弁護士・司法書士・行政書士・警察・行政窓口|どこに相談すべきかの使い分け
弁護士に依頼しようとするとき、あるいは相手方の代理人から突然連絡が来たとき、「この人は本当に弁護士なのか」「どこの弁護士会に所属しているのか」「過去に問題を起こしていないか」を確かめたくなることがあります。
結論から申し上げると、登録されているかどうかと所属弁護士会は、誰でも無料で確認できます。懲戒処分の履歴についても、範囲は限られますが、依頼しようとしている方であれば日本弁護士連合会(以下「日弁連」)に開示を求める制度があります。
この記事では、登録番号と所属弁護士会の調べ方、番号から読み取れることと読み取れないこと、そして懲戒歴をどこまで確認できるのかを、制度の根拠にさかのぼって整理します。
まず全体像|何を、どこで確認できるのか
確認したい内容によって、見るべき場所と分かることの範囲が変わります。最初に全体像を示します。
| 確認したいこと | 主な調べ方 | 押さえておきたい点 |
|---|---|---|
| 登録されているか/所属弁護士会 | 日弁連の弁護士検索 | 現在登録されている弁護士が対象。無料 |
| 取扱業務など | 弁護士情報提供サービス(ひまわりサーチ) | 任意登録制で、内容は各弁護士の自己申告 |
| 登録番号 | 本人に尋ねる/弁護士記章・身分証明書 | 職務を行う場合、関係人の求めに応じて番号を示す扱い |
| 懲戒処分があったか | 官報および日弁連の機関雑誌での公告 | 氏名が分かっている必要がある |
| 直近の懲戒処分歴 | 日弁連への開示請求 | 依頼する(しようとする)方に限る。手数料が必要 |
以下、順に見ていきます。
登録番号とは何か
弁護士名簿に登録されて初めて弁護士になる
司法試験に合格し、司法修習を終えただけでは、弁護士として活動することはできません。日弁連に備えられた弁護士名簿に登録され、いずれかの弁護士会に入会して初めて弁護士となります(弁護士法第8条、第9条)。
登録番号は、この弁護士名簿に登録された際に一人ひとりに付される番号です。同じ姓名の弁護士がいても、番号によって特定できます。名刺や書面に「登録番号第○○○○○号」と記載されていることも多く、弁護士会が発行する書類にも用いられます。
番号は登録の順に付されていく
登録番号は、登録された順に付されていきます。したがって、番号が大きいほど登録が新しいという関係にはあります。ただし、後述するとおり、番号の大きさがそのまま実務経験の長さを表すわけではありません。
登録の有無と所属弁護士会を調べる
日弁連の「弁護士検索」を使う
日弁連のウェブサイトには「弁護士検索」があり、現在登録されているすべての弁護士の基本情報を見ることができます。ここで氏名などから検索すれば、その方が実際に登録されているか、どの弁護士会に所属しているかを確かめられます。
東京弁護士会も、「本当に弁護士として登録されているのか、どの弁護士会に所属しているのかを確認したい」という問い合わせに対して、この弁護士検索の利用を案内しています。
「ひまわりサーチ」との違い
日弁連にはもう一つ、「弁護士情報提供サービス ひまわりサーチ」があります。こちらは取扱業務などの条件から弁護士を探すためのもので、性格が異なります。
- 弁護士検索=現在登録されているすべての弁護士の基本情報を確認するためのもの
- ひまわりサーチ=取扱業務などから探すためのもの。任意登録制で、全ての弁護士が登録されているとは限らない
- ひまわりサーチの掲載内容は各弁護士の自己申告であり、日弁連および弁護士会は内容について責任を負わないとされている
登録の有無を確かめたいのであれば、ひまわりサーチではなく弁護士検索を使う、と整理しておくと迷いません。
検索で出てこないときに考えられること
名前が見つからないからといって、直ちに「偽物だ」と決めつけるのは早計です。次のような理由も考えられます。
- 戸籍上の氏名とは別に、届け出て許可を受けた「職務上の氏名」で活動している
- 旧字体・新字体の違い、姓と名の間のスペースなど、入力の表記が一致していない
- 弁護士法人の名称で探している(法人と、そこに所属する個々の弁護士は別に扱われる)
- 登録を取り消した後である(廃業、裁判官・検察官への任官、死亡など)
- 退会命令や除名を受け、現在は弁護士ではない
- そもそも登録されていない
判断に迷うときは、その弁護士が所属していると称している弁護士会に問い合わせる方法もあります。
登録番号は本人に尋ねてよい
番号を示す扱いが定められている
「番号を聞くのは失礼ではないか」と気にされる方がいますが、そのような性質のものではありません。
日弁連の弁護士記章規則は、弁護士はその職務を行う場合に、裁判所その他の関係人の要求があるときは、携帯する記章の番号を示さなければならないと定めています。日弁連が発行する身分証明書を携帯しているときは、身分証明書に記載された登録番号を示すことで代えることができるとされています。
