審判はどう進むか|保護処分の3種類と決定の意味

若井亮

若井亮

テーマ:少年事件

家庭裁判所から審判期日の呼出しが届いても、その日に何がどの順序で行われるのかは、外からはほとんど見えません。少年審判は公開されない手続で、傍聴席に座って様子を確かめておくということができないためです。

 審判の日は、それまでの調査を締めくくる日であると同時に、その後の生活が始まる日でもあります。ここでは、当日がどのような順序で進むのか、そこで告げられる決定にはどのような種類があるのか、そして保護処分の3種類がそれぞれ何を意味するのかを順に整理します。

審判の日を迎えるまでに決まっていること

 審判期日の呼出しを受けたということは、家庭裁判所が審判を開く旨の決定をしたということです。少年事件では、家庭裁判所に送られた事件のすべてで審判が開かれるわけではなく、調査の結果、審判を開かないまま手続を終える決定がされることもあります。呼出しが届いた時点で、事件はその段階を過ぎています。

 審判は公開されません。日程は裁判所が指定し、少年と保護者は呼出しを受けて出頭します。少年が期日に出頭しないときは審判を行うことができないとされているため、どうしても出られない事情があるときは、早い段階で裁判所に伝えることになります。

審判の場にいる人

 審判の場には、裁判官と裁判所書記官、家庭裁判所調査官が在席し、少年と保護者、付添人(少年事件で弁護士が就いたときの呼び方)が出席します。事件の内容によっては検察官が関与することがあり、一定の重大な事件では被害者や遺族の傍聴が許されることもあります。部屋は法廷ではなく、机を囲む形の審判廷が使われるのが一般的です。

審判当日の進み方

 事実関係に争いのない事件では、審判は次の区切りで進み、1時間前後で終わることが多いとされています。裁判官が進行役を務め、成人の刑事裁判のように検察官と弁護人が向かい合って主張をぶつけ合う形はとりません。

場面そこで行われること
冒頭の手続本人確認、黙秘権の告知、非行事実の読み聞かせと認否の確認
少年・保護者への質問事件に至った経緯、被害者への気持ち、生活の立て直し、家庭での監督
意見を述べる場面調査官と付添人の意見、少年本人が最後に述べる言葉
決定の告知処分の内容と理由の説明、不服申立てについての説明、説諭


はじめに確認されること

 最初に、裁判官が氏名や生年月日、住所などを尋ねて本人であることを確かめます。続いて、答えたくないことは答えなくてよいという説明があり、そのうえで審判の対象となる非行事実が読み上げられます。読み上げられた内容に違っているところがないかを少年に確認し、付添人にも意見が求められます。ここで述べた内容は、その後の質問の方向を決めることになります。

質問の中心はどこにあるか

 質問は、事件当時の行動だけでなく、そこに至るまでの生活と、これから何をどう変えるのかに時間が割かれます。学校や仕事をどうするのか、誰との付き合いをやめるのか、生活時間をどう戻すのかといった、後から確かめられる形の話が中心になります。保護者に対しても、これまでの関わり方と、今後どのように監督していくのかが尋ねられます。

意見を述べる場面

 調査官と付添人は、どのような処分が相当かについて意見を述べます。いずれも審判の前に書面を提出していることが多く、当日は書面のとおりでよいかを確認する形で進むこともあります。最後に少年本人が発言する機会があり、短い言葉であっても、自分の言葉で述べたことは記録にも記憶にも残ります。

その日に告げられる決定は一種類ではない

 審判で告げられる決定は、保護処分だけではありません。手続がその場で終わるもの、別の手続に移るもの、結論を先に延ばすものが混在しています。

決定意味するところ
保護処分保護観察、児童自立支援施設・児童養護施設送致、少年院送致のいずれか
不処分保護処分に付することができない、または付する必要がないと判断された場合
検察官送致刑事処分が相当と判断された場合や、本人が20歳以上であることが判明した場合
知事・児童相談所長への送致年少の少年について、児童福祉の枠組みでの対応が相当と判断された場合
試験観察結論を出さずに、一定期間、調査官の観察のもとで様子を見る中間の決定


