【問題解決】ビジネスで成果を上げる「仮説検証力」|ケースに学ぶ問題解決法 [問題解決力⑤]

弥左大志

弥左大志

テーマ:問題解決力

問題解決に取り組む際、「なんとなくこれが原因だろう」という漠然とした思い込みで対策を始めてしまうことはありませんか?
多くの時間と労力を費やしたにもかかわらず、期待した成果が得られなかったり、別の問題が発生したりする原因は、その“思い込み”にあるかもしれません。
ビジネスの現場で真の成果を出すためには、目の前の情報に惑わされず、問題の根本原因を正確に突き止める力が不可欠です。

知識と実践のギャップ:なぜ対策は「空回り」してしまうのか?


その背景には、問題解決の次のステップである「仮説検証」の欠如があります。
私たちはつい、現状把握で得られた情報から安易な結論を導き出しがちです。
しかし、その結論が本当に正しいのかを確かめなければ、効果的な対策は生まれません。

では、どうすればこのギャップを埋め、より本質的な問題解決ができるようになるのでしょうか?
その鍵となるのが、「仮説検証力」です。

「仮説検証」とは?:予測した事柄の真偽を確かめる力

「仮説検証」とは、限られた情報から最も可能性の高い要素や結論を「仮の結論=仮説」として設定し、その仮説に基づいて真偽を確かめることです。
これは、単なる勘や思いつきではなく、事実情報に基づいた実験や観察を通じて、予測した事柄や状況の真偽を確かめるプロセスです。

この仮説検証によって、あるべき姿とのギャップが大きく、問題の原因として強く想定されるものが、取り組むべき真の課題である可能性が高いと判断できるようになります。
問題解決のステップにおいて、「現状把握」で問題が特定された後、この仮説検証が真の課題を見つけ出すために不可欠となります。

【現状把握~仮説検証の事例】

  1. 問題:商品Dの売上が減少している
  2. 仮説(なぜ?):新規顧客が減っているから?リピート顧客が減っているから?
  3. 検証(本当に?):本当にそうか、データを基に確かめる。



  • 新規顧客が減っている → なぜ?→ 見込み客へのリーチ数が減っているから?
  • リピート顧客が減っている → なぜ?→ 顧客満足度が下がっているから?

このように「なぜ?本当に?」と問いを深掘りしていくことで、問題の根本原因(真因)を特定(≒仮説検証)していきます。
仮説検証

【簡易ケース】就活生の悩みを仮説思考で深掘りする


<ケーススタディ:ある悩める就活生の声>


内定数が目標(10社)に達していない就活生がいます。
現状分析の結果、内定数が8社不足していることが分かり、その要因として「やり方が分からない」という課題が見えてきました。
仮説検証
「やり方が分からない」という課題に対し、以下のような仮説が立てられます。

  • 【想定される仮説】
  1. 仮説①:手順が悪い
  2. 仮説②:行動量が少ない(★↓検証)
  3. 仮説③:行動の質が低い



【簡易ケース】仮説を検証し、真の課題を特定する(行動量を検証)


次に、先ほど立てた仮説のうち、「行動量が少ない」という仮説を検証するプロセスを考えてみましょう。

  • Q.「行動量が少ない」という仮説を検証するための「質問」と想定される「回答」を記載してください
  1. 仮説:行動量が少ない
  2. 実際どうなの?(検証): 

↑ヒント:就活生の行動量が本当に多いのか、少ないのか、ということを検証するためには、何を検証するべきでしょうか?
仮説検証

【回答例】<ケーススタディ:ある悩める就活生の声(仮説:「行動量」に対する検証)>


仮説 :行動量が少ない
実際どうなの?(検証):

  1. 理想の行動量は?_内定数10社を得るには、内定率10%(大学平均)だとすると、エントリー数は100社必要
  2. 現状の行動量は?_現在のエントリー数:40社
  3. 問題(ギャップ)は?_必要エントリー数:60社不足


このように、不足している行動量(エントリー数)が、60社不足しているということが、分かりました(検証)。
もし、明確に目標とのギャップが大きいと判明すれば、それは「課題」となる可能性が高いと判断できます。

仮説検証


【詳細ケース】業務における仮説検証のポイント:営業アポ取得の事例


仮説検証は、ビジネスのあらゆる場面で活用できます。ここでは、営業アポ取得を例に見ていきましょう。
<ケーススタディ:営業アポ取得の課題>

  • テーマ:営業アポ
  • 大ゴール:目標:1件アポ
  • 現状:現状:0件アポ
  • 問題:不足:1件アポ

アポ取得ができないという問題に対し、以下のような仮説を立て、検証します。

  1. 仮説①:アポが取得「できる気」がしていない(やる気)
  2. 仮説②:アポ取得するための「電話時間」が無い(時間)↓検証レベル1
  3. 仮説③:アポ取得の方法が悪い(やり方)↓検証レベル2