つまり、番号は本来、求めに応じて示される前提のものです。名刺や送られてきた書面に記載されていることも多いので、まずはそちらを確認するとよいでしょう。
身分証明書に書かれている事項
日弁連が発行する弁護士の身分証明書には、次の事項が記載されます。
- 氏名
- 生年月日
- 登録番号
- 所属弁護士会
- 法律事務所の名称および所在場所
- 弁護士である旨
有効期間は発行日から5年間で、第三者への貸与や譲渡は禁止されています。また、除名・退会命令・業務停止の懲戒処分を受けたときは、直ちに返還しなければならないとされています。
弁護士記章(バッジ)で分かること・分からないこと
記章は日弁連から貸与されているもの
弁護士記章は、日弁連が所有し、弁護士に貸与しているものです。デザインは、十六弁のひまわりの花の中心に秤を配したもので、花弁の部分は金色、中心部の地色は銀色とされています。裏面には「日本弁護士連合会員章」の文字と登録番号が刻まれています。
また、次のような扱いが定められています。
- 除名または退会命令を受けたときは返還する
- 業務停止の処分を受けたときも直ちに返還し、期間中は所属弁護士会が保管することがある
- 処分が取り消されたときや業務停止の期間が満了したときは再び貸与される
- 紛失したときは官報に公告したうえで再交付され、再交付されたものは裏面に再交付の旨と回数が刻まれる
記章だけで判断しないほうがよい理由
記章を着けていない弁護士は珍しくありませんし、外形の似た物が出回っているという指摘もあります。記章の有無や見た目だけで判断するのではなく、番号と名簿の記載を照らし合わせるほうが確実です。
番号から読み取れること・読み取れないこと
「番号が大きい=経験が浅い」とは限らない
インターネット上には、登録番号から司法修習の期や登録年数を割り出す一覧表が出回っています。おおよその目安にはなりますが、番号の大きさと実務経験の長さは一致しないことがあります。次のような場合があるためです。
- 裁判官や検察官を務めた後に弁護士登録をした
- 企業や官公庁での勤務など、別の経歴を経てから登録した
- いったん登録を取り消し、後に再び登録した(弁護士名簿の登録請求書には、登録を取り消したときの登録番号を記載する欄が設けられています)
年数そのものは判断材料になりにくい
仮に登録年数が正確に分かったとしても、それは「その分野の事件をどれだけ扱ってきたか」とは別の話です。番号や年数で優劣を判断するのではなく、自分の相談したい事柄について、どのような手続きを想定し、どういう見通しを立てるのかを直接尋ねるほうが、はるかに実用的な材料になります。
弁護士を装う連絡への注意
弁護士でない者が「弁護士」や「法律事務所」と標示・記載することは、弁護士法第74条で禁止されています。利益を得る目的で法律相談その他の法律事務を取り扱う旨を標示・記載することや、弁護士法人でないのに弁護士法人と紛らわしい名称を用いることも同様です。これらに違反した場合、100万円以下の罰金に処せられます(同法第77条の2)。
実在する弁護士の氏名をかたるケースも報告されています。次の点に留意してください。
- 検索で確認できた事務所の電話番号に、こちらからかけ直して在籍を確かめる(相手から伝えられた番号ではなく、公表されている番号を使う)
- 氏名・所属弁護士会・登録番号・事務所名の4点がそろって一致するかを見る
- 心当たりのない事案で急な入金や個人情報の提供を求められた場合は、いったん保留にして確認する
懲戒歴は確認できるのか
懲戒処分の種類
弁護士は、弁護士法や会則に違反したときなどに懲戒を受けます。処分は次の4種類です(弁護士法第57条第1項)。
- 戒告
- 2年以内の業務停止
- 退会命令(弁護士としての身分を失いますが、弁護士となる資格自体は失いません)
- 除名(弁護士としての身分を失うほか、3年間は弁護士となる資格も失います)
なお、懲戒の事由があったときから3年を経過すると、懲戒の手続を開始することができないとされています(同法第63条)。
公告されている
弁護士会または日弁連が懲戒をしたときは、日弁連が遅滞なく官報をもって公告しなければならないとされています(弁護士法第64条の6第3項)。日弁連は、あわせて機関雑誌『自由と正義』にも掲載し、懲戒の理由の要旨も公表しています。
したがって、氏名が分かっていれば、公告をたどることで過去の処分を確認できる場合があります。ただし、いつの号に載っているかを特定する必要があり、個人が網羅的に調べるのは容易ではありません。
日弁連に開示を請求する制度がある
より現実的なのが、日弁連の「懲戒処分歴の開示に関する規程」に基づく開示請求です。あまり知られていませんが、弁護士等に現に法律事務を依頼している方、またはこれから依頼しようとしている方は、その弁護士の懲戒処分歴の開示を求めることができます。対象は、現に弁護士等である方に限られます。
請求書には、次の事項を記載することとされています。
- 請求者の氏名(名称)・住所・電話番号
