【解決事例】性風俗店で知り合った女性への貸付金トラブル|法的手続きを尽くして区切りをつけた事例
不貞慰謝料について弁護士に相談しようと考えたとき、「何を持って行けばよいのか」で手が止まる方は少なくありません。証拠と呼べるものが手元にあるのか自信がない、逆に記録が多すぎて何から見せればよいのか分からない、という声もよく伺います。
相談の時間には限りがあります。ただ、時間が足りなくなる原因は資料の量ではなく、見てもらう順番にあることが多いといえます。不貞慰謝料の相談では、事情を細かく聞き取る前に決まっていないと先へ進めない事柄がいくつかあり、そこが定まらないまま経過だけを話し続けると、見通しの話に入れないまま終わってしまいます。
この記事では、持ち物を一覧で並べるのではなく、相談の場で答えを出したい問いから逆算して、どの資料を先に用意しておくと話が早いのかを整理します。請求を考えている方と、請求を受けた方の双方を想定した内容です。
この記事で扱うことと、扱わないこと
- 扱うこと=相談前にそろえておくと話が早い資料と、その優先順位。
- 扱うこと=資料が足りないときの伝え方と、形式の整え方。
- 扱わないこと=それぞれの資料がどこまで不貞の証明に役立つかという評価。
- 扱わないこと=資料の集め方と、その集め方に問題がないかどうかの判断。
資料ごとの証拠としての強さや、集め方をめぐる問題は、それだけで独立した論点になります。ここでは立ち入らず、別の記事に譲ります。
相談の最初に決まるのは、事情の中身ではなく「枠組み」です
不貞慰謝料の相談は、出来事を時間順に聞き取るところから始まるとは限りません。先に定まっていないと他の質問に答えが出せない事柄が3つあり、多くの場合はそこの確認から始まります。用意しておく資料も、この3つを先に埋められるものから並べると流れが早くなります。
| 先に決まること | 決まらないと答えが出ない質問 | 手がかりになる資料 |
|---|---|---|
| 誰に対する話か | 請求できる相手・請求されている相手はだれか | 相手方の氏名や連絡先が分かるもの、届いた書面の差出人欄 |
| いまどの段階か | 次に取れる手段は何か | 相手方とのやり取りの記録、届いた書面、すでに交わした書面 |
| 動いている期限があるか | どれを先に決めるべきか | 裁判所から届いた書類、回答期限が書かれた書面、関係を知った時期が分かるもの |
誰に対する話か
不貞慰謝料は、配偶者と交際相手のどちらにも向けられる可能性があり、両方に向けることもできます。請求を考えている側であれば、相手方の氏名や勤務先がどこまで分かっているかによって、取れる手段が変わります。名前しか分からない、連絡先しか分からないという状態でも、その状態のまま伝えていただければ十分です。
請求を受けた側の場合は、だれから来ている請求なのかが出発点になります。相手方本人からなのか、その代理人からなのか、勤務先や親族を名乗る人からなのかで、返し方も窓口も変わります。差出人欄と署名部分が分かる形で持参いただけると、この点はすぐに定まります。
いまどの段階か
同じ「不貞慰謝料の相談」でも、まだ相手方に何も伝えていない段階と、書面のやり取りが始まっている段階と、裁判所の手続に入っている段階とでは、助言の中身が変わります。段階は口頭で説明していただいても分かりますが、やり取りの記録や届いた書面があると一目で定まります。
動いている期限があるか
不貞慰謝料には、民法724条により、損害と加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年という時間の区切りが置かれています。これに加えて、相手方が書面で示した回答期限や、裁判所が定めた期限が動いていることもあります。期限に関わる資料は、後述のとおり順番としていちばん先に見てもらうものになります。
立場によって、先に用意しておく資料は入れ替わります
「不倫の証拠」と聞くと写真や通信履歴を思い浮かべやすいのですが、立場が変われば弁護士が先に知りたいことも変わります。次の表は、立場ごとに優先度の高い資料を並べたものです。
| 立場 | 相談の冒頭で確認されやすいこと | 手元にあると話が早い資料 |
|---|---|---|
