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【医師監修】 もう夜が怖くない!悪夢障害から解放されるための知識と対処法

坪田聡

坪田聡

テーマ:睡眠障害

悪夢・叫び
夜、眠りにつくのが怖いと感じることはありませんか?鮮明で恐ろしい夢を見て、心臓がドキドキしたまま目が覚めてしまう。それは悪夢障害かもしれません。決して珍しいことではなく、適切な知識と対処法を知ることで、穏やかな眠りを取り戻せる可能性があります。今回は、悪夢障害について詳しく解説します。

◆定義:ただの嫌な夢じゃない?悪夢障害とは

悪夢は誰でも見ることがありますが、悪夢障害は、その頻度や内容によって日常生活に支障をきたす状態を指します。具体的には、以下のような特徴があります。

・非常に鮮明で長く、苦痛を伴う夢の内容を詳細に覚えている
・夢の内容は、生命の危機や身体的な危険、不安、恐怖など、強いネガティブな感情を伴うことが多い
・悪夢によって睡眠が妨げられ、日中の集中力低下や倦怠感、気分の落ち込みなどを引き起こす
・悪夢を見る頻度が週に1回以上など、頻繁に繰り返される

単に嫌な夢を見たというだけでなく、その影響が日常生活にまで及んでいる場合に、悪夢障害の可能性が考えられます。

◆原因・メカニズム:なぜ悪夢を見てしまうのか

悪夢障害の原因は一つではなく、さまざまな要因が複雑に絡み合っていると考えられています。

・心理的な要因:ストレスやトラウマ、不安障害、うつ病などの精神的な問題は、悪夢を引き起こす大きな要因となります。過去のつらい経験や、日々のプレッシャーが睡眠中に悪夢として表れることがあります。
・生理的な要因:発熱や特定の薬の副作用、アルコールや薬物の離脱症状、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害も悪夢の原因となることがあります。
・環境的な要因:寝室の温度や騒音、光などの睡眠環境の悪さも、睡眠の質を低下させ悪夢を誘発することがあります。
・遺伝的な要因:悪夢を見やすい体質が遺伝することもあります。

悪夢を見るメカニズムについては、まだ完全に解明されていませんが、睡眠中の脳活動の異常や、感情を処理する機能の不調などが関与していると考えられています。

◆症状:悪夢以外にも現れるサイン


悪夢障害の主な症状は、繰り返し見る恐ろしい夢ですが、それ以外にも以下のような症状が現れることがあります。

・悪夢から目が覚めた後、強い不安感や恐怖感が残る
・悪夢の内容を鮮明に覚えており、何度も思い出してしまう
・悪夢を見ることを恐れて、眠ることに抵抗を感じる
・睡眠不足により、日中の眠気、集中力低下、イライラなどが生じる
・悪夢の内容が現実と混同してしまい、混乱することがある

これらの症状が続く場合は、専門家への相談を検討しましょう。

◆検査:どのように診断されるのか

悪夢障害の診断は、まず医師による丁寧な問診から始まります。悪夢の内容や頻度、睡眠状況、既往歴、内服薬などを詳しく聞かれます。客観的な評価のために、睡眠日誌をつけることが勧められる場合があります。睡眠時間や質、悪夢を見た時間や内容などを記録することで、医師が状況を把握しやすくなります。

必要に応じて、終夜睡眠ポリグラフ検査が行われることもあります。この検査では、睡眠中の脳波や心電図、呼吸、筋肉の動きなどを記録し、他の睡眠障害の可能性を調べます。さらに、精神的な問題が疑われる場合は、心理検査や精神科医による診察が行われることもあります。

◆治療法:穏やかな眠りを取り戻すために

悪夢障害の治療法は、原因や症状の程度によって異なります。

【心理療法】

・イメージリハーサル療法(IRT):悪夢の内容を書き換え、安全で安心できる結末を想像する訓練を行います。これにより、悪夢の頻度や苦痛を軽減することが期待できます。
・認知行動療法(CBT):睡眠に関する誤った考え方を修正し、リラックス法や睡眠衛生指導などを行います。
・トラウマ焦点化療法:心的外傷が原因となっている場合に、専門的なカウンセリングや心理療法を行います。

【薬物療法】

特定の抗うつ薬や血圧を下げる薬などが、悪夢の頻度を減らす効果がある場合があります。ただし、薬物療法は副作用のリスクもあるため、医師の慎重な判断のもとで行われます。

【原因疾患の治療】

他の睡眠障害や精神疾患が原因となっている場合は、それらの治療を優先します。
治療法は一人ひとりの状況に合わせて選択されるため、専門医とよく相談することが大切です。

◆自分でできる対処法:今日からできること

専門的な治療と並行して、自分自身でできる対処法もいくつかあります。

・睡眠環境を整える:寝室を暗く静かで快適な温度に保ち、リラックスできる寝具を選びましょう。
・規則正しい睡眠習慣:毎日同じ時間に寝起きし、体内時計を整えることが重要です。
・寝る前のリラックス:入浴やストレッチ、瞑想、穏やかな音楽などを取り入れ、心身をリラックスさせてから眠りにつきましょう。
・カフェイン・アルコールの制限:就寝前のカフェインやアルコールは睡眠の質を低下させるため避けましょう。
・ストレス管理:日常的なストレスを軽減するために、適度な運動や趣味の時間を持つなど、自分に合った方法でリフレッシュしましょう。
・悪夢日記をつける:悪夢の内容や見た時の状況を記録することで、悪夢のパターンや誘因が見えてくることがあります。
・安心できるイメージを持つ:寝る前に心地よい風景や安心できる人物などを想像する習慣をつけましょう。

悪夢障害は、適切な対処によって改善が期待できる病気です。一人で悩まず、専門家や身近な人に相談することも大切です。穏やかな眠りを取り戻し、快適な毎日を送りましょう。


雨晴クリニックでは、 悪夢障害の診療を行っています。どうぞお気軽にご相談ください。

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坪田聡
専門家

坪田聡(医師)

雨晴クリニック

不眠症など睡眠障害の治療に30年以上携わり、快眠に関する正しい知識の普及に力を入れています。コーチングによる生活習慣の見直しから枕の選び方までサポート。メディア出演や著書、セミナーの実績も豊富です。

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