【不貞慰謝料】配偶者がすでに支払っている場合|二重取りにならない仕組み
ご相談の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 依頼者 | Aさん(男性・40代・既婚) |
| 相手方 | 不倫相手Bさんの交際相手を名乗るCさん |
| ご相談の背景 | 勤務先や自宅への連絡が続き、家族が不安を感じるようになったこと |
| 弊所の対応 | Cさんとの窓口を弁護士に一本化し、法的根拠のない要求に対応 |
| 結果 | Cさんからの連絡が止み、解決 |
ご依頼までの経緯
不倫関係の解消後に始まった連絡
Aさんは既婚者でしたが、同じ職場に勤務する未婚の女性Bさんと不倫関係にありました。
数年間続いた関係はその後解消しましたが、しばらくして、Aさんのもとに見知らぬ男性から連絡がありました。
電話の相手はCと名乗り、Bさんの交際相手であるとのことでした。
Cさんの用件は、Bさんを不倫関係に巻き込んだことについて謝罪してほしいというものでした。
謝罪後も続いた要求
Aさんは、後日あらためて時間を取り、BさんとCさんに直接謝罪をしました。
しかし、それで話は終わらず、Cさんからは金銭の支払を仄めかすような話をされました。
Aさんが返答に困っていると、Cさんから、不倫の証拠を勤務先やAさんの自宅に送りつけると言われました。
このためAさんは、勤務先の社長や家族に事情を伝えることにしました。
その時点ではCさんから具体的な要求はなかったため、Aさんはしばらく様子を見ることにしました。
勤務先や家族を巻き込む事態に
その後、Bさんは勤務先を退職することになりました。
Cさんからの連絡は一時止んでいましたが、Bさんの退職が近づく頃、再び連絡が来るようになりました。
Cさんは、Aさん本人だけでなく勤務先の社長にも連絡をとり、Aさんを処分するよう求めました。
社長はこの申し入れを断りましたが、「Bさんの退職日までAさんを出社させないでほしい」というCさんの要望を受け入れ、Aさんは数日間、自宅待機となりました。
このほかにも、CさんはAさんの妻宛や勤務先のグループ会社宛に、不倫の証拠となる資料を送付していました。
勤務先の業務にも支障が出始めたため、勤務先は顧問弁護士を通じてCさんへの対応にあたることになりました。
勤務先からは、個人的な問題である以上、Aさん自身で解決するよう伝えられました。
職場や家族にも影響が及び、今後Cさんがどのような行動に出るか見通せない状況の中、Aさんは弊所にご相談に来られました。
弁護士の対応と解決への流れ
事実関係の整理と方針の確認
まず、Aさんから時系列に沿って、これまでの経緯を伺いました。
BさんとCさんの関係については、Cさんが交際相手と名乗っているだけで、婚姻関係の有無はもとより、実際に交際していたのかどうかも判然としないとのことでした。
Cさんの素性についても、直接会った際に名前を名乗った以外の情報は得られていませんでした。
そこで、仮にBさんとCさんが婚姻関係にあれば慰謝料の支払が問題となり得ること、一方で交際関係にとどまる場合は原則としてそのような義務は生じないこと、また、Cさんが求める金銭の支払に応じる法的な義務はないことをご説明しました。
Aさんのご意向を確認したところ、勤務先への連絡にも困っているものの、最も気にかけておられたのは、自宅にCさんから郵送物が届いたことで家族が不安を感じている点でした。
直近でも、Cさんから自宅を訪れる旨の連絡が頻繁に来ているとのことでした。
窓口を弁護士に一本化
ご家族の安全を確保したいというご希望を踏まえ、弊所でCさんへの対応をすべて引き取ることになりました。
Cさんのメールアドレスを把握していたため、弊所から、代理人として就任したこと、自宅訪問の連絡があった件については用件が分からないため今後は弊所宛に連絡してほしい旨を伝えました。
その後数か月間、Cさんからの連絡は途絶えていましたが、ある時、Bさんとの不倫関係を非難する内容とともに、Aさんに関する証拠をすべて破棄する旨の連絡がありました。
再度の連絡への対応
この時点でいったんは解決したと考えていましたが、さらに数か月が経過した後、Cさんから、正式な謝罪がない、警察に被害届を出すといった連絡が再び来ました。
これに対し弊所からは、すでにBさん・Cさん双方の面前で謝罪をしていること、何らかの請求をするのであれば法的な根拠を示してほしいこと、被害届の提出については弊所がコントロールできる事柄ではないため回答しかねることを伝えました。
その後もCさんからAさんの責任を追及する連絡は続きましたが、法的な請求としての体裁は伴わず、自宅や職場を訪問することを示唆する内容が中心でした。
弊所からは、都度、本件に関係のない自宅への訪問は控えるよう伝えるとともに、今後の行為の内容によっては法的な対応を検討する意向であることを伝えました。
その結果、Cさんからの連絡は来なくなり、本件は終件となりました。
解決結果と弁護士のコメント
男女トラブルにおいて、不倫相手や交際相手のパートナーを名乗る人物が介入してくるケースは珍しくありません。
その人物が不倫相手や交際相手の配偶者である場合には、当方に慰謝料の支払義務が認められることがあります。
一方で、パートナーを名乗る人物と不倫相手・交際相手との間に婚姻関係がない場合には、原則として慰謝料を支払う法的な義務はありません。
もっとも、相手方が、自分の交際相手に不倫関係があったことを知れば、感情的な対応になることも無理からぬところがあります。
そのため、穏便な解決を目指すのであれば、可能な範囲で事実を説明したり、事情によっては謝罪をしたりするという選択肢もあり得ます。
ただし、本件のように、相手方が職場や家族を巻き込んだうえで金銭を求めてくるような場合には注意が必要です。
こうした行為は、不当要求(法的な根拠のない請求、または請求そのものには根拠があっても、脅迫的な言動などの不当な手段で実現しようとする行為)に該当する可能性があります。
不当な要求に対して、相手方の小さな要求に応じてしまうと、そこに付け入る余地があると受け止められ、要求がさらに強まることもあります。
道義的に謝罪すべき点があれば謝罪をすることは考えられますが、それがそのまま法的な責任につながるとは限りません。
また、道義的な責任があることと、金銭を支払う義務があることも、同じではありません。
道義的な責任と法的な責任を切り分けたうえで、要求を曖昧なまま押し通そうとする相手方の対応には、落ち着いて対応していくことが大切です。
同種のトラブルでお悩みの方へ
男女トラブルのご相談の中には、不当な要求を受けたという内容が含まれることも少なくありません。
男女間の関係では、物事を法的な理屈で整理するよりも曖昧なまま進むことが多いこと、感情的な対立が生じやすいこと、道義的な観点から物事を捉える傾向が比較的強いことなどが背景にあるように思われます。
弊所にご相談に来られた方から、男女トラブルについて弁護士に相談してよいものか迷っていた、というお話を伺うことがあります。
すぐに法的なトラブルとまでは言えない内容であっても、状況によっては将来的に法的なトラブルへ発展する可能性もあります。
トラブルを未然に防ぎ、万が一トラブルになった場合でも影響を最小限にとどめるためには、早めに弁護士に相談しておくことが望ましいといえます。
ご不安なことがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。