| 請求を考えている側 | 相手方をどこまで特定できているか、関係をいつ知ったか | 相手方の氏名や勤務先の分かるもの、関係を知った時期が分かる記録、婚姻の分かる書類 |
| 請求を受けた側 | 何を根拠に、いくらを、いつまでにと言われているか | 届いた書面と封筒、相手方や代理人とのやり取り、支払いや署名の記録 |
| 配偶者の側から相談する場合 | 夫婦の間で何をすでに決めたか | 離婚や別居に関して交わした書面、支払いや受け取りの記録、相手方から届いた書面 |
請求を考えている側
相手方の特定に関する資料は、証拠と呼べるものより先に確認されることがあります。氏名・住所・勤務先のうちどれが分かっていて、どれが分かっていないのかが定まると、そこから先の進め方の説明に入れるためです。
あわせて、関係を知った時期が分かるものを用意しておくと話が早くなります。日記やメモ、相手方や配偶者とやり取りした日付の残る記録、探偵事務所との契約書などが手がかりになります。時期の数え方そのものは事案によって判断が分かれるところですが、材料が手元にあるかどうかで説明の精度が変わります。
婚姻関係を示す書類は、争いになりにくい部分です。戸籍謄本などをその場でご用意いただく必要はありませんが、婚姻の時期と、子どもの有無や年齢は口頭でお伝えいただけると助かります。
請求を受けた側
請求を受けた側では、手元の資料よりも届いた書面そのものが中心になります。請求額、支払期限、回答期限、請求の根拠として挙げられている事実の4点が書面に書かれており、そこから相手方がどこまで把握しているのかを読み取っていくためです。
加えて、これまでに相手方や配偶者とやり取りした記録を、消さずに残しておいてください。謝罪の趣旨に読める連絡や、金額に触れた連絡が過去にある場合、それを知らずに方針を立てると後から前提が変わってしまいます。
配偶者の側から相談する場合
夫婦の間ですでに何かを取り決めている場合、その書面が相談の出発点になります。離婚協議書や誓約書に金銭に関する条項が含まれていると、交際相手との関係でも影響が及ぶことがあるためです。まだ何も書面にしていない場合は、その旨をお伝えいただければ十分です。
期限が書かれた書面は、いちばん先に見てもらう
持参する資料に順番をつけるとすれば、先頭に来るのは期限が書かれたものです。写真や通信履歴の評価は日を改めても大きく変わりませんが、期限は待ってくれません。
差出人が決めた期限と、法律や裁判所が決めた期限
書面に書かれた期限には、性質の違う2種類があります。相手方や代理人が自分で設定した回答期限は、過ぎたからといってその瞬間に何かが確定するものではありません。これに対して、裁判所から届いた書類に書かれている期限は、応じないまま過ぎると手続が先へ進んでしまうことがあります。
どちらに当たるかの見分け方と、種類ごとの意味については、書面が届いた場合の対応をまとめた別の記事で詳しく扱っています。相談の場では、届いたものをそのまま見せていただければ、こちらで見分けます。
封筒も一緒に持参する
封筒には、差出人、消印の日付、送付の方法が残っています。いつ届いたのかは期限の起点に関わることがあり、中身だけを取り出して保管すると、この情報が失われます。受け取らずに戻ってしまった郵便がある場合も、その封筒に理由が記載されていますので、捨てずにお持ちください。
相手の言い分がすでに出ているなら、それが出発点の資料になります
請求を受けた側の相談では、自分の手元にある資料を先に見せようとされる方が多いのですが、実務では相手方の書面から読み始めることがよくあります。争いになる場所がどこかは、相手方が何を書いているかで決まるからです。
相手方の書面からは、次の3点が読み取れます。
- いつからいつまでの関係だと主張しているのか、その期間の特定の細かさ。
- 何を根拠として挙げているのか、写真や通信履歴に触れているのか、触れていないのか。
- だれに対して、いくらを、どの名目で求めているのか。
期間や場所が具体的に書かれている場合と、抽象的にしか書かれていない場合とでは、こちらが取るべき対応も変わります。相手方の書面は、こちらの資料をどう並べるかを決めるための地図としても機能します。
資料は「どうやって手元にあるのか」も一緒に伝える
