法律事務所のホームページで確認すべき7項目

若井亮

若井亮

テーマ:一般

弁護士に相談しようと考えたとき、多くの方がまずすることは、法律事務所のホームページを見ることです。ところが、いくつかの事務所を見比べてみても、どこも似たようなことが書いてあるように感じて、決め手が見つからないという声をよく聞きます。

 これは、読み方の問題であることが少なくありません。法律事務所のホームページには、弁護士法や日本弁護士連合会の会規によって書き方が決められている部分と、各事務所が自由に書いている部分が混じっています。どこが決まりごとで、どこが自由な部分なのかを知っておくと、同じページを見ても読み取れることが変わってきます。

 この記事では、相談先を検討する立場から、法律事務所のホームページで確認しておきたい7つの項目を整理します。デザインの善し悪しや文章のうまさではなく、書かれている中身をどう読むかという話です。

ホームページで分かること、分からないこと


サイトは「答え」ではなく「絞り込むための材料」


 最初に前提を一つ置きます。ホームページから読み取れるのは、主にその事務所に依頼するとしたら、どういう形になるのかという枠組みの部分です。自分の件の見通しや、担当する弁護士との相性は、実際に相談してみないと分かりません。

 ですから、サイトを見る目的は「ここが一番良い事務所だ」と決めることではなく、「相談してみる候補を数か所に絞ること」と考えたほうが、作業として現実的です。読み比べで疲れてしまう方の多くは、サイトだけで結論を出そうとしているように見えます。

見る順番を決めておくと迷いにくい


 トップページから順に読み進めると、どうしても目立つ言葉に引っ張られます。そこで、次の7項目を決まった順番で見ていく方法をおすすめします。運営している主体の確認から始めて、だんだん自分の件に近づけていく順番です。

確認する項目主に見るページ読み取れること
①事務所の名称と所属弁護士会フッター・事務所概要誰に依頼することになるのか
②拠点の表示と相談する場所事務所概要・アクセスどこで会い、どこへ書面を出すのか
③担当する弁護士の情報弁護士紹介どのような経験の人が対応するのか
④取扱分野の書かれ方取扱分野・各分野ページ自分の状況が想定されているか
⑤費用の書かれ方費用・料金何にいくらかかる仕組みなのか
⑥解決事例・実績の書かれ方解決事例・実績どこまでが確かめられる情報か
⑦相談の入口と情報の扱い相談の流れ・お問い合わせどう申し込み、何を伝えるのか


①事務所の名称と、所属弁護士会の表示


「法律事務所」「弁護士法人」は法律上の名称


 弁護士の事務所は「法律事務所」と称すると、弁護士法20条1項が定めています。また、弁護士法人は名称の中に「弁護士法人」という文字を使わなければならないとされています(同法30条の3)。

 日本弁護士連合会の指針では、「法律特許事務所」「法律会計事務所」「法律総合事務所」といった名称は「法律事務所」の文字を使っているものとして扱われる一方、「弁護士事務所」「法律センター」「法律相談所」は、そうは認められないものとして例示されています。

 世の中には「法務事務所」など、似ているけれども別の名称もあります。これらは弁護士以外の資格者の事務所であることもあります。どの資格の人に相談することになるのかは、名称だけでなく、サイトに弁護士の氏名と所属弁護士会が書かれているかで確かめるのが確実です。

サイトの見出しと事務所名が違うとき


 サイトの一番上に「○○交通事故相談センター」のような名前が大きく出ていて、事務所名は小さくフッターにだけ書かれている、という構成のページがあります。

 この点について日弁連の指針は、登録した事務所名称とは別に、取扱分野を示す方法として「○○センター」「○○相談所」といった表示を用いることを、複数の名称を付けることにあたる例として挙げています。会規上、事務所には一つの名称を届け出る仕組みになっているためです。

 読む側にとって大事なのは、違反かどうかの判定ではありません。実際に委任契約を結ぶ相手は誰なのかを、サイトの見出しではなく事務所名の表記で確認する、ということです。相談の予約をする前に、事務所概要のページまで一度下りてみてください。

名称が控えめであること自体は判断材料になりにくい


 日弁連の指針は、事務所の名称として品位を損なうものの例に、「勝訴確実法律事務所」「格安法律事務所」「日本一法律事務所」「元特捜検事法律事務所」といったものを挙げています。分野名に「専門」「スペシャリスト」「エキスパート」などを付けた名称も同様に扱われています。

