少年院での生活と期間|どのくらいで戻れるのか

若井亮

若井亮

テーマ:少年事件

家庭裁判所の審判で少年院送致の決定を受けたとき、決定書には少年院の種類は書かれていますが、いつ出られるのかは書かれていません。ご家族から最初に寄せられるのも、中でどのような生活を送るのか、そしてどのくらいで戻ってくるのか、という二つの質問です。

 少年院にいる期間は、あらかじめ日数が確定しているものではなく、いくつかの要素が重なって決まっていきます。ここでは、少年院での一日の過ごし方や外部との連絡の取り方を確認したうえで、期間がどのような仕組みで決まり、どのような場合に動くのかを整理します。

少年院はどのような施設か

 少年院は、家庭裁判所の決定により保護処分として送致された少年などを収容し、矯正教育と社会復帰支援を行う法務省所管の施設です。おおむね12歳から20歳までの少年を収容していますが、家庭裁判所の決定などにより、20歳を超えて収容されることもあります。

 少年院は、少年の年齢、犯罪的傾向の程度、心身の状況などに応じて種類が分かれており、保護処分として送致される場合にどの種類の少年院になるかは、家庭裁判所の決定によって定まります。

少年刑務所とは別の施設

 名前が似ているため混同されやすいのですが、少年刑務所は刑事裁判で実刑判決を受けた人が刑の執行を受ける施設であり、少年院とは制度上の位置づけが異なります。少年院で行われるのは刑罰ではなく、社会生活に適応するために必要な知識や能力を身に付けさせることを目的とした教育です。

入院から出院までの流れ


段階そこで行われること
入院したとき本人が履修すべき矯正教育課程が指定される。
入院してすぐ個人別矯正教育計画が策定され、本人に告知されるとともに保護者にも通知される。
在院中処遇の段階が3級から2級、1級へと進み、成績の評価がその都度知らされる。
1級に達した後出院後の受入れ体制が整っていれば、少年院の長が地方更生保護委員会に仮退院の申出をする。
出院するとき委員会の審理で仮退院が許されれば、その日に少年院を出て引受人のもとに帰る。


 この流れのどこにいるかによって、家族が受け取る情報の中身も変わります。入院直後の段階では期間の見通しはまだ幅のあるものにとどまり、段階が上がるにつれて具体的な時期の話になっていきます。

期間を左右しているのは三つの要素

 「少年院はどのくらいの期間なのか」という問いに一つの数字で答えにくいのは、期間が決定によって一度に定まるのではなく、三つの要素が重なって決まっていく仕組みになっているためです。

期間を左右するものどのように働くか
矯正教育課程と処遇勧告類型ごとに定められた標準的な期間と、家庭裁判所の勧告の有無が、計画の出発点になる。
本人の段階の進み方予定されていた期間で進級の基準に達しなければ、期間が延びることがある。
地方更生保護委員会の判断仮退院を許すかどうか、いつ許すかを決めるのは少年院ではなく委員会である。


 以下では、この三つをそれぞれ見ていきます。

矯正教育課程ごとに標準的な期間が定められている

 少年院では、少年の特性に応じて計画的に教育を行うため、矯正教育課程という教育の枠組みが設けられています。矯正教育課程は、少年の年齢、心身の障害の状況、犯罪的傾向の程度、社会生活に適応するために必要な能力といった事情に照らして共通する特性を持つ少年の類型ごとに、矯正教育の重点的な内容と標準的な期間を定めたものです。

 義務教育を終えていない少年を対象とする課程、義務教育を終えた少年の社会適応に重点を置く課程、知的障害や発達障害などの事情に応じた配慮を要する少年を対象とする課程、心身の疾患や障害に応じた課程などが用意されており、それぞれに標準的な期間が置かれています。矯正教育の期間は、おおむね1年程度が一つの目安とされています。