 このうち試験観察は、事件を終わらせる決定ではありません。数か月の間の生活を見たうえで改めて審判が開かれ、そこで最終的な決定が告げられます。

保護処分の3種類は「重さの階段」ではない

 保護処分には、保護観察、児童自立支援施設または児童養護施設への送致、少年院への送致の3種類があります。この3つは、軽い処分から重い処分へ一直線に並んだ段階ではありません。根拠となる法律も、その後に少年を受け持つ機関も、日々の生活の形も、それぞれ別だからです。

処分根拠と受け持つ機関生活の形
保護観察更生保護法に基づき保護観察所が担当自宅で生活しながら指導監督と補導援護を受ける
児童自立支援施設・児童養護施設送致児童福祉法に基づく施設で、都道府県などが設置施設の寮で生活し、施設内外の学校に通うことが多い
少年院送致少年院法に基づき法務省が所管少年院に収容され、矯正教育を受ける


保護観察

 保護観察は、少年を施設に収容せず、社会の中で生活させながら立ち直りを図る処分です。保護観察官と保護司が担当し、定期的な面接や生活状況の報告が求められます。守るべき事項には、対象者に共通して定められるものと、事件の内容に応じて個別に定められるものがあります。転居や一定期間以上の旅行にあらかじめ許可が必要になるなど、生活の自由がそのまま元どおりになるわけではありません。

児童自立支援施設・児童養護施設への送致

 児童福祉法に基づく施設に送る処分で、年少の少年について選ばれることが多いものです。施設は開放的な処遇を原則としており、寮での集団生活と学習が中心になります。少年院に送るほど非行が進んでいない場合や、家庭の環境そのものを立て直す必要がある場合に検討されます。

少年院送致

 少年院に収容し、生活指導、職業指導、教科指導などの矯正教育を行う処分です。少年院には種類があり、心身の状態、犯罪的傾向の進み具合、年齢などに応じて指定されます。刑務所とは目的も内容も異なる施設ですが、収容される点で生活は大きく変わります。なお、決定の時に14歳に満たない少年については、特に必要と認められる場合に限られています。

決定に書かれていないこと——いつ終わるのか

 18歳未満の少年に対する保護処分の決定には、いつまでという期間が書かれていません。終わりの時期は、決定そのものではなく、その後を受け持つ機関の判断で決まっていきます。刑期が言い渡される刑事裁判との違いが、ここに表れています。

保護観察はどのように終わるのか

 保護観察の期間は、原則として20歳に達するまでとされ、決定のときから20歳までが2年に満たない場合は2年とされています。もっとも、経過が良好で保護観察を続ける必要がなくなったと認められれば、期間の途中で解除されます。実務では、事件の類型ごとにいつごろから解除を検討するかの目安が設けられており、交通事件を対象とする類型では比較的短い期間で検討されるなど、扱いに幅があります。

少年院にいる期間の決まり方

 少年院への収容は、原則として20歳に達するまでとされ、送致の決定から1年を経過していないときは、その日から1年に限って収容が続くことがあります。実際の期間は、家庭裁判所が付する処遇の勧告と、少年院での成績評価を経た仮退院によって決まっていきます。短期の課程が勧告される場合はおおむね半年以内、勧告がない場合は1年前後が目安とされ、より長い期間を想定した勧告が付されることもあります。心身の状態などから収容を続ける必要があると判断されれば、家庭裁判所の決定によって23歳まで、限られた場合にはそれ以上になることもあります。

18歳・19歳の場合は3種類の中身が変わる

 18歳と19歳は「特定少年」と呼ばれ、保護処分の枠組みが別に定められています。用意されているのは、次の3種類です。

  • 6月の保護観察。
  • 2年の保護観察。
  • 少年院送致。


 いずれも、犯情の軽重を考慮して相当な限度を超えない範囲で選ばれるとされており、行為の重さが処分の上限を画する形になっています。

期間が決定と同時に決まる

 特定少年の場合、決定の時点で期間が定まります。保護観察は6月か2年かが決定で示され、2年の保護観察を選ぶときは、これと同時に、守るべき事項に重い違反があった場合に少年院へ収容できる期間の上限が1年以下の範囲で定められます。少年院送致の場合も、決定と同時に3年以下の範囲で収容する期間が定められます。期間の上限が先に決まる点が、18歳未満の場合との大きな違いです。