 つまり、こうした強い言葉が事務所名に使われていないのは、多くの場合、会規のルールに沿っているというだけの話です。名称が控えめだから誠実、派手だから問題がある、といった読み方には無理があります。名称からは「どういうルールの下にある事業者か」までが読み取れる、と考えておくとよいと思います。

所属弁護士会の表示


 弁護士の業務広告に関する規程は、広告に弁護士の氏名(法人の場合は名称)と所属弁護士会を表示することを求めています。趣旨は、広告の責任の所在をはっきりさせ、利用者が不審な点を弁護士会に問い合わせられるようにすることにあるとされています。

 東京弁護士会も、事務所サイトに所属弁護士会の表示がないものは違反広告にあたるとして注意を呼びかけています。相談先を探す側からすると、この表示は「どこに問い合わせれば確かめられるか」を示す情報でもあります。

②拠点の表示と、実際に相談する場所


支店を持てるのは弁護士法人


 弁護士法20条3項は、弁護士は、いかなる名義をもってしても二か所以上の法律事務所を設けることができないと定めています。一方、弁護士法人は主たる事務所のほかに従たる事務所を置くことができます。複数の拠点を掲げているサイトを見たときは、まず弁護士法人かどうかを見ると、構造が分かりやすくなります。

 従たる事務所の名称にもルールがあります。日弁連の指針では、「○○支所」「○○支部」「○○分室」「○○従事務所」などは使える文言として、「○○営業所」「○○店」は使えない文言として例示されています。また、弁護士法人の法律事務所ではないのに「支部」「支所」といった文字を用いた名称は、誤認を生じさせるものの例に挙げられています。

拠点に弁護士が常駐しているとは限らない


 弁護士法30条の17は、弁護士法人はその法律事務所に、その地域の弁護士会の会員である社員を常駐させなければならないと定めています。ただし従たる事務所については、その地域の弁護士会が、周辺の弁護士の分布状況その他の事情を考慮して常駐しないことを許可したときは、この限りでないという例外が置かれています。

 この規定から分かるのは、「自宅の近くに拠点がある」ことと「そこにいつも弁護士がいる」ことは同じではない、ということです。とくに相談の予約を入れるときは、次の点を確認しておくと行き違いが減ります。

  • 面談はどの拠点で行うのか
  • 担当する弁護士が普段どこにいるのか
  • 書面や郵便の宛先はどこになるのか
  • オンラインや電話での打ち合わせに対応しているか


相談場所と事務所所在地が別のこともある


 出張相談や貸会議室での相談を実施している事務所もあります。それ自体は珍しいことではありませんが、その場合、相談した場所と、契約や連絡の窓口になる場所が別になります。書類の送り先や、あとで資料を持参するときの行き先を、最初に聞いておくと安心です。

③担当する弁護士の情報


人数より「誰が担当するか」


 弁護士紹介のページで見たいのは、在籍人数そのものよりも、自分の件を誰が担当することになるのかという点です。事務所によって、代表がすべて担当する形、分野ごとに担当が決まる形、相談した弁護士がそのまま受任する形など、運用は異なります。

 サイトに書かれていないことも多いので、次の3点は問い合わせの段階で確かめておくと、あとで「思っていた人と違った」という食い違いが起きにくくなります。

  1. 相談を担当する弁護士と、依頼した場合に担当する弁護士は同じか
  2. 複数名で担当する場合、主に窓口になるのは誰か
  3. 担当が交代することがあるとすれば、どういう場合か


経歴欄から読み取れること、読み取れないこと


 経歴からは、弁護士登録の年(経験年数の目安)、所属弁護士会、これまでの活動の幅などが分かります。一方で、経歴は結果を約束するものではありません。

 この点について、業務広告に関する指針は、役職や前歴によって特に有利な解決が期待できると示唆する表示を、問題となり得る例として挙げています。経歴は「どういう経験を積んできた人か」を知る材料であって、「この人なら勝てる」という予測に直結させるものではない、と受け止めておくのが穏当です。

④取扱分野の書かれ方


見るのはラベルより記述の粒度


 取扱分野のページには「取扱い分野」「得意分野」「注力分野」など、事務所によって違う言葉が使われます。これらの言葉づかいには会規上の考え方があるのですが、相談先を絞る作業としては、ラベルよりもその分野のページに何がどこまで書いてあるかを見るほうが役に立ちます。

