【FAQ】男女トラブルで多い質問20|慰謝料・別れ方・費用・秘匿をまとめて解説
配偶者の不貞が分かった直後は、いくつもの問いが同時に立ち上がります。関係を続けるのか、離婚するのか、相手方に請求するのか、子どもにどう伝えるのか。これらを一度に決めようとすると、どれも決めきれないまま、後から取り消しにくい言動だけが残ってしまうことがあります。
この記事では、不貞が発覚してからの数日から数週間という短い期間に絞って、先に手をつけておきたいこと、急いで決めなくてよいこと、そしてこの時期に避けておきたい行動を整理します。なお、以下では性別にかかわらず「配偶者」「不貞の相手方」と記載します。
「発覚」といっても入口は一つではない
| 発覚の入口 | 相手に気づかれているか | この時点で残りやすいもの |
|---|---|---|
| 端末や持ち物をたまたま見て気づいた | 気づかれていないことが多い | 自分が見た画面の記憶、撮影した画面 |
| 配偶者本人から打ち明けられた | 当然に伝わっている | 本人の説明、その場のやり取り |
| 不貞の相手方から連絡が来た | 伝わっている | 相手方からの連絡そのもの |
| 第三者から知らされた | 場合による | 知らせた人の話、その人が持っている資料 |
同じ「発覚」という言葉でも、どのような経緯で知ったかによって、直後にできることは変わります。手元に何が残っているかが違いますし、相手にこちらの動きが伝わっているかどうかも違うからです。
入口が違えば、残っている材料も違う
たまたま画面を見て気づいた場合、手元にあるのは自分の記憶と、その場で撮影できた範囲のものにとどまることが多くなります。一方、本人から打ち明けられた場合は、説明の内容そのものが材料になりますが、後になって説明が変わることもあります。相手方から連絡が来た場合は、その連絡自体が残る一方で、こちらの側から状況を確かめる余地は限られます。
相手に伝わっているかどうかが、その後の動き方を分ける
こちらが気づいたことをまだ相手が知らない段階と、すでに知っている段階とでは、打てる手が異なります。まだ知られていないのであれば、落ち着いて手元の材料を整理する時間を取りやすい状態です。すでに知られているのであれば、その前提で、記録が失われる可能性も見込みながら進めることになります。
どちらが良いという話ではありません。自分がいまどちらの状態にいるのかを把握しておくことが、次の判断の土台になります。
最初にすることは、決めることではなく確かめること
発覚直後によく語られるのは「まず証拠を集めましょう」という助言です。もっとも、発覚したばかりの時期にできるのは、新しく集めることよりも、すでに手元にあるものを失わない形で確かめておくことである場合が少なくありません。
手元にある材料は、形を変えずに残す
撮影した画面、届いた連絡、受け取った書面などは、加工や編集をせずにそのまま残しておくことが基本になります。見やすく整えるつもりで内容を書き写したり、一部だけを切り出したりすると、後になって「もとはどういうものだったのか」を説明しにくくなることがあります。
どのような資料がどの程度の意味を持つのか、消えやすい記録をどう扱うのかについては、別の記事で扱っています。ここでは、この時期にできるのは、判断ではなく現状の固定であるという点だけ押さえておいてください。
何を確かめたいのかを先に決める
「すべてを知りたい」という気持ちは自然なものですが、確かめたい事柄が定まらないまま問い詰めると、話が広がるだけで何も確定しないことがあります。いつごろから続いていたのか、相手方は誰なのか、いまも関係が続いているのか。優先して確かめたい事柄を二つか三つに絞るほうが、結果として得られる情報は多くなる傾向があります。
集めることと、確かめることは別の作業
手元の材料が足りないと感じたとき、すぐに追加の収集へ動きたくなります。ただし、収集の方法によっては、こちらの側が別の責任を問われる場合があります。この点は後の章で改めて整理します。
いま決めなくてよいことと、時間の制約があること
| 考えていること | 直後に決める必要があるか | 背景にあるもの |
|---|---|---|
| 離婚するかどうか | 急いで決める理由は乏しい | 一度伝えた意向は撤回しにくい |
| 不貞の相手方に請求するか | 直後に決める必要はないが、期間の管理は始まる | 民法724条 |
| 配偶者に請求するか | 同じく直後に決める必要はない | 関係の継続とは別に検討できる |
| 住まいと当面の生活費 | 事情によっては早い手当てが要る | 民法752条、760条 |
| 勤務先や親族に伝えるか | 急ぐ理由は乏しい | 伝えた事実は取り消せない |
発覚直後に押し寄せる問いは、性質が同じではありません。時間をかけて構わないものと、放置すると選択肢が狭まるものが混ざっています。まずはこの二つを分けることが、最初の作業になります。
