【解決事例】デリヘル利用時の本番行為で不同意性交を主張された男性が解決金30万円の示談で解決した事例
本記事は2026年10月時点の法令にもとづいて解説しています。2025年6月の刑法改正により、懲役と禁錮は「拘禁刑」に一本化されています。
風俗店でトラブルになり、「手持ちがないなら下ろしてきて」「近くにコンビニがあるから一緒に行く」と言われ、店のスタッフに付き添われてコンビニへ向かうことがあります。繁華街のコンビニでは、ATMの前でスタッフが横に立ち、言われた金額を引き出すという場面も見られます。
この記事では、お金を下ろすためにコンビニへ連れて行かれる場面が法的にどう見られるのか、その場でできること、すでに払ってしまった後にできることを順に整理します。請求の理由に心当たりがある場合でも、払わせ方の問題は別に考えることができます。
コンビニへ連れて行かれるのはどのような場面か
風俗トラブルのご相談では、次のような経緯でコンビニへ向かったというお話を伺うことがあります。
- プレイの後に「本番をした」「規約違反だ」と言われ、罰金や示談金を求められた。
- 「現金がない」と答えると、スタッフが「近くにコンビニがある」と言って付いてきた。
- ATMで下ろせる金額を超えるため、カードローンで借りるよう言われた。
- お金を渡した後に、手書きの領収書や示談書への署名を求められた。
コンビニまで歩いている間や、ATMの前でスタッフが離れずにいる間は、「断ったら何をされるか分からない」と感じて、言われた金額をそのまま引き出してしまう方がいます。後から振り返ると、金額にも名目にも納得していなかったというケースも少なくありません。
コンビニへの同行は法的にどう見られるか
請求の理由と、払わせ方は分けて考える
店や女性の側に何らかの請求の理由がある場合でも、その請求をどのような方法で実現してよいかは別の問題です。相手を怖がらせて金銭を出させる行為は、恐喝罪(刑法249条、10年以下の拘禁刑)にあたり得ます。権利の行使であっても、その方法が社会通念上許される範囲を超えれば恐喝罪が成立し得るとした判例もあります(最高裁昭和30年10月14日判決)。
許されない方法にあたるかどうかは、告げられた言葉、相手の人数、時間帯、金額といった事情を総合して判断されます。詳しくは店の請求が恐喝に変わる線引き|正当な権利行使との境界で解説しています。
部屋や車から出してもらえなかった時間があった場合
コンビニに向かう前に、部屋や事務所から帰してもらえなかった、あるいは車に乗せられて移動したという事情があれば、その間については逮捕監禁罪(刑法220条、3月以上7年以下の拘禁刑)が問題になり得ます。鍵をかけて閉じ込めた場合に限らず、出入口をふさぐ、複数人で囲むなどして、その場を出ることを著しく難しくした場合も含まれ得ます。
一方、路上を歩いてコンビニへ向かった間は、一定の場所から出られない状態とまでは言いにくく、その部分だけを監禁として扱うのは難しいと考えられます。ただし、それで問題がなくなるわけではなく、脅して金銭を出させた点は恐喝として評価され得ます。帰してもらえない状況についてはその場から帰してもらえない|監禁と不退去の境界もあわせてご覧ください。
「自分の足で行った」ことの意味
「自分で歩いて行ったのだから、自分の意思で払ったことになるのでは」と心配される方がいます。しかし、断りにくい状況が作られていたかどうかは、歩いたか車だったかだけでは決まりません。スタッフが付き添って離れなかった、ATMの画面をのぞき込まれた、「下ろすまで帰れない」と言われた、といった事情が重なれば、自由な判断で払ったとは言いにくい場合があります。
| 場面 | 問題になり得ること | 残しておきたい記録 |
|---|---|---|
| 部屋や事務所から帰してもらえない | 逮捕監禁罪(刑法220条) | 滞在した時刻、相手の人数、出入口の状況 |
| 車でコンビニへ移動させられた | 逮捕監禁罪(刑法220条) | 乗せられた場所と時刻、車の特徴 |
| 付き添われて金銭を引き出させられた | 恐喝罪(刑法249条) | ATMの利用明細、コンビニの店名と時刻 |