 分野名だけが並んでいるページと、その分野の中の典型的な事案の型、手続の流れ、期間の目安まで書かれているページとでは、読み取れる情報量が違います。

自分の「立場」が想定されているか


 同じ分野でも、どちらの立場かで進め方はまったく変わります。請求する側か、請求された側か。貸した側か、借りた側か。刑事の手続なら、疑いをかけられた側か、被害を受けた側か。

 分野ページを読むときは、自分の立場から書かれた記述があるかを確かめてみてください。片方の立場の説明しかないサイトもありますが、それは扱っていないという意味とは限らず、単にページを作っていないだけのこともあります。気になる場合は問い合わせの際に確認するのが早道です。

「専門」と書いていない=経験がない、ではない


 弁護士には、医師の専門医制度のような公的な専門分野の認定制度がありません。そのうえで、日弁連の業務広告に関する指針は、「専門」の表示について、判定の基準がなく客観性が担保されないため表示を控えるのが望ましいとしています。

 したがって、サイトに「専門」と書かれていないことは、その分野の経験がないことを意味しません。表示の言葉から経験の量を読み取ろうとするより、記述の具体性と、相談での受け答えで確かめるほうが確実です。

⑤費用の書かれ方


費目が区別されているか


 弁護士費用は、いくつかの費目に分かれています。総額だけが書かれているページよりも、費目ごとに分かれているページのほうが、あとから見積もりを取ったときに照らし合わせやすくなります。

費目おおまかな意味サイトで見たい点
相談料相談を受けること自体の対価時間単位か、無料の範囲があるか
着手金結果にかかわらず、依頼の際に支払うもの定額か、金額に応じて決まるか
報酬金事件が終わったときに、結果に応じて支払うもの何を基準に計算するのか
日当・実費出張の対価と、印紙代・郵券・交通費などどこまでが実費に含まれるか


「無料相談」の範囲


 無料相談を掲げている場合でも、その範囲は事務所によって異なります。初回のみか、時間の上限はあるか、分野に限定はあるか、電話やオンラインでも無料か。ここが書かれていないときは、予約の電話で聞いてしまうのが確実です。

 なお、業務広告に関する指針は、「割安な報酬」「業界最低水準の弁護士報酬」といった表示を、誤導のおそれがある例として挙げています。安さを強調する表現そのものよりも、計算方法が書かれているかどうかを見るほうが、比較の材料になります。

オンラインで完結する場合は表示項目が増える


 電話やメールなどの通信手段によって法律事務を受任する場合、業務広告に関する規程は、氏名や所属弁護士会に加えて、次の3点を広告に表示することを求めています。通信販売の広告表示義務にならった規定とされています。

  • 受任する法律事務の表示およびその範囲
  • 報酬の種類・金額・算定方法・支払時期
  • 委任契約が委任事務終了までは解除できることと、中途で終了した場合の清算方法


 一度も来所せずに手続が進む形の事務所を検討している場合は、この3点が書かれているかが一つの目安になります。

⑥解決事例・実績の書かれ方


具体的でないのには理由がある


 解決事例が抽象的で物足りない、と感じたことのある方は多いと思います。ただ、これは書き惜しんでいるとは限りません。

 弁護士の業務広告に関する規程4条は、訴訟の勝訴率、顧問先や依頼者、受任中の事件、過去に取り扱った事件について、表示を制限しています(同意がある場合など一定の例外があります)。依頼者が特定されうる情報を出せないことは、守秘義務の要請でもあります。

 言い換えると、事例が抽象的なことは、それ自体が問題を示すものではありません。むしろ、依頼者が特定できてしまいそうなほど詳しい事例が並んでいるときは、同意を得ているかどうかという別の観点が出てきます。

数字は「数え方」とセットで見る


 件数の表示を見るときは、何をどう数えた数字なのかを意識すると読み違いが減ります。相談件数なのか受任件数なのか、事務所全体の延べ数なのか担当弁護士のものなのか、期間はいつからいつまでか。

 業務広告に関する指針も、ある分野の件数を別の分類に含めて延べ件数として表示し、その分野全般に習熟しているかのような印象を与える例を、誤導のおそれがある例として挙げています。数字そのものより、数え方の基準が書かれているかが読みどころです。

表示できないとされているもの


 あわせて知っておくと整理しやすいのが、事実に合致しない広告として指針が挙げている例です。具体的には、架空の事例や、そのとおりに解決できなかった事例を脚色して解決事例として載せること、実在の依頼者が関与していない文章を利用者の声として載せること、実際には回答していないものを法律相談実績に含めることなどが挙げられています。

