お触りの証拠を捏造するメンズエステ美人局の見分け方と現場での対処法
交際相手から殴られた、突き飛ばされた、髪を引っ張られた——。相手が恋人であっても、身体に対する暴力が違法であることに変わりはありません。刑事上は暴行罪・傷害罪の問題になり、民事上は慰謝料などの損害賠償を請求できる場合があります。
一方で、交際関係の中で起きた暴力は「二人きりの場面で目撃者がいない」「後から仲直りしてしまった」「自分も手を出してしまった」といった事情が重なり、他人同士のトラブルより整理が難しくなりがちです。
この記事では、暴力を受けた側の立場から、①暴行罪と傷害罪の線引き、②証拠の残し方、③慰謝料請求の考え方、④自分も手を出してしまった場合の扱いを整理します。
この記事の要点
- 暴行罪と傷害罪を分けるのは「けがをしたかどうか」で、恋人同士かどうかは関係しない
- あざや打撲だけでなく、PTSDなどの精神的機能の障害も刑法上の「傷害」に当たり得る
- 刑事と民事は別の手続きで、刑事事件にしなくても慰謝料請求はできる
- 身体を害された場合の慰謝料請求権の時効は、原則として損害と加害者を知った時から5年
- 自分も手を出していたとしても、請求できる可能性がなくなるわけではない
なお、いま暴力を受けている、あるいは危険が差し迫っていると感じる状況であれば、法的な整理より先に安全の確保が優先されます。緊急時は110番、緊急ではないが警察に相談したいときは警察相談専用電話「#9110」を利用してください。
恋人からの暴力は何罪になるのか
暴行罪と傷害罪を分けるのは「けがの有無」だけ
暴行罪(刑法208条)と傷害罪(刑法204条)の違いは、行為の激しさではなく、傷害の結果が生じたかどうかという一点にあります。
- 暴行罪:2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金、拘留もしくは科料
- 傷害罪:15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
- 傷害致死罪(刑法205条):3年以上の有期拘禁刑
※2025年6月1日から、懲役刑・禁錮刑は「拘禁刑」に一本化されています。
ここでいう「暴行」とは、人の身体に対する不法な有形力の行使を指します。殴る・蹴る・突き飛ばす・腕をつかむ・髪を引っ張るといった行為が典型ですが、胸倉をつかむ、着衣を強く引っ張る、身体をめがけて物を投げるなど、直接身体に触れていない行為も暴行に当たり得ます。「軽くこづいただけ」「物に当たっただけ」という相手の説明が、そのまま法的な評価になるわけではありません。
目に見える傷がなくても「傷害」になり得る
「傷害」とは、人の生理的機能を害すること、健康状態を不良に変更することをいいます。骨折や打撲、あざ、擦り傷はもちろん、めまいや不眠が続くようになった場合も含まれ得ます。
さらに、最高裁は2012年(平成24年)7月24日の決定で、PTSD(心的外傷後ストレス障害)のような精神的機能の障害を生じさせた場合も刑法上の「傷害」に当たるという判断を示しています。外形的な傷が残っていないことは、被害がなかったことを意味しません。
恋人同士でも刑法の適用に例外はない
刑法には「交際関係にある者の間では適用しない」といった規定はありません。同棲していても、していなくても、また被害を受けた側が男性であっても女性であっても、成立する犯罪の内容は変わりません。相手から「痴話喧嘩だから警察は動かない」と言われることがありますが、そのような法的根拠はありません。
公訴時効
刑事事件として立件できる期間(公訴時効)は、暴行罪が3年、傷害罪が10年、傷害致死罪が20年です。時間が経った出来事でも、期間内であれば刑事手続の対象になり得ます。
交際関係ならではの「立証の壁」と証拠の残し方
交際相手からの暴力は、次の理由で立証が難しくなりがちです。
- 二人きりの室内で起きるため、第三者の目撃者がいない
- その後に関係が続き、時間が空いてから相談することが多い
- 相手から「ふざけていただけ」「そっちが先に手を出した」と説明される
