夜中に目が覚めてしまう「中途覚醒」の原因と対策
金縛り という言葉を聞いたことがありますか? 怖い話や心霊現象と結びつけられがちですが、医学的には 睡眠麻痺 と呼ばれる睡眠障害の一つです。
◆ 睡眠麻痺(金縛り)の定義
睡眠麻痺とは、睡眠と覚醒の移行期に、一時的に身体が動かなくなる現象です。意識ははっきりしているのに、手足を動かしたり、声を出したりすることができず、多くの場合、数秒から数分程度で自然に回復します。
◆ 睡眠麻痺(金縛り)のメカニズム
睡眠は、レム睡眠 と ノンレム睡眠 という2つの異なる状態を繰り返しています。レム睡眠は、身体は休息しているものの、脳は活発に活動している状態であり、夢を見ることが多いのが特徴です。
通常、レム睡眠中は、身体の筋肉の動きが抑制されています。しかし、何らかの原因で、脳がレム睡眠から覚醒する際に、この筋肉の抑制が続いたまま目覚めてしまうことがあります。これが睡眠麻痺のメカニズムです。
◆ 睡眠麻痺(金縛り)の要因
睡眠麻痺を引き起こす可能性のある要因としては、以下のものが挙げられます。
・睡眠不足
・不規則な睡眠スケジュール
・ストレス
・過度の疲労
・特定の薬物
・ナルコレプシーなどの睡眠障害
◆ 睡眠麻痺(金縛り)症状
睡眠麻痺の主な症状は、意識があるのに身体を動かせないことです。その他にも、以下のような症状が現れることがあります。
・幻覚:誰かが部屋にいる、何かが近づいてくるなど
・呼吸困難
・胸の圧迫感
・恐怖感や不安感
◆ 睡眠麻痺(金縛り)検査
睡眠麻痺は、問診や睡眠日誌などによって診断されることがほとんどです。しかし、頻繁に起こる場合や、ナルコレプシーなどの睡眠障害が疑われる場合には、睡眠ポリグラフ検査(PSG) が行われることもあります。
◆ 睡眠麻痺(金縛り)の治療法
睡眠麻痺自体は自然に回復するため、基本的には治療の必要はありません。しかし、頻繁に起こる場合や、日常生活に支障をきたす場合には、以下のような治療が行われることがあります。
・睡眠衛生の改善:規則正しい睡眠スケジュールの維持、睡眠環境の整備など
・ストレス管理:リラクゼーション法、カウンセリングなど
・薬物療法:抗うつ薬など
・認知行動療法
◆ 自分でできる対処法
睡眠麻痺が起こったときは、焦らずにリラックスすることが大切です。深呼吸をしたり、身体の一部分(指先など)を動かそうと試みたりすることで、症状が和らぐことがあります。
また、日頃から以下の点に注意することで、睡眠麻痺の予防につながります。
・規則正しい睡眠スケジュールを維持する
・十分な睡眠時間を確保する
・ストレスを溜め込まない
・カフェインやアルコールの摂取を控える
・寝室の環境を整える
睡眠麻痺は、誰にでも起こりうる生理現象です。正しい知識を持ち、適切な対処法を実践することで、不安を解消し、快適な睡眠を取り戻しましょう。
雨晴クリニックでは、 睡眠麻痺(金縛り)の診療を行っています。どうぞお気軽にご相談ください。