少年鑑別所での生活・面会・差入れ

若井亮

若井亮

テーマ:少年事件

子どもが少年鑑別所に入ったという連絡を受けても、中でどのような一日を過ごしているのか、いつ会いに行けるのか、何を届けられるのかまでは、その場でくわしく説明されないことがほとんどです。手元にあるのは決定書と施設の名前だけ、という状態で数日が過ぎることも珍しくありません。

 少年鑑別所の生活や面会・差入れの扱いは、施設ごとの慣行だけで決まっているわけではなく、少年鑑別所法と同法施行規則という法令に枠組みが置かれています。どこまでが法令で決まっていて、どこからが各施設の運用なのかを分けて理解しておくと、問い合わせの仕方も、断られたときの受け止め方も変わります。ここでは、ご家族が実際に動くときの順序に沿って整理します。

少年鑑別所は何をする施設なのか

 少年鑑別所は、家庭裁判所の求めに応じて少年の心身の鑑別を行い、あわせて収容されている少年に観護処遇を行う法務省所管の施設です。全国に五十二か所あります。家庭裁判所が観護措置の決定をすると、少年は原則として二週間、更新されて通常は四週間ほど、この施設で過ごすことになります。

 鑑別は、医学・心理学・教育学・社会学などの知識と技術に基づいて、非行に影響した事情や、どのような処遇がふさわしいかを明らかにするための調査です。少年は日中、面接や心理検査を受けます。刑罰を執行する場所ではなく、審判に向けて少年を見立てる場所である点が、成人の留置施設や拘置所と大きく異なります。

在所者の「地位」によって扱いが分かれる

 少年鑑別所法は、施設にいる少年をいくつかの地位に分けて、面会や差入れのルールをそれぞれ書き分けています。観護措置で収容されている少年は「被観護在所者」、勾留などで留置されている少年は「未決在所者」、少年院にいる少年が一時的に入っている場合は「在院中在所者」という具合です。

 ご家族が面会に行く相手は、多くの場合この被観護在所者にあたります。地位の区別に触れない解説も多いのですが、条文は地位ごとに要件を書き分けているため、お子さまがどの立場で入っているのかを最初に確かめておくと、以下の説明がそのまま当てはまるかどうかを判断できます。捜査段階で勾留されたまま鑑別所にいる場合には、刑事訴訟法の接見等禁止が関わる場面もあります。

所内での一日の過ごし方

 起居動作の時間帯には施行規則に基準があり、各施設がその範囲で日課を定めます。食事は、朝食が午前六時三十分から午前八時三十分までの間、昼食が午前十一時から午後一時までの間、夕食が午後四時から午後七時までの間に置かれます。就寝は午後九時から翌日の午前八時までの間で、連続八時間以上とされています。

 居室は、観護処遇上または鑑別上共同室が適当と認められる場合を除いて、できる限り単独室とするものとされています。運動の機会は一日おおむね一時間以上、入浴は入所後速やかに、その後は一週間に二回以上です。学習面では、施設に備え付けた学習教材や運動器具などを貸与するなどして、学習その他の活動の機会が与えられます。

場面決まっていること補足
食事朝食・昼食・夕食それぞれに時間帯の基準がある具体的な時刻は各施設の日課による
就寝午後九時から翌午前八時までの間で連続八時間以上点呼の時間帯も定められる
運動一日おおむね一時間以上の機会居室内で行う機会を与える場合もある
入浴入所後速やかに、その後は一週間に二回以上女子の入浴の立会いは女子の職員が行う
学習学習教材や運動器具などの貸与を受けられる学校の課程を修了していない少年には特に配慮される


 書籍や新聞を読むこともできます。新聞については、施設が指定する二紙以上の中から少年が選ぶ形に制限されることがあり、購入先も指定の事業者に限られる場合があります。

面会できるのは誰か

 観護措置で収容されている少年について、少年鑑別所の長は、保護者等から面会の申出があったときは、これを許すものとされています。婚姻関係の調整、訴訟の遂行、修学または就業の準備など、少年の身分上・法律上・教育上・職業上の重大な利害に関わる用務の処理のために面会が必要な人も、同じ扱いです。

 それ以外の人からの申出については、健全な社会生活を営むために必要な援助を受けることなど面会を必要とする事情があり、かつ次の四点をいずれも満たすと認められるときに、許すことができるとされています。