離婚と請求は、別々に決められる
離婚するかどうかと、相手方や配偶者に請求するかどうかは、切り離して検討できる事柄です。離婚しないまま請求することもできますし、離婚を進めながら請求はしないという選択もあり得ます。二つを一つの決断として抱えてしまうと、どちらも決められなくなりがちです。
なお、離婚するかどうかを決めていない段階で「もう離婚する」と口にしてしまうと、後の話し合いで前提として扱われることがあります。決めていないことは、決めていないままにしておいてよい場面です。
時間の制約があるのは請求の側
不貞を理由とする慰謝料の請求権については、民法724条が期間の定めを置いています。損害および加害者を知った時から3年間、不法行為の時から20年間という枠組みです。発覚の日は、この期間の管理が始まる日でもあります。
3年という期間は長く感じられるかもしれませんが、話し合いや関係の立て直しに時間を使っているうちに過ぎてしまうことがあります。急いで請求する必要はありませんが、いつまでに判断するのかという見通しは、早い段階で持っておくほうが安全です。期間の数え方には、起算点をいつと見るかという難しさもあるため、詳しくは別の記事をご覧ください。
生活のことだけは先送りしにくい
民法752条は夫婦が同居し互いに協力し扶助すべきことを、760条は婚姻から生ずる費用を分担すべきことを定めています。発覚をきっかけに一方が家を出た、生活費の送金が止まったといった事態が生じている場合は、気持ちの整理を待たずに、当面の住まいと生活費の見通しだけは確保しておくほうがよい場面があります。
感情的な場面で「出ていけ」と言われることもありますが、そう言われたからといって直ちに従わなければならないわけではありません。家を出るかどうかは、後の手続にも関わってきますので、動く前に確認しておきたい事柄です。
この時期の言動は、後になって引かれることがある
発覚直後は、誰にとっても平静でいられる時期ではありません。ただ、この時期のやり取りが、後の話し合いや手続の中で持ち出されることがあります。何を言ったかだけでなく、どのような場面で言わせたかも見られます。
自分が口にしたこと
感情が高ぶった場面では、思っていない言葉が出ることがあります。なかでも注意しておきたいのが、「うちはもう終わっていた」「どうせ離婚するつもりだった」といった表現です。
不貞の相手方に慰謝料を請求した場合、相手方から「関係が始まった時点で夫婦関係はすでに壊れていた」という趣旨の主張が出されることがあります。発覚後にこちらが述べた言葉が、その主張を支える材料として引かれることがあるのです。関係の状態をどう評価するかは本来もっと複雑な問題ですが、発覚直後の一言が、後の場面で意図と違う形で読まれることは起こり得ます。
また、その場で「今回は許す」と伝えた場合も、後に請求を検討する段になって、相手方からその点を指摘されることがあります。許すという言葉が直ちに請求できなくなることを意味するわけではありませんが、説明を求められる材料にはなります。
相手に書かせたもの、言わせたもの
その場で謝罪文や念書を書かせる、録音を取りながら認めさせる、といった対応が取られることがあります。こうした書面や記録は、内容そのものよりも、どのような状況で作られたかによって受け止められ方が変わることがあります。長時間の追及の末に書かれたものや、退去を認めない状況で署名されたものは、後に「そう書かざるを得なかった」と述べられる余地を残します。
念書や謝罪文がどこまでの意味を持つのか、迫り方が評価にどう影響するのかは、別の記事で詳しく扱っています。
第三者に伝えたこと
つらさを誰かに聞いてもらうことと、事実を広く伝えることは別の行為です。伝えた相手や範囲によっては、こちらの側が責任を問われる場面もあります。話す相手を選ぶことと、伝える範囲を限ることは、この時期の実務的な備えでもあります。
「してはいけない」と言われることは、理由が三つに分かれる
| よく挙げられる行動 | 起こり得ること | 理由の系統 |
|---|---|---|
| 勤務先や親族に事実を知らせる | 名誉やプライバシーに関わる責任を問われることがある | 自分の側に責任が生じる |
| SNSなどに投稿する | 同じく責任を問われることがある | 自分の側に責任が生じる |
| 自宅や職場に押しかける | 住居や業務に関わる責任を問われることがある | 自分の側に責任が生じる |
| 強い言葉を用いて金銭を求める | 求め方そのものが問題とされることがある | 自分の側に責任が生じる |
| 行き過ぎた言動を重ねる | 請求の場面で不利な事情として扱われることがある | 請求できる中身に響く |
| 材料が整わないうちに問い詰める | 記録が失われ、確かめにくくなることがある | 後から確かめられなくなる |
禁止事項として並べられている行動は、一見どれも同じように見えます。しかし、なぜ避けたほうがよいのかという理由は、大きく三つに分かれます。理由が分かると、自分の状況でどこまでが許容範囲なのかを考えやすくなります。