だからこそ、記録が結論を大きく左右します。可能な範囲で、次のものを残しておいてください。
1.診断書
けがをした場合は、できるだけ早く医療機関を受診し、診断書を取得します。受診の際は、けがの原因が暴力であることを医師に正確に伝えてください。原因の説明を曖昧にしたまま作成された診断書は、後の交渉や捜査で説得力が弱くなります。眠れない、動悸がする、外出が怖いといった症状が続く場合は、心療内科・精神科の受診記録も重要な資料になります。
2.写真
受傷部位は、明るい場所で、患部のアップと全身の両方を撮影します。あざは時間の経過で色が変わるため、当日だけでなく数日にわたって撮影しておくと、経過が分かる資料になります。壊された物や乱れた室内も撮影対象です。
3.メッセージ・録音
暴力の後に相手が送ってきた謝罪のLINEやメール(「昨日は殴って悪かった」など)は、事実そのものを裏づける有力な資料です。自分から削除しないでください。 また、自分が当事者として参加している会話の録音は、原則として証拠に使えます。
4.時系列メモ
日時・場所・言われた言葉・された行為・その後の体調を、思い出せる範囲で時系列に書き出します。その場で反撃してしまったこと、後で仲直りしたことも含めて、事実のまま記録してください。 自分に不利に見える事情を隠した記録は、後で食い違いが出たときに全体の信用性を下げてしまいます。
5.第三者への相談履歴
友人・家族への相談メッセージ、警察相談専用電話(#9110)や自治体の相談窓口への相談記録は、被害の存在を裏づける間接的な資料になります。
慰謝料などの損害賠償を請求する
刑事と民事は別の手続き
刑事手続(警察・検察による捜査と処罰)と、民事の損害賠償請求は別の制度です。したがって、刑事事件にしないまま慰謝料を請求することもできますし、相手が不起訴になった場合でも民事請求は可能です。不起訴は「損害賠償責任がない」という判断ではありません。
請求できる費目
暴力は民法709条・710条の不法行為に当たり得ます。請求の対象となるのは慰謝料だけではありません。
- 治療費・薬代、通院にかかった交通費
- けがや通院のために働けなかった分の休業損害
- 壊された物の損害(修理費・買い替え費用)
- 精神的苦痛に対する慰謝料
金額は、けがの有無と程度、通院期間、暴力の回数や継続期間、悪質性などによって大きく変わります。後遺症が残った場合には、別途の項目として検討することになります。逆にいえば、相手に提示した請求額がそのまま認められるとは限りません。相場感の見極めは、記録の内容を前提とした個別判断になります。
時効は「5年」が原則だが、油断はできない
不法行為に基づく損害賠償請求権は、原則として損害と加害者を知った時から3年で時効にかかります(民法724条1号)。ただし、人の生命または身体を害する不法行為については、この期間が5年に延長されています(民法724条の2。2020年4月1日施行)。けがを負わされた場合は、この5年の方が適用されます。
もっとも、けがに至らなかった暴行による精神的苦痛については、「身体を害する不法行為」に当たらないとして3年で整理される可能性があります。どちらに当たるかで1年以上の差が出るため、時間が経っている事案ほど早めに確認しておくのが安全です。
請求の進め方
一般的には、①証拠の整理 → ②相手方への請求(弁護士名義の通知書・内容証明郵便を用いることが多い) → ③交渉・示談 → ④まとまらない場合は民事訴訟、という流れになります。
示談で解決する場合、金額だけでなく、今後は連絡や接近をしないことを約束する接触禁止条項、事案を第三者に口外しない条項を盛り込んでおくと、その後のトラブルを予防しやすくなります。
「自分も手を出してしまった」場合はどうなるか
相談の現場で多いのが、「先に手を出したのは相手だが、抵抗して自分も叩いてしまった」というケースです。この場合、被害を訴えることをためらったり、相手から「お互い様だ」と言われて泣き寝入りしたりする方が少なくありません。
刑事上の整理
