本番後に妊娠・中絶費用を請求された場合の対処法|弁護士が解説
風俗店で知り合ったキャストと、店を通さずにLINEやSNSで連絡を取るようになった後、「奥さんに話す」「会社に連絡する」「お金を払わなければ警察に行く」といったメッセージが届くことがあります。キャスト本人ではなく、交際相手や知人を名乗る人物から連絡が来るケースもあります。
こうした場面では、相手の言葉に動揺して返信や支払いを急いでしまいがちです。ただ、後から弁護士や警察に相談するときに、何がいつ起きたのかを示せる材料がそろっているかどうかで、取れる手立ての幅が変わってきます。この記事では、キャストと個人的に連絡を取った後に脅された場合に、何をどのように記録しておけばよいかを、書き込み式の整理シートの形でまとめます。
本記事は2026年11月時点の法令にもとづいて記載しています。刑罰の表記は、2025年6月施行の改正刑法により「懲役」から「拘禁刑」に改められた後のものです。
個人的な連絡の後に起きやすい「脅し」の形
キャストと店外でやり取りをしていた方からのご相談では、次のような流れがよく見られます。
- 店外で会った後に「店の規約違反だ」として罰金や違約金を求められる形。
- キャストの交際相手・知人を名乗る男性が現れ、慰謝料や示談金を求める形。
- 送った画像や会話の内容をもとに、家族や勤務先に知らせるとほのめかす形。
- 関係を断とうとしたところ、それまでに渡したお金や物をめぐって請求が始まる形。
相手の言い分に一部当たっている点があったとしても、害悪を告げて金銭を求める行為は、内容によっては脅迫罪(刑法222条・2年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金)や恐喝罪(刑法249条・10年以下の拘禁刑)にあたる可能性があります。一方で、正当な請求が含まれていることもあるため、どこまで応じる必要があるかは、やり取りの中身を確認しなければ判断できません。その判断の土台になるのが、次に紹介する記録です。
記録を始める前に守りたい4つのこと
整理シートに書き込む前に、記録そのものを失わないための注意点を確認しておきます。
- 自分が送ったメッセージも含めて、トーク履歴を削除しないこと。
- 画像やスクリーンショットに書き込みやトリミングなどの加工をしないこと。
- 相手のアカウントをブロックする前に、トーク画面を最初から保存しておくこと。
- 感情的な返信や、支払いの約束をする返信を急がないこと。
自分に不利に見えるメッセージを消したくなる気持ちは自然なものです。しかし、一部だけが消えた履歴は、かえって全体の信用性を下げるおそれがあります。また、LINEなどには送信を取り消す機能があり、相手が後から脅しの文面を消してしまうこともあります。届いた時点でスクリーンショットを撮っておくと安心です。
整理シート① 相手の情報
まず、相手が誰なのかを分かる範囲で書き出します。分からない欄は空けたままで構いません。推測で埋めず、「本人がそう名乗った」「店のサイトに載っていた」など、情報の出どころも書き添えておくと後で役立ちます。
| 項目 | 書き込む内容 | 情報の出どころ |
|---|---|---|
| キャストの源氏名 | ||
| キャストの本名(分かれば) | ||
| 在籍していた店舗名・店の連絡先 | ||
| 個人的な連絡に使ったアプリとアカウント名・ID | ||
| 連絡先を交換した日と経緯 | ||
| 脅しの連絡をしてきた人物(本人・交際相手・知人など) | ||
| その人物の名乗った名前・電話番号・アカウント | ||
| 相手に知られている自分の情報(本名・勤務先・住所・家族構成など) |
最後の行は特に重要です。相手が自分の何を知っているかによって、家族や勤務先への連絡を防ぐために先に打つべき手が変わります。
整理シート② 出来事の時系列
次に、連絡先を交換したところから現在までの出来事を、日付の古い順に並べます。1回のやり取りを1行にし、相手の言葉はできるだけそのまま書き写します。
| 日時 | 手段 | 相手の言動(原文に近い形で) | 自分の対応 | 残っている証拠 |
|---|---|---|---|---|
| 例:10月3日 22時頃 | LINE | 「店外で会ったことを店に言う」 | 返信していない | スクリーンショット3枚 |
| 例:10月5日 13時頃 | 電話(非通知) | 男性の声で「50万円用意しろ、払わないなら会社に行く」 | 「考えさせてほしい」と答えた | 通話の録音なし・着信履歴あり |
「自分の対応」の欄には、言われた通りに謝った、金額に同意しかけた、といった内容も正直に書いてください。相談を受ける側にとっては、どこまで話が進んでいるのかを知ることが、方針を立てるうえで欠かせない情報になります。
整理シート③ 証拠の種類ごとの保存方法
やり取りの手段によって、残し方のポイントが異なります。
| 証拠の種類 | 残し方のポイント |
|---|---|
| LINE・SNSのメッセージ | 相手の名前と日時が画面に入る形でスクリーンショットを撮る。トーク履歴のテキスト保存やバックアップもあわせて行う |