一つめ 自分の側に別の責任が生じるもの
勤務先や親族への通知、SNSでの投稿、押しかけ、強い言葉を用いた要求などは、こちらの側が名誉やプライバシー、住居や業務に関する責任を問われる可能性がある行動です。不貞をされた立場であっても、この点は変わりません。結果として、当初の請求とは別の紛争が並行して立ち上がることがあります。
どこからが行き過ぎになるのかという線引きについては、別の記事で扱っています。
二つめ 請求できる中身に響くもの
直接の責任を問われる場面に至らなくても、発覚後の言動が、慰謝料の話し合いや裁判の中で考慮される事情として扱われることがあります。相手方の側から「発覚後にこのような対応を受けた」という形で持ち出され、金額の検討に影響することがあるのです。
三つめ 後から確かめられなくなるもの
材料が整わない段階で問い詰めると、否定されたうえで記録が整理され、それ以降は同じ内容を確かめにくくなることがあります。また、相手が代理人を立てると、やり取りの窓口がそちらに移り、直接の会話から情報を得る機会は少なくなります。
この系統に属する行動は、違法だから避けるというよりも、順序を誤ると選択肢が減るという性質のものです。問い詰めること自体が悪いわけではなく、どの段階で行うかが問題になります。
不貞をした側から見た発覚直後
同じ時期を、不貞をした側から見た場合にも、判断を急ぎやすい場面があります。この記事は請求する側だけを想定したものではありませんので、あわせて整理しておきます。
その場での署名と支払い
発覚した場で、書面への署名や金銭の支払いを求められることがあります。その場で署名したり支払ったりすると、後から内容を見直すことが難しくなる場合があります。書面については、清算に関する条項や違約金の定めが含まれていないか、範囲がどこまでかを確認したうえで判断することが望まれます。
また、一部の支払いに応じることが、責任を認めたものとして扱われる場面もあります。支払う意思がある場合でも、何に対する支払いなのかを明確にしておくことが大切です。
発覚した後の対応も見られている
発覚後も関係が続いた、話し合いの申入れに応答しなかったといった事情は、後の交渉や手続の中で取り上げられることがあります。争う点があるかどうかにかかわらず、連絡の窓口を定め、応答の姿勢を保っておくことは、その後の進め方に影響します。
よくあるご質問
感情的に問い詰めてしまいました。もう手遅れでしょうか
発覚直後に問い詰めてしまうこと自体は、決してめずらしいことではありません。それによって新たに確かめられる範囲は狭まりますが、すでに手元にある材料が失われるわけではありません。その時点でのやり取りの内容や、相手の応答をできる範囲で書き留めておくことが、次の段階につながります。
不貞の相手方から先に連絡が来ました。すぐ返事をすべきでしょうか
急いで返事をする義務はありません。連絡の内容を保存したうえで、こちらの方針が定まってから応答する形でも差し支えない場面が多くあります。やり取りを重ねるほど、こちらの状況も相手に伝わっていくという点は意識しておいてよいでしょう。
相談するのは、証拠がそろってからのほうがよいのでしょうか
そろってからでなければ相談できないというものではありません。むしろ、手元に何があり、何が足りないのかを整理する段階でご相談いただいたほうが、収集の方法や順序について検討できる余地が残ります。材料が乏しい段階でも、いま何をしておくべきかという話はできます。
まとめ
- 発覚の入口によって、手元に残っている材料も、相手に伝わっている度合いも異なる。
- 発覚直後にできるのは、新しく集めることよりも、いまあるものを形を変えずに残すこと。
- 離婚するかどうかと、請求するかどうかは、切り離して検討できる。
- 時間の制約があるのは請求の側で、民法724条は3年と20年という枠組みを置いている。
- 住まいと当面の生活費については、民法752条、760条を踏まえた早めの手当てが必要になる場面がある。
- 「もう終わっていた」といった発言は、後に相手方の主張を支える材料として引かれることがある。
- 避けたほうがよいとされる行動は、自分の側に責任が生じるもの、請求できる中身に響くもの、後から確かめられなくなるものの三つに分かれる。
発覚直後のご相談について
弁護士法人若井綜合法律事務所では、男女間のトラブルに関するご相談を池袋と新橋の事務所でお受けしています。不貞が分かったばかりで何から手をつければよいか分からないという段階のご相談も、慰謝料を請求された立場でのご相談も、いずれも承っています。
この時期は、決めなければならないことと、まだ決めなくてよいことが混ざりやすい局面です。ご事情を伺ったうえで、いま手当てが必要な事柄と、時間をかけて構わない事柄を一緒に整理いたします。お一人で抱え込まれる前に、お気軽にご相談ください。