選択肢に入らない処分がある

 特定少年については、児童福祉法に基づく施設への送致は選択肢に入りません。また、罰金以下の刑に当たる罪の事件では、6月の保護観察に限られます。6月の保護観察には、守るべき事項に違反した場合に少年院へ収容するという仕組みは用意されていません。

決定が持つ意味

 告げられた決定は、その日から効力を持ち、生活に直接影響します。ここでは、保護処分の決定の後に何が残り、何が残らないのかを整理します。

刑罰ではないこと、それでも記録は残ること

 保護処分は、少年の立ち直りを目的として家庭裁判所が課す処分であり、刑事裁判所が科す刑罰とは別のものです。そのため、保護処分を受けたことは前科にはあたりません。一方で、家庭裁判所や捜査機関には非行の記録が残り、その後に別の事件が起きたときには、前にどのような処分を受けたかが判断の材料になります。何も残らないと考えるのは正確ではありません。

同じ事件が刑事裁判に戻ることはない

 審判を経て保護処分の決定を受けた事件について、後から改めて刑事訴追を受けたり、家庭裁判所の審判に付されたりすることはありません。決定が出た時点で、その事件についての手続は区切りを迎えます。

決定はその日から動き出す

 少年院送致の決定が告げられた場合、少年はそのまま収容の手続に進みます。少年鑑別所にいた少年が自宅に戻れるかどうかも、この日に決まります。保護観察であれば、決定の後に保護観察所への届出や最初の面接が続きます。審判の日は手続の終わりであると同時に、次の生活の初日でもあります。

決定に納得できない場合

 保護処分の決定に対しては、高等裁判所に抗告をすることができます。ただし、理由は、決定に影響を及ぼす法令の違反、重大な事実の誤認、処分の著しい不当の3つに限られており、処分が不本意だというだけでは足りません。

 期間は2週間と短く、審判の日から間を置かずに判断する必要があります。また、抗告をしても決定の執行は止まらないのが原則で、少年院送致であれば抗告の審理中も収容が続きます(裁判所が執行を停止することはあります)。なお、不処分の決定については、非行事実の認定に不服があっても抗告はできないと解されています。

審判が一日で終わらない場合

 非行事実に争いのある事件では、証拠の取調べのために期日が重ねられることがあります。また、結論を出す前にもう少し生活の様子を見る必要があると判断されれば、試験観察となり、数か月後に改めて審判が開かれます。その間の生活の状況が、そのまま次の審判の判断材料になります。

審判の日までに確かめておきたいこと

 当日その場でできることは限られています。準備できるのは、期日までの時間です。

  • 呼出しを受けた期日と場所、当日の持ち物を確認しておく。
  • 非行事実の内容に食い違いがないかを事前に整理しておく。
  • 被害者への対応がどこまで進んでいるかを把握しておく。
  • 学校や職場の受け入れ、住まい、生活時間について、答えられる形にしておく。
  • 保護者として何をどう続けるのかを、具体的な言葉で用意しておく。


少年事件のご相談について

 当事務所は、池袋と新橋に事務所を構え、少年事件のご相談をお受けしています。審判までの限られた時間で何を整えられるかは、事件の内容や少年の置かれた状況によって変わります。呼出しを受けてお困りのことがあれば、お早めにご相談ください。

まとめ


  1. 審判期日の呼出しは、家庭裁判所が審判を開く決定をしたことを意味する。
  2. 審判は公開されず、裁判官が進行し、争いのない事件では1時間前後で終わることが多い。
  3. 当日は、冒頭の手続、少年と保護者への質問、意見を述べる場面、決定の告知という区切りで進む。
  4. 告げられる決定は保護処分だけでなく、不処分、検察官送致、知事・児童相談所長への送致、試験観察がある。
  5. 保護処分の3種類は重さの階段ではなく、根拠となる法律も受け持つ機関も生活の形も別である。
  6. 18歳未満の保護処分の決定には期間が書かれておらず、終わり方はその後の機関の判断で決まる。
  7. 18歳・19歳は3種類の中身が異なり、決定と同時に期間の上限が定まる。
  8. 保護処分は前科ではないが記録は残り、決定に対する抗告は2週間に限られる。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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