| 暴行や強い脅しで抵抗できない状態だった | 強盗罪(刑法236条)が問題になる場合がある | けがの写真、診断書、告げられた言葉 |
どの罪が問題になるかは個別の事情によって異なり、表はあくまで目安です。
コンビニに向かう前、店内でできること
金額と名目をその場で決めない
「今すぐ払えばこの場で終わる」と言われても、その場で払うことで後の請求がなくなるとは限りません。金額の根拠や、誰との間で何が清算されるのかが分からないまま支払うと、後から名目を変えた請求が来ることがあります。「弁護士に相談してから回答します」と伝えることは、それ自体として失礼な対応ではありません。即時払いを求められた場面については【風俗トラブル】「今すぐ払えばこの場で終わる」と言われた|即時払いを求められたときの判断で解説しています。
コンビニは人の目がある場所
コンビニの店内には店員や他の客がいて、防犯カメラも設置されているのが一般的です。身の危険を感じる場合には、店員に声をかける、店内から110番に電話するといった方法をとることができます。風俗店を利用したこと自体は犯罪ではないため、通報をためらう必要はありません。
通報する際は、いるコンビニの店名や近くの目印、付き添ってきた人の人数、金銭を求められていることを伝えると、状況が伝わりやすくなります。
借入やカード決済には応じない
ATMで下ろせる金額や口座の残高を超える金額を求められると、カードローンでの借入やクレジットカードのキャッシングを勧められることがあります。借りたお金を渡してしまうと、相手への支払いとは別に、貸金業者への返済義務が原則として残ります。後から店側に損害として求める余地はありますが、回収できるとは限りません。借入の前に立ち止まることが大切です。詳しくは【風俗トラブル】請求を払うために借金をしようとしている|借りる前に考えることをご覧ください。
スマートフォンと書面を手放さない
スマートフォンを「預かる」と言われても、渡す義務はありません。手元にあれば、通報や家族への連絡、やり取りの記録に使えます。下ろしたお金と引き換えに示談書や借用書への署名を求められた場合も、内容を持ち帰って確認したいと伝えることができます。署名の前に確かめたい点は示談書に署名する前の最終確認|後から戻しにくい項目はどこかにまとめています。
すでに下ろして渡してしまった後にできること
記録を集める
支払った後でも、できることは残っています。まずは記憶が新しいうちに、次のような記録を集めておきます。
- ATMの利用明細や通帳アプリの取引履歴。
- コンビニの店名、所在地、利用した時刻。
- 入店からコンビニに向かい、解放されるまでの時刻と経路。
- 付き添ってきた人の人数、特徴、告げられた言葉。
- 店とのやり取りの履歴(通話記録、メッセージ、受け取った書面)。
- スマートフォンの位置情報の履歴。
コンビニの防犯カメラの映像は一定期間で上書きされることが多いため、警察に相談する場合は早めに動くほうが確認しやすくなります。なお、映像は店舗が個人に見せるものではなく、捜査の過程で警察が確認するのが一般的です。
追加の請求に備える
一度払った相手からは、「女性本人が納得していない」「別の関係者からも請求が来ている」など、名目を変えて再び請求が来ることがあります。支払ったことで終わったと考えず、その後の連絡には自分で応じないようにし、着信やメッセージは記録として残しておくことが大切です。
払ったお金の返還を求める
脅されて払った場合には、強迫による意思表示として取り消したうえで不当利得として返還を求めること(民法96条1項、703条、704条)や、不法行為として損害賠償を求めること(民法709条)が考えられます。もっとも、支払いの経緯、請求に一定の理由があったかどうか、相手を特定できるかによって、見通しは変わります。詳しくは払ってしまった後に取り戻せるか|恐喝・強迫を理由とする返還で解説しています。
カードで決済・借入をさせられた場合
