引っ越したのに住所を突き止められた|居場所を知られない対策
マッチングアプリで知り合った不倫相手との関係を清算した後、過去に撮影した動画をめぐって相手方から連絡が続くようになったAさん(男性・30代)。相手方の配偶者との間では一度解決したはずのトラブルが、思いがけない形で再び持ち上がった事案について、弊所が対応した経緯と解決までの流れをご紹介します。
ご相談の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 依頼者 | Aさん(男性・30代) |
| 相手方 | かつて不倫関係にあったBさん |
| トラブルの内容 | 関係清算後、過去に撮影した動画をめぐりBさんから連絡が続いた |
| 弊所の対応 | Bさんとの連絡窓口を担当し、謝罪と解決金の支払いを内容とする合意書を取り交わして終件 |
ご依頼に至るまでの経緯
配偶者側との請求は一度解決したはずだった
Aさんは数年前、マッチングアプリを通じてBさんと知り合いました。Bさんは既婚者であり、Aさんもその事実を認識したうえで交際関係となり、数回にわたり性的な関係を持ったとのことでした。
その後Bさんとは連絡を取らなくなっていましたが、ある日、Bさんの配偶者であるCさんの代理人を名乗る弁護士から連絡が入ります。Bさんがすでに離婚していたこと、そしてAさんとの交際について具体的な日時や場所を把握しているとして、慰謝料を請求する旨を告げられました。
突然のことにAさんは戸惑いましたが、伝えられた事実関係に心当たりがあったため、穏便に解決しようと考え、請求された慰謝料を支払いました。Aさんとしては、この時点でBさんをめぐる一連の問題は終わったものと考えていました。
警察からの連絡と誓約書、そしてその後の連絡
慰謝料の支払いからしばらくして、今度は警察署からAさんに連絡が入りました。Bさんから、いわゆるリベンジポルノの被害を受けているとの申告があったため、一度署に来てほしいとのことでした。
Aさんは交際中にBさんの動画を撮影したことはあったものの、連絡を取らなくなった時点ですでに全て削除していました。そこでAさんは警察署に出向き、動画をすでに削除していることを説明したうえで携帯電話の確認にも応じ、念のためとして、全ての動画を削除済みであることを確認する誓約書にも署名しました。
ところが、その後、非通知でBさんから度々連絡が入るようになります。Aさんは応答しないようにしていましたが、留守番電話にはBさんの心情が強く表れた伝言が残されていました。また警察署からも改めて連絡があり、Bさんが繰り返し相談に訪れており、動画を削除済みであると説明しても納得が得られない状況であること、Aさんが直接連絡を取るのは避け、弁護士を立てるなどして対応してもらえないかとの案内がありました。
Bさんが具体的に何を求めているのかは分からないまま連絡が続いていたことから、Aさんは弊所にご相談にいらっしゃいました。
弁護士の対応と解決への流れ
Bさんとの連絡窓口を弊所が担当
Aさんから、Bさんと知り合った経緯から相談時点までの事実関係を時系列で伺いました。Cさんとの件はすでに解決しており、動画も削除済み、さらに警察署で誓約書にも署名していたことから、法的な問題としては一区切りがついているようにも見受けられました。そこで、法的なトラブルというよりBさんの心情の整理がついていないことが背景にある可能性も考えられる旨をお伝えしたうえで、弊所が関与するのであればまずはBさんの話を伺うところから始める方針をご説明しました。
BさんはAさんに対して非通知で連絡をしており、以前の連絡先はすでに削除されているとのことで、直接のやり取りは避けつつどのように連絡を取るかが課題となりました。そこで、Bさんが被害相談をしていた警察署を通じて連絡先を確認してもらうこととし、弊所がBさんとの連絡窓口を引き受けることになりました。
警察署にBさんの連絡先を確認したところ、Bさんの意向を確認するとの回答があり、後日、電話番号は伝えたくないもののメールであれば連絡してよいとの意向が示されたため、弊所のメールアドレスを伝え、連絡を待つことにしました。
Bさんの本当の思いが明らかに
数日後、Bさんからメールが届きました。留守番電話の伝言の内容から身構えていたAさんでしたが、実際に届いたメッセージは落ち着いた内容のものでした。
メールの内容は、警察署で動画削除の誓約をしたことは把握しているものの誓約書だけでは安心できないこと、今後動画が拡散されないようきちんとした合意書を取り交わしたいというものでした。あわせて、Aさんは撮影当時Bさんも承諾していたと認識していましたが、実際にはBさんは撮影を断ったり削除を申し入れたりすることができなかっただけで、当時から強い不安を抱えていたことも伝えられました。
この内容をAさんに伝えたところ、Aさんとしても、撮影の場面において強引な部分があったかもしれないとの認識を持つに至りました。
謝罪と解決金の支払い、合意書の取り交わし
以上を踏まえ、AさんからBさんに対して謝罪の意を伝えるとともに、少額の解決金を支払うこと、動画がすでに削除済みであることを改めて確認すること、そして今後万が一、動画を保有し続けたり拡散したりする事実が判明した場合には違約金を支払うことを盛り込んだ合意書を取り交わす方向で調整を進めました。
最終的にBさんとの間で合意書を取り交わし、解決金の支払いをもって本件は終件となりました。
解決結果と弁護士のコメント
スマートフォンの普及により、写真や動画を気軽に撮影できるようになった一方で、個人的に撮影した性的な写真や動画がきっかけとなるトラブルは後を絶ちません。画像や動画の拡散を示唆して関係の継続などを求めるケースもあれば、インターネット上で流通してしまうケースも見受けられます。
弊所では男女間のトラブルを数多くお受けしていますが、交際関係を解消する場面では、金銭や物の清算に加えて、撮影された画像や動画の削除を求めたいというご相談も少なくありません。
もっとも、画像や動画などのデータは複製が容易で、様々な媒体に保存できることから、物理的に削除が完了したかどうかを確認しきることは難しいのが実情です。過去には端末のストレージを直接確認させてもらったケースもありますが、相手方が所持する全ての機器を確認することは現実的ではなく、確認できたとしても複製の可能性を完全に否定することはできません。
そのため、本件のように、動画が削除済みであることや他に複製・保存をしていないことを確認したうえで、万が一これに反する事実が判明した場合には違約金を支払うという形で、一定の予防策を講じるという対応にとどまらざるを得ない場合があります。あくまで相手方の誠実な対応を前提とした予防策であるため、不安を完全になくすことは難しい点にはご留意いただく必要があります。
同種のトラブルでお悩みの方へ
このようなトラブルを避けるためには、性的な場面など、他人に知られたくない状況での撮影をしない、あるいはさせないことが基本になります。相手に嫌われたくないという理由で断りきれなかったというお話もよく伺いますが、撮影を断ることで態度が変わるような相手であれば、関係のあり方自体を見直す必要があるかもしれません。
また、強引に撮影されそうになったり、無断で撮影されたりした場合には、早めに警察へご相談ください。反対に、相手が明確に拒否しなかったからといって、それを承諾があったものと安易に受け止めることも避けるべきです。
性的な画像や動画のデータは長く残り、状況によっては当事者双方に大きな不安を残す可能性があります。撮影を求められた際にはご自身を守る意識を持ち、撮影する側であれば相手への配慮を忘れないようにしてください。
それでもトラブルに至ってしまったときは、お早めに弊所へご相談ください。