どの少年院に入るかは住所地では決まらない

 矯正教育課程は各少年院に一つまたは複数指定されており、送致先を具体的に決めるのは少年鑑別所です。各少年院に指定されている課程などを考慮して決められるため、住んでいる都道府県に適当な少年院がない場合には、他の都道府県の少年院に送致されることがあります。面会の計画を立てる際には、この点をあらかじめ確かめておくと動きやすくなります。

処遇勧告が付いた場合の期間

 保護処分の決定をした家庭裁判所は、少年の処遇に関して勧告をすることができます。矯正教育の期間についての勧告が付いた場合、少年院はそれに沿った計画を立てます。

 勧告として「短期間」が付された場合は、短期義務教育課程または短期社会適応課程が指定され、20週間で矯正教育を行う計画が立てられます。「特別短期間」の勧告であれば11週間です。反対に「相当長期間」の勧告が付された場合には、矯正教育の期間が2年を超えることもあります。

処遇勧告の位置づけ

 処遇勧告には法的な拘束力はありません。ただし、少年院にはこれを尊重する義務があるとされており、実際の運用でも計画の骨格を決める要素になっています。審判の場で処遇勧告に触れられた場合には、その言葉が期間に直結する意味を持つことになりますので、付添人を通じて内容を確認しておくとよいでしょう。

段階が進むことと期間の関係

 少年院での処遇には段階が設けられており、入院するとまず3級に指定されます。その後、成績の評価に応じて2級、1級へと順に進級していきます。

 段階が進むにつれて、矯正教育の目標や内容、社会復帰支援の中身が出院後の生活を意識したものへと変わっていきます。1級になると、少年院の外で行う社会貢献活動や職場見学なども行われるようになります。

成績として何が見られているのか

 成績は、一人ひとりについて定められた矯正教育の目標をどの程度達成したか、矯正教育にどのように取り組んでいるか、規範意識や対人関係といった少年院での生活の状況がどうか、といった点から評価されます。授業の点数のような単一の指標ではなく、生活そのものが評価の対象になっている点が特徴です。

基準に達しなければ期間は延びる

 ここが期間の見通しに直接関わります。予定されていた期間で進級に必要な基準に達しなかった場合には、矯正教育の期間が延長されることになります。当初に示された時期はあくまで計画上のものであり、本人の取り組み方によって後ろにずれることがあるということです。

 逆に言えば、家族が在院中にできることの多くは、この段階の進み方を支える方向に向いています。面会や手紙で本人の取り組みを支えることは、期間の話とも無関係ではありません。

一日の流れと寮での生活

 少年院では一日のスケジュールが定められており、食事や就寝の時間帯、矯正教育の時間帯、余暇に充てられる時間帯が決められています。規則正しい生活を通じて、社会生活に適応する力を身に付けていくことが想定されています。

生活する場所と学ぶ場所が分かれている

 少年院は、生活する場所である寮と、矯正教育を受ける場所である教育棟や実習棟とが分かれています。朝食の後に午前中の日課の準備をして寮を出て、終わると寮に戻って昼食をとり、午後の日課のためにまた寮を出る、という流れになります。

 土曜日や日曜日、休日は平日よりも余暇の時間が多くなりますが、体育指導や教科指導といった矯正教育の時間も設けられています。

個別担任と役割活動

 寮には単独寮と集団寮があり、生活の大半は集団寮で過ごすことになります。各寮には複数の職員が配置され、寮内での生活指導などを行います。この職員は日中に生活指導や職業指導を行う職員と同じであり、日中に学んだことが普段の生活で生かされているかにも目を配っています。

 さらに、一人ひとりに担当する職員が個別担任として決められます。個別担任は、個別面接で助言や指導を行ったり、悩みを聞いたり、家族との関係の調整を図ったりする役割を担います。集団寮での生活には、学校のホームルームに当たる集会や、週番、図書係、配膳係、動植物の世話係といった役割活動があり、自主性や責任感を育てる機会と位置づけられています。