ここは、相談前の準備として案内されることが少ないものの、見通しに影響しやすい部分です。同じ内容の記録であっても、どのような経緯で手元にあるのかによって、その後の使い方や、そこから生じうる別の問題が変わってきます。
| 記録の出どころ | 相談の場で確認されやすいこと |
|---|---|
| 自分の端末や自分のアカウントに届いたもの | やり取りの当事者はだれか、原本が残っているか |
| 家族で共有している端末やアカウントにあったもの | 共有の範囲、日常的に見られる状態だったか |
| 配偶者や相手方の端末を開いて見たもの | どのように開いたのか、その場で見たのか持ち出したのか |
| 第三者から渡されたもの | 渡した人はだれか、今後も協力を得られる見込みがあるか |
| 調査会社から受け取ったもの | 契約の範囲と期間、報告書の原本があるか |
経路を伏せると、見通しがずれます
手に入れ方に後ろめたさを感じて、内容だけを伝えたくなることがあります。ただ、経路を前提にしないまま立てた方針は、後から相手方に指摘された時点で組み替えが必要になります。動き出した後の組み替えは、すでに送った書面が足かせになりやすく、時間も費用も余分にかかります。
なお、集め方に問題があったとされる記録が、それだけの理由で使えなくなるとは限りません。判断は事案ごとに分かれます。この点は独立した論点ですので、別の記事に譲ります。相談の場では、評価はこちらで行いますので、経緯をそのままお話しいただければ十分です。
すでに作った書面と、すでに動いたお金を先に出す
資料の中でも、後から出てくると前提が変わってしまうものがあります。それが、すでに署名した書面と、すでにやり取りしたお金です。
署名や押印をした書面
誓約書、念書、謝罪文、示談書、離婚協議書などが該当します。相手方の求めに応じてその場で書いたものや、メッセージのやり取りの中で金額と支払方法に合意したように読める部分も含まれます。
これらの書面には、以後の請求を制限する趣旨の条項が入っていることがあります。入っている場合、その後にできることの範囲が変わりますので、方針を立てる前に確認しておく必要があります。手元に控えがない場合は、控えがないという事実をお伝えください。
支払ったお金、受け取ったお金
金額、日付、名目、現金か振込かを整理しておくと話が早くなります。相手方に渡したお金だけでなく、相手方から受け取ったお金も対象です。
一部だけ支払った場合や、名目をはっきりさせないまま渡した場合、その事実がその後の主張に影響することがあります。額の大小にかかわらず、動いたお金は先にお伝えいただくほうが、後の行き違いが起きにくくなります。
そろっていない部分は、そろっていないまま持って行く
準備を進めるうちに、記憶があいまいな部分や、確認しようがない部分が出てきます。そこを埋めようとして相談が遅れるより、分からないところは分からないと書いたままお持ちいただくほうが実務的です。
- 日付があいまいなものは「〇月ごろ」と幅のあるまま書く。
- 見た記憶はあるが手元に残っていないものは、その旨を添える。
- 人から聞いた話は、自分が見聞きしたことと分けて書く。
- 相手方の氏名や住所のうち、分かっている項目と分かっていない項目を並べて書く。
分からないという情報自体が、方針を決めるうえでの材料になります。特定ができていないなら特定から始める、記録が手元にないなら取り寄せられるかを検討する、というように次の一手が変わるためです。
作り直さない、書き足さない
整理のつもりで、後から日付をそろえたり、記憶に基づいて文面を補ったりすると、その資料の扱いが難しくなることがあります。元のデータは元のまま残し、まとめのメモは別に作るという形にしてください。すでに手元から消えてしまったものについては、消えているという状態をそのままお伝えいただければ結構です。
形式は、時間をかけて整えなくてかまいません
体裁を整えることが目的ではありませんので、次の点だけ意識していただければ十分です。
- 原本や元のデータは手元に残し、コピーや画面の写しを持参する。
- 画面の写しは、日付と相手方のアカウント名が入る範囲で保存しておく。
- 枚数や容量が多い場合は、予約の際に持参方法を事務所へ確認しておく。
- 同居のご家族に見られたくない事情がある場合は、その旨も含めて相談する。