| 電話 | 着信履歴の画面を保存する。通話を録音した場合は、日時が分かるファイル名にして別の場所にも保存する |
| SNSの投稿・書き込み | 投稿のURL、投稿日時、アカウント名が分かる形で保存する。削除されることを前提に早めに残す |
| 対面でのやり取り | 会った直後に、日時・場所・同席者・言われた言葉をメモに書く。書いた日もメモに残す |
| 手紙・書面 | 原本をそのまま保管し、コピーや写真を別に取っておく |
自分が当事者になっている会話を相手に告げずに録音することは、それだけで直ちに違法となるものではなく、裁判などで証拠として扱われることもあります。ただし、録音を相手への反撃や拡散に使うと、別の問題を生むことがあります。録音は記録として保管するにとどめ、どう使うかは相談のうえで決めることをおすすめします。
整理シート④ お金と物の動き
脅しの背景には、それまでのお金や物のやり取りが関係していることが少なくありません。請求の中身を整理するために、渡したもの・受け取ったものを書き出しておきます。
| 日付 | 内容(現金・振込・プレゼントなど) | 金額・品名 | 名目(貸した・あげた・頼まれたなど) | 証拠(振込明細・レシート・メッセージ) |
|---|---|---|---|---|
「名目」の欄は、当時どのような言葉でお金や物を渡したのかを思い出して書きます。貸したお金であれば返還を求める根拠になり得ますし、贈ったものであれば、相手から「返す必要はない」と主張される一方で、こちらが返還を求められる理由にもなりにくいことがあります。後から「あれは貸しただけ」「もらったものだ」と双方の言い分が食い違いやすい部分なので、当時のメッセージで名目が分かるものがあれば、証拠の欄にあわせて控えておきます。
すでに一部を支払ってしまった場合は、その日時と方法、振込先の名義もここに書いておきます。振込先が個人名義の口座だった場合には、その名義が誰なのかも後で重要になります。
記録の付け方で迷いやすい点
相手に送った自分のメッセージが恥ずかしい
個人的な好意を伝えた文面や、性的な内容のやり取りが残っていると、人に見せることにためらいを感じる方は多いです。弁護士には守秘義務があり、ご相談の内容をご本人の了解なく外部に伝えることはありません。不利に見える部分も含めて全体を見ることで、相手の請求のどこに無理があるのかを見極めやすくなります。
もう返信してしまった・約束してしまった
支払いに応じる返信をした後でも、そのまま記録に残しておいてください。脅されたうえでの約束かどうかは、前後のやり取りから判断されることがあります。約束した事実を隠すより、どのような状況で約束したかを示せる形にしておくほうが、後の交渉で役立ちます。
画像や動画の拡散をほのめかされている
やり取りの中で送った画像や、一緒に撮った写真・動画をネタに脅されている場合は、その画像がどれなのかを特定できる形で記録しておきます。性的な画像を本人の同意なく不特定多数に提供する行為は、私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律で処罰の対象とされています。すでに投稿された場合は、投稿先のURLや日時を保存したうえで、削除の依頼や手続を検討することになります。自分で投稿先に何度も書き込むなど、相手を刺激する対応は控えたほうがよいでしょう。
店に事情を話して間に入ってもらってよいか
店の規約で店外での接触が禁じられている場合、店に相談すると、かえって規約違反を理由とした罰金の請求につながることがあります。店に連絡する前に、店とのやり取りもこの記録に含める前提で、誰にどこまで伝えるかを考えておくと安心です。
記録だけで手いっぱいで、今後どうすればよいか分からない
整理シートは、すべての欄が埋まっていなくても構いません。日付が曖昧な出来事は「10月上旬」のように幅を持たせて書けば十分です。相談の場では、シートをもとに足りない情報を一緒に確認していきます。
記録がそろったら、相談先へ
害を加えると告げられている、自宅や勤務先の近くに現れたなど、身の危険を感じる場合は、記録の整理を待たずに警察へ相談してください。そのうえで、金銭の請求や家族・勤務先への連絡を止めたい場合には、弁護士が窓口となって相手と交渉する方法があります。代理人が入ることで、相手からの直接の連絡が止まり、請求の根拠を確認しながら話を進められることがあります。
どのような対応がよいかは、相手が誰か、何を求めているか、自分の情報がどこまで知られているかによって異なります。今回の整理シートは、その見極めのための材料になります。
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キャストとの個人的なやり取りが発端になっていると、自分にも非があるように感じて、誰にも話せないまま要求に応じてしまう方が少なくありません。脅しの連絡が届いたら、まずは消さずに残し、時系列に並べるところから始めてみてください。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