矯正教育の五つの分野

 少年院で行われる矯正教育は、次の五つの分野を組み合わせて実施されます。

  • 生活指導では、自立した生活の基礎となる知識と生活態度を身に付けるための指導が行われます。
  • 職業指導では、勤労意欲を高め、職業上役立つ知識や技能を身に付けるための指導が行われます。
  • 教科指導では、義務教育や進学に向けた指導のほか、社会生活の基礎となる学力を補う指導が行われます。
  • 体育指導では、自立した社会生活を営むための健全な心身を育てることを目的とした指導が行われます。
  • 特別活動指導では、行事やクラブ活動、社会貢献活動などを通じて自主性や協調性を育てる指導が行われます。


 生活指導の中には、基本的な生活訓練のほか、問題行動に関する指導、被害者の心情を理解するための指導、保護関係の調整に関する指導、進路指導などが含まれます。教科指導については、少年院内で高等学校卒業程度認定試験を受験できる仕組みもあります。

面会・手紙・電話はどこまでできるか

 在院中も、家族との連絡は完全に断たれるわけではありません。少年院での面会は、保護者などのほか、身分上、法律上、教育上または職業上の重大な利害に関わる用務の処理のために面会が必要な人、面会によって本人の改善更生に資すると認められる人が相手方として想定されています。

回数には下限が定められている

 少年院では、面会の回数に制限を設ける場合でも1か月につき2回を下回ってはならないとされています。手紙についても、発信する通数に制限を設ける場合に1か月につき4通を下回ってはならないとされています。運用上の回数は施設によって異なりますが、この下限を割り込む扱いにはならないという枠組みです。

 あわせて、少年院では、本人の改善更生や円滑な社会復帰に資すると認められる場合などに、電話などの方法による通信が許されることがあります。少年鑑別所にはこうした規定が置かれていませんので、鑑別所にいたときと同じ感覚で考えると行き違いが生じます。実際に利用できるかどうかは施設ごとの判断になりますので、入院先に確認してください。

差入れと事前の連絡

 差入れは、面会に訪れた際に窓口で行うほか、郵送でもできますが、差し入れることのできる品目や数量には限りがあります。何がどれだけ差し入れられるかは施設によって異なりますので、入院先の少年院に直接問い合わせておくとよいでしょう。

 また、少年院では行事が行われたり、施設外で教育活動が行われたりすることがあり、面会室の数の関係で一度に複数の面会を受けられない施設もあります。希望の日時をあらかじめ連絡しておくと、待ち時間を避けやすくなります。

出院の日を決めるのは少年院ではない

 期間の話で誤解が生じやすいのがこの点です。少年院を出るときのほとんどは、保護観察が付く形で出院する仮退院であり、その時期を決めるのは少年院ではなく、地方更生保護委員会です。

仮退院の申出と審理

 本人が処遇の最高段階である1級に達し、出院後の引受け体制などが整っていれば、少年院の長が、少年院の所在地を管轄する地方更生保護委員会に対して仮退院を許すべき旨の申出をします。委員会の審理によって仮退院が許されると、仮退院の日が決まります。

 ここで「引受け体制などが整っていれば」という条件が置かれている点は見過ごせません。戻る先の住まいや通う先が定まらないままだと、本人の段階が進んでいても申出の前提が揃わないことになります。家族の側の準備が、期間の話に接続してくるのはこのためです。

予定日が動くことがある

 仮退院を許可する決定が少年院に通知された後であっても、その予定日までの間に本人が重大な反則行為をしたり、帰住を予定していた先の生活環境が大きく変わったりといった事情が生じたときは、許可が取り消されたり、予定日が大きく変わったりすることがあります。

 そのため、少年院から家族に伝えられる出院の時期は、個人別矯正教育計画に基づいたおおまかな見込みとして受け取っておくのが実情に合っています。日程を前提にした手続や約束を先に固めてしまうと、変更が生じたときの負担が大きくなります。