ご家族や職場に知られたくないという事情がある場合、資料の持ち出し方や連絡の受け方についても調整できる余地があります。この点は遠慮なくお伝えください。
相談の場でこちらから確認しておきたいこと
資料を見てもらったうえで、こちらから尋ねておくと持ち帰るものが増えます。
- いま手元にある資料で言えることと、足りていない部分はどこか。
- 動いている期限のうち、先に対応が必要なものはどれか。
- 次にしてよいことと、しないほうがよいこと。
- 追加で集めたほうがよい資料と、集めないほうがよい資料。
- 費用の内訳と、資料が増えた場合に見通しがどう変わるか。
初回の相談で結論まで出ないことは珍しくありません。前提となる事実が固まっていない段階で言い切ってしまうと、かえって誤った見込みを持たせることになるためです。その場で断定されなかったことが、対応が不十分であることを意味するとは限りません。
そろえてから相談しようとするうちに、時間が過ぎることがあります
ここまで資料の話を続けてきましたが、資料がそろっていないことは相談を先延ばしにする理由にはなりません。むしろ、次のような場合は資料の準備より相談を先にしていただいたほうがよいと考えられます。
- 裁判所から書類が届いている場合。
- 回答期限や支払期限が書かれた書面が届いている場合。
- 相手方や代理人からの連絡が続いている場合。
- その場で署名や支払いを求められている場合。
これらの場面では、資料をそろえる時間そのものが選択肢を狭めることがあります。何も持たずにお越しいただいても、状況の整理と、当面してよいこと・しないほうがよいことの確認はできます。
よくある質問
証拠らしいものが何もありませんが、相談してよいのでしょうか
差し支えありません。相談の目的は資料を評価することだけではなく、いまの状況で取りうる選択肢を整理することにもあります。手元に何があるかが分からない段階でも、どこから確認していけばよいかを一緒に整理できます。
届いた書面を持って行くだけでもよいですか
請求を受けた側であれば、それだけでも相談は成り立ちます。書面には請求の根拠と期限が書かれていますので、まずそこから読み取れることを確認し、追加で必要な資料をその場でお伝えする形になります。
家族に見られたくないので、資料を家に置いておけません
保管方法や連絡の受け方については、事情に応じて相談できます。写しの持ち方、事務所からの連絡手段、郵便物の送付先などは調整の余地がありますので、初回の相談時にお申し出ください。
まとめ
- 相談で先に決まるのは、誰に対する話か、いまどの段階か、動いている期限があるかの3点です。
- 資料は持ち物の一覧としてではなく、この3点を先に埋められるものから並べると話が早くなります。
- 立場が変われば優先度も入れ替わり、請求を受けた側では届いた書面が中心になります。
- 期限が書かれた書面と封筒は、いちばん先に見てもらう資料です。
- 相手方の書面がある場合は、争点の位置を示す地図として使えます。
- 記録は内容だけでなく、どのような経緯で手元にあるのかもあわせてお伝えください。
- すでに署名した書面と、すでに動いたお金は、後から出ると前提が変わるため先にお出しください。
- 分からない部分は分からないまま持参し、元のデータは作り替えないでください。
- 期限が動いている場面では、資料の準備より相談を先にしていただいて差し支えありません。
不貞慰謝料のご相談について
弁護士法人若井綜合法律事務所では、不貞慰謝料に関するご相談を、請求を考えている方と請求を受けた方の双方からお受けしています。資料がそろっていない段階でも、いまの状況で取りうる選択肢と、次に確認すべき事柄を整理するところから始められます。
池袋・新橋の各事務所でご相談を承っております。届いた書面に期限が書かれている場合や、相手方からの連絡が続いている場合は、書面をお手元にご用意のうえ、早めにご連絡ください。
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【タイトル代替案】
1. 不貞慰謝料の相談前に用意しておく資料|優先順位のつけ方
2. 相談前にそろえておくと話が早い資料|請求する側・請求された側で変わる準備