  • 面会により、少年鑑別所の規律及び秩序を害する結果を生ずるおそれがないこと。
  • 面会により、保護事件または刑事事件に関する証拠の隠滅の結果を生ずるおそれがないこと。
  • 面会により、少年の健全な育成を著しく妨げるおそれがないこと。
  • 面会により、鑑別の適切な実施に支障を生ずるおそれがないこと。


友人や交際相手の面会が通りにくい理由

 保護者等であれば原則として許され、それ以外の人は事情と四つの要件の判断を経る、という二段の作りになっています。友人や交際相手が断られやすいのは、施設の気分によるものではなく、この二段目の判断を通す必要があるためです。復学の相談という用務を説明できる学校の関係者などでは、扱いが変わることもあります。いずれにしても、事前に施設へ確認し、関係と目的を説明できる状態で行くほうが確実です。

面会の時間・回数・人数はどこまで決まっているのか

 案内には「一回十五分程度」と書かれていることが多く、これが法令上の上限だと受け取られがちです。実際には、施設が制限をかけられる範囲そのものに、次のような下限が置かれています。

  • 面会の回数を制限するときも、一日につき一回を下回ることはできない。
  • 面会の時間を制限するときも、三十分を下回ることはできない。ただし、申出の状況や面会に使う室の数などからやむを得ないと認めるときは、十分を下回らない範囲で短縮できる。
  • 面会の相手方の人数を制限するときも、三人を下回ることはできない。
  • 面会の時間帯を制限するときも、一日につき六時間を下回ることはできない。
  • 一か月の面会日は、その月の日数から日曜日・土曜日・祝日・年末年始の日数を差し引いた日数を下回ることはできない。


 つまり、三十分が出発点で、事情があるときに十分まで短縮できるという構造になっており、平日は原則として面会日にあたります。混み合う時間帯を避ける、面会日の早い時間に行くといった工夫には意味があります。もっとも、実際の受付時間や運用は施設ごとに異なりますので、訪問前の確認は欠かせません。

付添人の弁護士との面会は別枠になっている

 付添人や、少年またはその保護者の依頼で付添人になろうとする弁護士との面会は、いま挙げた制限の対象から外されています。日と時間帯は、日曜日などを除く施設の執務時間内とされ、相手方の人数は三人以内です。執務時間内という定めによらない申出であっても、施設の管理運営上支障があるときを除いて許すものとされています。

項目ご家族などの一般面会付添人・弁護人との面会
相手方保護者等は原則として許される。それ以外は事情と要件の判断を経る付添人・弁護人、付添人や弁護人になろうとする弁護士
職員の立会い原則として立会いがあり、録音・録画が行われることがある立会い等の対象から外されている
日・時間帯施設が定める面会日と時間帯の中で行う執務時間内が原則。時間外の申出も支障がなければ許される
時間・回数制限を受けるが、三十分・一日一回という下限がある時間・回数を制限する規定は置かれていない
人数制限を受けるが、三人という下限がある三人以内


なぜ職員が立ち会うのか

 一般面会には、施設が指名する職員が立ち会い、状況が録音・録画されることがあります。もっとも、先ほどの四つの要件をいずれも満たすと認めるときは、立会いや録音・録画をさせないことができるとも定められています。立会いは監視だけを目的とした仕組みではなく、証拠の隠滅を防ぐことと、少年の育成への影響を避けることから組み立てられています。

 面会中の発言が一時停止の対象になる場面も、条文に挙げられています。暗号などを使って職員が理解できないもの、犯罪や非行を助長したり誘発したりするもの、証拠の隠滅につながるもの、少年の健全な育成を著しく妨げるもの、鑑別の適切な実施に支障を生ずるもの、といった内容です。事件の中身に踏み込んで「そこはこう答えなさい」と伝えるようなやりとりは、この類型に触れやすい部分です。事件についての打合せは付添人に任せ、面会では生活のことを話すという役割分担が、結果として両方を成り立たせます。

面会の前後で求められる手続

 面会を申し出る人は、氏名・生年月日・住所・職業、面会を希望する少年の氏名とその少年との関係、面会の目的を記載した申出書の提出を求められることがあります。これらを証明する書類の提出や提示を求められることもあるため、身分証は持参してください。施設は少年の側にも、面会に来ることが予想される人の届出を求めることができ、申出があったときに少年へ相手方との関係を尋ねることもできます。

