ちだったんでしょ。」
「たいしたことしてないよね。」
「たまたまでしょ。」
……出ました。
成功者の足元に、理由のハシゴを外す作業。
成功そのものは認めたくない。
でも、
「すごい」と言わないのも感じが悪い。
そこで、
「運。」
「コネ。」
「環境。」
「たまたま。」
を投入。
……とっても便利。
これだけ並べれば、
相手の努力をかなり薄められます。
自分の努力は、
一切増えていませんが。
自分は一歩も動いていないのに、順位だけ上がる。
誰かが失敗する。
会社を辞めた。
商売がうまくいかなかった。
仕事でミスした。
すると、
「まあ、私よりは大変そう。」
……何でしょう。
その安心感。
他人の転落を、自分の昇格通知として読む。
自分は何も変わっていません。
昨日と同じ。
今日も同じ。
明日もたぶん同じ。
なのに、
「あの人よりはマシ。」
これだけで、なぜか胸を張れる。
努力不要。
資格不要。
移動不要。
比較対象を下に置くだけ。
自己評価だけ、勝手に二階へ引っ越します。
……家賃も払わずに。
他人の株価が下がると、自分の株が上がった気になる。
誰かが失敗した。
「よし。」
……何が「よし」なんでしょう。
あなたの株、
上がってません。
そもそも取引所は別。
他人の株価が暴落しただけです。
なのに、
「私のほうがちゃんとしてる。」
と安心する。
他人の赤字決算で、自分が黒字になった気分。
帳簿を見たら、
何も増えていません。
むしろ、
昨日から何もしていない。
でも、
気分だけは黒字。
……なかなか雑な経営。
「あの人よりマシ」は、人生の便利な麻酔。
「あの人よりマシ。」
これは便利です。
挑戦しなくていい。
変わらなくていい。
自分の問題も見なくていい。
誰かを見つけて、
「私はまだ大丈夫。」
と言えばいい。
すると、
自分の問題はそのままなのに、
なぜか気分だけ回復する。
問題から目をそらすための背景画像が一枚増えただけ。
しかも、その背景画像が他人の不幸。
……なかなか趣味が悪い。
下を見れば、上にいる気がする。
上を見る。
「あの人みたいになりたい。」
「あれもできるようになりたい。」
「もっと頑張らないと。」
……疲れる。
そこで、
下を見る。
「あの人よりマシ。」
……楽。
そりゃそうです。
上を見るには、
自分も動かないといけない。
下を見るだけなら、
首をちょっと曲げればいい。
回復方法が雑です。
そして、
「私は大丈夫。」
と帰ってくる。
……何もしてないのに。
下を作るのは簡単。
誰かを下げる。
誰かの失敗を笑う。
誰かの成功にケチをつける。
「あの人よりマシ。」
そうやって、
自分の立ち位置を確認する。
とはいえ、
下を作ったからといって、
自分が上がったわけではありません。
ただ、
上にいるような気がしているだけ。
……とっても便利だね。
他人の成績を下げて、自分の通知表を見なくて済む。
これなら、
いつまでも安心。
……赤点でも。
「誰かが落ちた。」
「よし。」
「自分はまだ大丈夫。」
……何も増えてない。
何も進んでない。
でも、
自己評価だけは、本日も元気に営業中。
業績は知らんけど。
一体、何と戦っているのやら。
( ̄▽ ̄;)