 東京弁護士会も、机上のシミュレーションを「解決事例」「成功事例」として表示することは違反広告にあたるとして注意喚起しています。読む側としては、事例が実際の事件の記述なのか、一般的な説明なのかを区別しながら読むと、情報の重みづけができます。

⑦相談の入口と、情報の扱い


申し込みの方法と受付の条件


 相談の流れのページでは、予約方法(電話・フォーム・メール)、受付時間、面談のほかに電話やオンラインが選べるか、土日や夜間の対応があるか、といった実務的な条件を確認します。

 これらは能力の問題ではなく、自分の生活と噛み合うかどうかの問題です。平日の日中に時間が取れない方にとっては、分野の記述より優先度が高い項目になることもあります。

相手方の氏名を聞かれるのは利益相反の確認


 予約の段階で、トラブルの相手方の氏名や会社名を尋ねられることがあります。これは詮索ではなく、利益相反の確認です。弁護士法25条や弁護士職務基本規程は、相手方から先に相談を受けている場合など、一定の関係にある事件を受任できないものとしています。

 そのため、相手方が先にその事務所へ相談していると、こちらの依頼は受けられないことがあります。相談先を探す作業を早めに始めたほうがよいと言われる理由の一つが、ここにあります。

フォームに書く前に見ておきたいこと


 問い合わせフォームには、事情の一部を書くことになります。送信する前に、次の点を確認しておくと、あとで困りにくくなります。

  1. 個人情報の取扱いについての記載があるか
  2. 折り返しの連絡方法を選べるか(電話・メール・時間帯の指定)
  3. 同居している家族に知られたくない事情がある場合、その旨をどこに書けばよいか
  4. 返信までのおおよその日数が示されているか


 最初の問い合わせでは、事情のすべてを書き切る必要はありません。分野、立場、いつごろの出来事か、期限が迫っているものがあるか。この4点が伝われば、事務所側は対応の可否を判断できます。

7項目に共通する見方「いつの情報か」


 7つの項目に共通するチェックポイントとして、最後に「情報の時点」を挙げておきます。

 法律の分野は、法改正や制度の新設によって前提が変わります。料金表も改定されることがあります。コラムや解説ページに更新日が入っているか、改正法に触れている記事があるか、条文名や制度名まで書かれているか。こうした点は、その事務所が情報を手入れしているかどうかの手がかりになります。

 もっとも、更新が止まっているように見えても、通常業務が忙しく、サイトの更新に手が回っていないだけということもあります。決定的な材料と考えるのではなく、他の項目と合わせて見る補助的な指標として扱うのが妥当です。

サイトで判断しきれないことは、相談で確かめる


 7項目を確認しても、残る問いがあります。自分の件の見通し、費用の総額の見込み、話しやすさ。これらはサイトからは分かりません。

 そこで、サイトに書いてあったことを相談の場で答え合わせするという使い方をおすすめします。たとえば次のような形です。

  • サイトに書かれていた分野の説明が、自分の立場の事案にもあてはまるか
  • 費用ページの計算方法に自分の件をあてはめると、おおよそいくらになるか
  • 連絡の窓口と方法が、書かれていたとおりに運用されているか


 サイトの記載と説明が食い違うときは、その理由を聞いてみてください。料金改定の直後だった、記載が古かったなど、単純な事情であることも多くあります。大切なのは、食い違いを持ち帰らずにその場で解消しておくことです。

おわりに


 法律事務所のホームページは、事務所ごとの自由な工夫と、弁護士法や会規による決まりごとが重なってできています。決まりごとの部分を知っておくと、「なぜどのサイトも似た書き方なのか」「なぜ解決事例は抽象的なのか」といった疑問がほどけて、比較すべきところが見えてきます。

 そのうえで、サイトはあくまで候補を絞るための材料です。最終的に判断の材料になるのは、相談の場で交わすやり取りのほうです。7項目を確認して2、3か所に絞り込み、実際に相談してみる。その順番で進めていただければ、迷う時間はかなり短くなるはずです。

 なお、相談したい内容が固まっていない段階でも、事務所側は分野と立場さえ分かれば対応の可否を判断できます。サイトを読み比べるうちに手が止まってしまったときは、いったん問い合わせてみることも、選択肢の一つとしてお考えください。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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