年齢による区切り


20歳に達したとき

 保護処分として少年院に収容されている場合、20歳に達したときは退院となり、その翌日に出院することになります。ただし、少年院送致の決定があった日から1年を経過していないときは、その日から1年間に限って収容が続けられることがあります。

 また、心身に著しい障害がある場合や犯罪的傾向が矯正されていないと判断される場合には、少年院の長が家庭裁判所に申請し、限られた場合にはそれ以上の期間、収容が続けられる仕組みも設けられています。

18歳・19歳の場合

 18歳・19歳で少年院送致の決定を受ける場合には、決定と同時に少年院に収容できる期間の上限が定められます。20歳未満の他の年齢層とは異なり、その時点で期間の枠が示される点が違いです。もっとも、上限が定まっていることと、実際にその期間まで在院することとは同じではありません。段階の進み方と仮退院の審理を経て出院するという流れ自体は変わりません。

出院した後に続くこと

 仮退院で出院した場合、そのまま自由な生活に戻るわけではなく、保護観察が続きます。少年院からの仮退院で保護観察に付されている場合の期間は、原則として20歳に達するまでとされています。保護観察を続けなくても改善更生できると認められるときは、地方更生保護委員会の決定によって早期に終了することもあります。

 在籍していた学校がある場合には、在院中から復学や進学に向けた調整が行われます。義務教育段階であれば、少年院での学習の状況が学校に連絡され、在籍を続けたまま卒業を迎えられることもあります。高等学校の場合は、休学の扱いや通信制課程での学習の継続について学校側と相談する余地があり、退学して入学試験からやり直すよりも社会復帰が進めやすいとされています。

在院中に家族の側で確かめておきたいこと


  • 入院先の少年院に、面会や手紙の回数と方法、差入れできる品目を早めに確認しておくこと。
  • 個人別矯正教育計画の通知を受け取ったら、目標として何が挙げられているかを読んでおくこと。
  • 成績の評価や生活の状況についての通知が届いたら、前回からどこが変わったかを見ておくこと。
  • 出院後に戻る住まいや通う先について、早い時期から具体的な形で整えておくこと。
  • 在籍している学校がある場合は、休学や復学の扱いを学校側と早めに相談しておくこと。


 少年院では、保護者会を開いて生活について説明したり、個人別矯正教育計画を通知したり、随時面談を行ったりして、保護者の理解と協力を得るよう努めています。こうした機会は、家族が中の様子を知る手がかりであると同時に、出院後の生活を具体的に考える場にもなります。

少年事件でお困りの方へ

 弁護士法人若井綜合法律事務所は、池袋と新橋にオフィスを構え、刑事事件や少年事件のご相談をお受けしています。少年院送致の決定を受けた後も、在院中の面会や手紙のやり取り、学校との調整、出院後の生活に向けた準備など、家族の側で判断が必要になる場面は続きます。

 どこまでが制度上定められていることで、どこからが施設ごとの運用なのかが分かりにくいまま時間が過ぎてしまうことも少なくありません。見通しの立て方に迷われたときは、お早めにご相談ください。

まとめ


  1. 少年院送致の決定書に、いつ出られるかは書かれていない。
  2. 矯正教育の期間はおおむね1年程度が目安とされ、類型ごとの矯正教育課程で標準的な期間が定められている。
  3. 家庭裁判所が短期間または特別短期間の処遇勧告を付けた場合は、20週間または11週間という短い期間で計画が立てられる。
  4. 処遇勧告に法的な拘束力はないが、少年院にはこれを尊重する義務があるとされている。
  5. 処遇には3級から1級までの段階があり、予定された期間で進級の基準に達しなければ期間が延びることがある。
  6. 少年院を出るときのほとんどは仮退院であり、その日を決めるのは少年院ではなく地方更生保護委員会である。
  7. 仮退院の申出には、出院後の引受け体制が整っていることが前提となる。
  8. 面会は1か月に2回、手紙の発信は1か月に4通が制限の下限とされ、少年院では電話などによる通信が許されることもある。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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