クレジットカードで決済させられた場合は、カード会社に事情を伝えて、取消しやチャージバックを検討できることがあります。手続についてはクレジットカードで高額決済させられた|取消・チャージバックは可能かをご覧ください。借入をさせられた場合は、前述のとおり貸金業者への返済は原則として必要ですが、利息や手数料を含めて店側に損害として求める余地があります。
自分にも心当たりがある場合の警察への相談
「本番をしてしまったのは事実だから、警察には行けない」と考えて相談をためらう方は少なくありません。成人どうしの売春について、客の側を処罰する規定は売春防止法に置かれていません。ただし、女性が同意していなかったと主張している場合には、不同意性交等罪などの刑事手続が問題になる可能性が残ります。
その場合でも、脅して金銭を出させた点は別に評価されます。また、その場で払ったからといって、被害届が出されないとは限りません。ご自身の側の事情と、金銭を出させられた経緯の両方を整理したうえで、警察に相談するかどうかを判断することになります。考え方は自分にも非がある場合の警察相談|恐喝被害を申告する際の障害で解説しています。
弁護士に依頼した場合の対応
弁護士が代理人になると、店や女性本人との連絡の窓口を弁護士に切り替えることができ、ご本人が直接やり取りする必要はなくなります。
弁護士は、請求の名目と金額に根拠があるかを確かめ、根拠のない部分には応じない姿勢を伝えます。すでに支払った分については、経緯と記録を整理したうえで返還を求める交渉を検討します。一方で、ご本人に責任が生じ得る部分があれば、その範囲で適正な内容の合意を目指し、女性本人も当事者に含めた示談書を作成して、後から別の請求が来ないように備えます。刑事手続に進む可能性がある場合も、見通しを踏まえて対応を組み立てることができます。支払った後に交渉した例として、【解決事例】デリヘルの本番行為で「罰金」50万円を支払った後に再請求|交渉で支払済みの50万円が全額返金された事例もご参照ください。結果は事案によって異なります。
よくあるご質問
「コンビニで下ろしてくる」と自分から言って店を出た場合はどうなりますか
その場を離れるための言葉として伝えたものであれば、コンビニに着いた後に店へ戻る法的な義務はありません。安全な場所に移ってから、その後の連絡を弁護士に任せることもできます。後から店から連絡が来る可能性はあるため、その日のうちに経緯を書き留めておくと、後の対応に役立ちます。
下ろしたお金を渡したときに領収書をもらいました。これで終わったと考えてよいですか
領収書は金銭を受け取ったことを示す書面であり、それだけで今後の請求がなくなるとは限りません。誰と誰の間で何が清算されたのかを定めた示談書がなければ、女性本人や別の関係者から請求が来る余地が残ります。領収書は支払いの記録として大切に保管してください。
コンビニの店員に助けを求めると、利用したことを周りに知られませんか
店員に事情を詳しく話す必要はありません。「警察を呼んでほしい」とだけ伝えることもできます。周囲の目が気になる場面でも、まずは身の安全を優先して考えることが大切です。
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まとめ
お金を下ろすためにコンビニへ連れて行かれた場合、請求に理由があるかどうかとは別に、払わせ方そのものが恐喝や監禁として問題になることがあります。コンビニは人の目がある場所であり、店員に声をかけることや110番をすることもできます。すでに下ろして渡してしまった後でも、利用明細や時刻、経路といった記録を集めておけば、追加の請求への備えや返還の交渉に生かすことができます。
払ったことで終わりにしてよいのか、払った分を取り戻す道があるのかは、その日の経緯と手元に残っている記録によって変わります。ご自身だけで判断がつかないときは、記録をそろえたうえで一度ご相談ください。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
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