自分の身を守るためにやむを得ず行った反撃は、正当防衛(刑法36条1項)として違法性が否定される場合があります。ただし、防衛の程度を超えていれば過剰防衛(同条2項)にとどまり、刑が減軽・免除され得るにすぎません。
また判例は、互いに攻撃し合ういわゆる喧嘩については、闘争の全体からみて正当防衛を認める余地がない場合があるという考え方を示しています。他方で、いったん争いが収まった後に相手が新たに攻撃してきた場面については、正当防衛が成立し得るとした判例もあります。つまり、「殴り返した」という事実だけで一律に結論が決まるわけではなく、経過の全体をどう評価するかの問題になります。
民亊上の整理
民事では、被害者側にも落ち度がある場合、その分だけ賠償額が減らされることがあります(過失相殺・民法722条2項)。裁判例では、挑発的な行為をした側について一定割合の過失を認めたものもあります。ただし、減額されるということは、裏を返せば請求自体は認められるということです。自分にも非があると感じている場合でも、請求を諦める必要はありません。
相手が先に被害届を出すこともある
相互に暴力があった事案では、相手が先に「一方的に暴行された」として被害届を出し、捜査機関がその説明を前提に動き始めることがあります。この展開を避けるためにも、経過を裏づける記録を早い段階で確保し、自分の行為も含めて正確に説明できるようにしておくことが有効です
刑事手続を進める場合の流れと注意点
相談先と手続き
まず警察に相談する場合は、緊急時は110番、それ以外は#9110を利用します。手続きとしては、被害届(犯罪の被害に遭った事実を申告するもの)と、告訴(犯罪事実の申告に加えて処罰を求める意思表示をするもの)があります。暴行罪・傷害罪はいずれも親告罪ではないため、告訴がなくても捜査・起訴は可能です。
もっとも、被害届を出せば必ず相手が逮捕される、というものではありません。逃亡や証拠隠滅のおそれがないと判断されれば、身柄を拘束しないまま捜査が進む(在宅事件)ことも多くあります。相談の段階で見通しを共有しておくと、期待とのずれを避けられます。
相手から示談を持ちかけられたとき
相手やその弁護人から示談を申し入れられた場合、次の点に注意してください。
- その場で署名しない:示談書は一度成立すると、後から覆すのが難しくなります
- 「宥恕」条項の意味を確認する:加害者を許し処罰を望まない趣旨の条項で、捜査機関の処分判断に影響します
- 提示額に応じる義務はない:金額は交渉事項であり、示された額を受け入れなければならないわけではありません
よくあるご質問
Q. 一度きりの暴力でも慰謝料を請求できますか。
回数は金額を左右する要素ですが、1回でも違法行為であることに変わりはありません。けがの程度や態様によっては、単発でも相応の賠償が問題になります。
Q. 別れた後でも請求できますか。
できます。交際が続いているかどうかと、過去の不法行為に対する請求権の有無は別問題です。ただし時効の期間には注意してください。
Q. 同棲していない恋人でも、裁判所の保護命令は使えますか。
配偶者暴力防止法の保護命令は、配偶者や事実婚のほか「生活の本拠を共にする交際相手」が対象とされており、同居していない交際相手は原則として対象外です。この場合はストーカー規制法や刑事手続、民事の接触禁止の取り決めなど、別のルートを検討することになります。
Q. 暴力の証拠を集めるために、相手のスマートフォンを勝手に見てもよいですか。
おすすめできません。他人のIDやパスワードを入力してログインする行為は不正アクセス禁止法に触れる可能性があり、立場が入れ替わってしまうおそれがあります。証拠集めは、自分の手元にある記録から進めてください。
まとめ
恋人からの暴力は、けがの有無によって暴行罪と傷害罪に分かれ、外形的な傷がなくても精神的機能の障害が生じていれば傷害と評価され得ます。民事の慰謝料請求は刑事手続とは独立しており、刑事事件にしない選択をしても請求は可能です。
一方で、交際関係の中の出来事は密室性が高く、時間が経つほど立証が難しくなります。自分にも手を出した経緯がある場合も含め、まずは記録を整理したうえで、どの手段を選ぶかを検討することをおすすめします。