差入れは二つの関門を通る

 差入れは、窓口で受け付けてもらえるかどうかだけで決まるように見えます。しかし条文の作りはそうなっておらず、差し入れた物が少年のもとに届くまでには、誰が差し入れたのかという関門と、施設の中で使える物かという関門の、二つを通る必要があります。返された理由がどちらの関門にあるのかが分かると、次に何を持っていけばよいかも見えてきます。

一つ目の関門|誰が差し入れたのか

 少年に交付するために外部の人が持参または送付した金品は、まず職員の検査を受けます。そのうえで、観護措置で収容されている少年宛ての差入物については、保護者等が持参または送付したものであるとき、あるいは身分上・法律上・教育上・職業上の重大な利害に関わる用務の処理のために交付を受けることが必要なものであるときを除いて、差入人に引取りを求めるものとされています。

 これに当たらない場合でも、交付を受ける必要のある事情があり、かつ規律秩序・証拠隠滅・健全な育成・鑑別の実施という四つの要件を満たすと認めるときは、引取りを求めないこともできます。順序としては、保護者等からの差入れが原則として通り、それ以外の人からの差入れはもう一段の判断を経るという形です。

二つ目の関門|施設の中で使える物か

 一つ目の関門を通っても、そこで終わりではありません。自弁で使用したり摂取したりできることとされている物品や、退所の際に必要と認められる物品以外のものであるとき、また、保管に不便なもの、腐敗・滅失のおそれがあるもの、危険を生ずるおそれがあるものであるときは、やはり差入人に引取りを求めるものとされています。

 したがって、保護者が差し入れた物であっても、施設の中で使う場面がない物は返されることになります。窓口で戻されたのは、差し入れた人が拒まれたという意味ではなく、この仕分けの結果であることが多いといえます。差入人の所在が分からないなどの理由で引取りを求められないときは、少年に対して、保護者等その他相当と認める者への交付といった処分を求める扱いになります。

現金・衣類・本・食べ物はどう扱われるか

 二つの関門を通った金品は施設が領置し、必要な物は少年に引き渡されます。領置されている現金については、自弁の物品を購入したり、所内の日常生活で自ら負担すべき費用に充てたりするために使用を申請でき、必要な金額の使用が許されます。外から品物を持ち込むより、現金を差し入れて所内で必要な物を買ってもらう形が中心になるのは、この仕組みによるものです

 自弁での使用が想定されているのは、タオル・石けん・洗髪剤・洗顔用具・調髪用具といった日用品、文房具や学習・文化活動に用いる物品、健康状態などから必要な手袋やマスクといったものです。菓子などの嗜好品は、観護処遇として特別な行事を行う場合や、祝日、一月二日・三日などに支給できるとされており、ご家族が持参した物をその場で渡すという形にはなっていません。

 差入れの数量や申出の日・時間帯には制限を設けることができ、施設の長が定める種類の物については、指定した事業者から購入するものに限るという制限もできます。窓口で「その品は指定の業者を通してください」と案内されるのは、この定めによるものです。差入れの申出では、氏名・生年月日・住所・電話番号・職業、少年の氏名と関係、現金の額または物品の品名・数量を記載した書面の提出を求められることがあります。

手元に置ける物と、預かりになる物

 領置された物のうち、少年が自分で持っておける物は引渡しを受けられます。その機会は、入所後速やかに、その後は一週間に一回以上与えられます。少年が当事者になっている係属中の事件の記録やその写し、眼鏡などの補正器具については、一日に一回以上の機会が与えられます。受け取った手紙は居室内の保管設備で保管する扱いで、所持できる量や保管できる通数に制限が置かれることもあります。

手紙のやりとりと、電話の可否

 面会の日程が合わないときに使えるのが手紙です。観護措置で収容されている少年について、施設の長は、禁止される場合を除いて信書の発受を許すものとされています。発受する信書は職員が検査し、暗号などで職員が理解できないもの、犯罪や非行を助長・誘発するもの、証拠の隠滅につながるもの、健全な育成を著しく妨げるものなどについては、差止めや、該当箇所の削除・抹消が行われることがあります。