- 対象となる弁護士の氏名と事務所(弁護士法人の場合は名称と主たる法律事務所)
- 依頼または委嘱しようとする事案の概要
- 開示を必要とする事由
- 開示を受けた懲戒処分歴を他に漏らさないことを誓約する旨
あわせて、本人確認に必要な書類の写し(法人の場合は資格証明書)を添付します。手数料は、規則により1件につき1,000円と消費税相当額と定められています。
日弁連は、開示を必要とする事由が不当なものと認める場合を除き、配達証明取扱いの書留郵便で通知します。開示される内容は、処分の種別と業務停止の場合はその期間、効力が生じた年月日、懲戒の理由の要旨、審査請求や取消しの訴えが係属しているかどうかなどです。該当する処分歴がなかった場合も、その旨が通知されます。
開示される範囲は限られている
ここが最も誤解されやすい点です。開示の対象は、次の範囲に限られています。
| 処分の種類 | 開示される範囲 |
|---|---|
| 除名 | 効力が停止されている間のもので、処分の効力が生じた日から3年を経過していないもの |
| 退会命令 | 効力が停止されている間のもの、または処分後に再び弁護士名簿に登録された場合で、効力が生じた日から3年を経過していないもの |
| 業務停止 | 停止期間が満了していないもの、および満了した日から3年を経過していないもの |
| 戒告 | 効力が生じた日から3年を経過しておらず、かつ日弁連または弁護士会が公表したもの |
整理すると、次のようになります。
- おおむね直近3年程度の処分が対象であり、それより前の処分は開示されない
- 除名や退会命令が確定した方は、そもそも弁護士ではないため対象外となる
- 戒告は「公表されたもの」に限られる
戒告について補足すると、日弁連の規則は、業務停止・退会命令・除名は原則として公表する一方、戒告は「弁護士等および弁護士会に対する国民の信頼を確保するために特に必要である場合」に公表するとしています。日弁連の通知書式にも、すべての戒告が公表されるわけではない旨の注記があります。
請求する側が知っておきたいこと
- 開示を受けた内容を他に漏らすと責任を問われる旨が、請求書の誓約と通知書の注記に明記されている
- 弁護士の側は、過去3年間に自分について開示請求があったかどうかを日弁連に照会できる(通知されるのは請求の有無と回数、請求者の数、開示の有無と回数であり、請求者の氏名は通知事項に含まれていない)
- 処分が後に取り消されたり変更されたりした場合には、対象となった弁護士の求めにより、その旨の追加の通知がなされる
懲戒歴の情報をどう受け止めるか
民間のまとめサイトとの付き合い方
インターネット上には、懲戒処分を一覧化した民間のサイトがいくつも存在します。参照すること自体は自由ですが、更新の頻度や正確性、その後に処分が取り消された場合の反映までは保証されていません。一次的な情報は官報と『自由と正義』であり、依頼を検討している段階であれば日弁連への開示請求という制度があります。順序としては、そちらを確認するほうが確実です。
「処分歴がない=安心」でも「ある=不適格」でもない
懲戒制度は、誰でも懲戒の請求ができる仕組みです。請求されたことと処分を受けたことは別ですし、処分の内容も、事件処理そのものに関するものから会費の滞納に関するものまで幅があります。
処分歴が見つからないことが、その弁護士との相性や、あなたの事件との適合を保証するわけではありません。逆に、過去の処分の存在だけをもって、現在の事件処理が不適切だと決めつけることもできません。確認は判断材料の一つと位置づけ、内容と時期、その後の経過まで含めて受け止めるのが妥当です。
確認した後にやっておきたいこと
登録の確認は、あくまで入口です。実際に依頼するかどうかは、相談の場で確かめたほうが早く、確実です。相談の際には、次のような点を尋ねてみてください。
- この事案でどのような手続きを想定しているか、その理由は何か
- 同じ型の事案を扱った経験があるか(依頼者が特定されない範囲で構いません)
- 費用の内訳(相談料・着手金・報酬金・実費)と、追加費用が生じる場合の条件
- 実際に担当するのは誰か、連絡はどの方法で、どのくらいの頻度で行われるか
- 見通しについて、不利な事情や想定しにくい事情も説明してもらえるか
説明の分かりやすさや、不利な点を隠さずに話してくれるかどうかは、番号や年数よりも実際的な判断材料になります。
おわりに
弁護士の登録の有無と所属弁護士会は、日弁連の弁護士検索で誰でも確認できます。登録番号は、求めに応じて示される前提の情報であり、遠慮なく尋ねて構いません。そして懲戒処分歴は、公告という形で公開されているほか、依頼しようとしている方であれば、日弁連に開示を請求する制度が用意されています。
いずれも、疑うためというより、安心して任せられるかどうかを自分の手で確かめるための仕組みです。確認できることは確認したうえで、あとは実際に話をしてみて、進め方と費用に納得できるかどうかで判断する。その順序で臨んでいただければと思います。