ケースA(レベル1):アポ電話時間がない(時間)という課題への仮説検証


  • Q. 「アポ電話時間が確保できていない」という仮説を、検証するための「質問」と想定される「回答」を記載してください。
  1. 仮説:行動量(電話時間)が少ない
  2. 実際どうなの?(検証):[/太字]

(※解答例はページの下部にあります)
仮説検証

ケースB(レベル2):アポ取得の方法が悪い(やり方)という課題への仮説検証


  • Q. 「アポ取得の方法が分からない(悪い)」という仮説を、検証するための「質問」と想定される「回答」を記載してください。
  1. 仮説:行動質(やり方)が悪い
  2. 実際どうなの?(検証)


(※解答例はページの下部にあります)
仮説検証

まとめ:仮説検証力で、迷わず、着実に問題解決を進める


問題解決は、闇雲に努力するだけでは成果に繋がりません。特に、複雑な問題ほど、まず「現状を正確に把握する」というステップが不可欠です。

仮説検証力を高めることで、複雑な状況から最も可能性の高い原因を特定し、事実に基づいてその真偽を確かめることができるようになります。これにより、的外れな努力を避け、より効果的かつ効率的に問題解決を進めることが可能となるのです。

仮説検証によって、漠然とした問題を具体的な課題に落とし込み、その課題が本当に解決すべきものなのか、目標との間にどれほどのギャップがあるのかを明確にすることができます。

そして、この仮説検証を通じて、あるべき姿とのギャップが最も大きいものが、取り組むべき課題(真因)である可能性が高いと判断できるのです。

「なぜ?」という問いを繰り返し、予測した事柄の真偽を確かめる力を養い、ビジネスにおけるあらゆる課題に迷いなく、着実に取り組んでいきましょう。

【ワーク解答例】

<営業アポ:ケースA(レベル1):アポ電話時間がない(時間)という課題への仮説検証>


仮説 :行動量が少ない
実際どうなの?(検証①):

  1. 理想の電話時間は?_ベンチマーク時間:約8時間
  2. 現状の電話時間は?_約7時間(他業務内訳_ロープレ・準備:1時間・事務処理:1時間)
  3. 問題(ギャップ)は?_1日あたり:1時間の不足


仮説検証
このように、不足している時間が、準備時間や事務処理時間の過剰によって引き起こされているのではないか、という仮説を立てて検証を進めます。
とはいえ、目標とのギャップが大きくない場合、それは「課題」となる可能性が"低い"と判断できます。

<営業アポ:ケースB(レベル2):アポ取得の方法が悪い(やり方)という課題への仮説検証>


・仮説 :アポ取得の方法が悪い(やり方)
アポ取得の方法が悪いという問題に対し、さらに以下のような“仮説を立て、検証”します。

  • ・実際どうなの?①(仮説):
  1. 仮説(1):コール準備が悪い(前工程・スクリプト・応酬話法等)
  2. 仮説(2):コール先が悪い(ターゲット・見込み・新規&既存先等)
  3. 仮説(3):コール方法が悪い(話し方・聞き方・内容)★検証↓
  • ・「仮説(3)」は実際どうなの?②(検証_例): コール方法が悪い
  1. 例えば「コール方法が悪い」という仮説を検証する場合、まず理想のコール方法と現状のコール方法を比較します。
  2. トップ営業の話し方やトーク内容、聞き方をベンチマークし、それに比べて自分のコール方法がどう違うのかを分析します。


仮説検証

ここで「トーク内容に一貫性がない」「相手の話を十分に聞けていない」といった具体的な問題点が明らかになれば、これが「課題」となる可能性が高いと判断できます。

このコラムは以下のような方におすすめです:

  • 組織改善やマネジメント力強化に取り組む経営層・管理職の皆様
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全社員で学ぶ問題解決スキル:エンゲージメント向上への道

これらの問題解決スキルは、研修を通じて体系的に学ぶことができます。

問題解決ステップ習得スキル一覧
考え方スキル提案思考、感情移入思考、集合天才思考
基礎能力スキル目標・ゴール思考、業務処理能力、共同業務力
現状把握スキル全体像把握力、定量情報収集・整理力、定性情報収集力
課題解決スキル仮説検証力、論理的思考力、コミュニケーション能力、問題(課題)解決力(メタ認知力)
優先順位付け・提案スキル伝達力、プレゼンテーション力、ビジョン構築力
実行・実行改善スキルリーダーシップ力、マネジメント力、実行・検証・改善(PDCA)

これらのスキルを全社員が習得することで、各々が課題に主体的に向き合い、解決策を生み出すことができるようになります。
問題解決
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社員一人ひとりが「自分ごと」として問題解決に取り組むことで、組織全体のパフォーマンスが最大化され、高い成果を継続的に創出できる企業へと発展していくでしょう。

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弥左大志
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弥左大志(経営コンサルタント)

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企業にあわせた「勝ちパターン」を見出し、誰でも再現できる仕組みを構築。研修を起点に、現場での実行までサポートします。120%以上の売り上げアップの実績を誇り、金融機関やファンド会社からの依頼も多数。

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