 書き方に決まりが置かれることもありますが、用紙の枚数を制限する場合でも五枚を下回ることはできず、一枚に書ける字数を制限する場合でも四百字を下回ることはできません。発信を申請できる日や時間帯に制限があるときでも、緊急に発信する必要があるときは受け付けなければならないとされています。発信に要する費用は少年の負担が原則ですが、負担できない場合の扱いも定められています。

 電話については、観護措置で収容されている少年に電話等による通信を認める規定は置かれていません。電気通信の方法による通信は、少年院にいる少年が一時的に鑑別所にいる場合について定められているものです。連絡の手段は面会と手紙が中心になると考えておいてください。

短い面会の時間をどう使うか

 収容されている間、少年は鑑別の面接や心理検査を受け、並行して家庭裁判所調査官の調査が進みます。調査では家庭の状況や少年を取り巻く環境も対象になるため、ご家族が実際にどう関わっているかは、審判に向けた資料の一部として扱われます。面会は、その関わりが形になる数少ない場面です。

 限られた時間で事件の是非を問い詰めても、話が途中で終わってしまいがちです。復学や転校の見込み、退所後にどこで生活するか、学校や勤務先への連絡がどうなっているかなど、退所後の生活を具体化する話題は、そのまま調査や審判で説明できる材料になります。面会で受け取った少年の様子は、付添人にも伝えておくと、その後の活動につながります。

 面会は、少年にとって外の世界と接する数少ない機会でもあります。責める言葉が続くと、面会そのものを避けたいと言い出すことも起こり得ます。どうしても伝えたいことがあるときは、手紙に書いて渡すという方法も選べます。

付添人がついている場合に変わること

 付添人となった弁護士は、立会いのない状態で少年と面会でき、日時の制約も一般面会より緩やかです。少年から直接事情を聴いたうえで、家庭裁判所に対する意見や資料の準備を進めることができます。ご家族にとっては、面会日以外にも少年の様子を知る経路ができるという意味があります。

 差入れが通るかどうかや、どの物品が指定業者を通す扱いになっているかといった各施設の運用も、付添人を通じて確認できます。窓口で戸惑いやすい部分を先に整理できるため、収容の早い段階で相談する意味は小さくありません。

動き出す前に確かめておきたいこと

 法令に下限が置かれている一方で、面会日や受付時間、差入れの受付方法、指定業者の有無は、施設ごとに定められています。訪問する前に、次の点を確認しておくと二度手間を避けられます。

  • 面会日と受付時間、面会の申出に必要な書類。
  • 少年の氏名のほか、照合に使われる生年月日などの情報。
  • 差入れの受付時間と、その日に受け付けてもらえる物の種類・数量。
  • 現金を差し入れる場合の方法と、所内で購入できる物の範囲。
  • 指定の事業者を通す扱いになっている物品があるかどうか。


 身分証と、少年との関係を説明できる材料は持参してください。差し入れる物は、返される場合があることを前提に、必要なものから順に持っていくと無駄がありません。

少年事件のご相談について

 弁護士法人若井綜合法律事務所は、池袋と新橋に事務所を構え、刑事事件・少年事件のご相談をお受けしています。お子さまが少年鑑別所に収容されている場合、面会や差入れの扱いにとどまらず、審判までの間に何を準備できるかについてもご説明します。ご本人と連絡が取れない段階で、ご家族だけでご相談いただくこともできます。

まとめ


  1. 少年鑑別所の生活・面会・差入れは、少年鑑別所法と同法施行規則に枠組みが置かれている。
  2. 在所者の地位ごとにルールが分かれており、観護措置で入っている少年は「被観護在所者」として扱われる。
  3. 面会は、保護者等であれば原則として許され、それ以外の人は事情と四つの要件の判断を経る。
  4. 面会の時間・回数・人数・面会日には、施設が制限できる範囲そのものに下限が置かれている。
  5. 一般面会には原則として職員が立ち会うが、付添人・弁護人との面会は立会いの対象から外れている。
  6. 差入れは、誰が差し入れたのかという関門と、施設の中で使える物かという関門の二つを通る。
  7. 現金を差し入れて所内で必要な物を購入する形が中心で、指定の事業者を通す扱いになる物品もある。
  8. 連絡の手段は面会と手紙が中心で、観護措置で収容されている少年に電話を認める規定は置かれていない。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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