【問題解決】現状把握力とは?「あるべき姿」とのギャップを定量・定性で可視化|問題解決の第一歩 [問題解決力③]
成果を最大化する鍵:全社員で高める問題解決力とエンゲージメント
企業が持続的に成長し、高い成果を創出するためには、経営層から管理者、そして一般社員に至るまで、全社員が問題解決能力を高めることが不可欠です。
問題解決能力の向上は、
- 個人の業務遂行能力を高める
- 組織全体の生産性を向上
- 社員のエンゲージメント向上
にも繋がります。
本コラムでは、問題解決の全体像と、その核となる思考法、そして具体的な成果への繋がりについて解説します。
本質的な考え方・再現性あるフレームワークの提示
フレーム1:問題解決のロードマップ:発見から実行までのステップ
問題解決は、効率的かつ確実に目標達成に導くための体系的なプロセスです。
以下のステップを踏むことで、課題を明確にし、具体的な解決策を実行に移すことができます。
Step1: 目的・ゴール(定量・定性)の明確化
何を達成したいのか、どのような状態を目指すのかを具体的に設定します。
- 例えば、「売上を20%向上させる」「顧客満足度を10ポイント上げる」といった具体的な目標を設定することが重要です。
これにより、問題解決の方向性が定まります。
Step2: 現状(定量・定性)の正確な把握と問題抽出
目的設定後、現在の状況を客観的に分析します。
- データに基づいた定量的な情報(例:現在の売上、コスト)と、関係者の意見や顧客の声などの定性的な情報を収集し、目的との間のギャップを認識
このギャップこそが、解決すべき「問題」となります。
Step3: 課題検証・対策立案
特定された問題に対し、その真の原因を探ります。
- ロジカルシンキング(論理的思考)や関係構築力(他者との連携)を活用し、問題の根本原因を深く掘り下げる
真因が特定できたら、それに対する複数の対策の方向性を検討し、それぞれの有効性や実現可能性を評価した上で、最適な対策を立案します。
Step4: 優先順位付け・提案
立案した対策の中から、最も効果が高く、かつ実現可能なものに優先順位を付けます。
- その後、その対策を具体的なアクションプランとしてまとめ、関係者に提案
この際、プレゼンテーション能力やビジョンを明確に伝える力が求められます。
Step5: 実行・実行改善
立案・提案された対策を実際に実行に移します。実行するだけではなく、定期的にその効果を測定し、「PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Action)」を回しながら、継続的に改善を図ります。
- 社員が自律的に問題解決に取り組めるよう、「動機付け」も非常に重要
リーダーシップを発揮し、ポジティブな環境を構築することで、実行力を最大化します。
知識と実践のギャップ:なぜ問題解決は「絵に描いた餅」になるの
このステップは多くの管理職・リーダーが「知識」としては把握しているものの、実際に現場で説明したり、メンバーと一緒に使いこなしたりすることができていないケースが少なくありません。
その背景には、「なんとなくの感覚」で課題を捉え、「思いつきベース」で打ち手を決めてしまうという“属人的マネジメント”の慣習が存在します。
エンゲージメントの高いチームでは、課題に対する当事者意識や改善提案の頻度が明らかに違います。
「問題を見つけ、解決する」ことが、個人の挑戦・成長と結びついているからこそ、“やり切る力”が生まれるのです。
フレーム2:思考の質を高める:クリティカルシンキングとロジカルシンキングの活用
問題解決を効果的に進めるには、クリティカルシンキングとロジカルシンキングという2つの思考スキルが不可欠です。
クリティカルシンキング:「本当にそうなの?」と問い、深く掘り下げる思考
- 論理性:筋が通っているか?(矛盾、飛躍、必然性)
- 根拠・前提:情報や認識は確かか?(正確性、信頼性、客観性)
- 多角性:他に可能性はないか?(別の解釈、代替案、見落とし)
- 実現性:本当に有効で実践可能か?(有効性、資源、持続性)
ロジカルシンキング:「道筋立てて考える」ことで、結論を導き出す思考
- 全体像を捉える
- 構成要素に分解する
- 結論を導き出す
両者は密接に関わり、クリティカルシンキングで「本当にそれが答えか?」と問い、ロジカルシンキングで「言いたいことは分かるが納得できる説明か?」と筋道を確認することで、問題解決の精度は飛躍的に向上します。
問題解決力向上が生み出す具体的な成果:売上向上とコストダウンの事例
問題解決能力の向上は、個人のスキルアップに留まらず、企業の具体的な業績向上に直結します。
ここでは、営業における「売上向上」と事務における「コストダウン」の簡易事例を見ていきましょう。
1. 営業:売上向上のための問題解決
目的・ゴール
- 目的:全社の目標達成(全)・自分自身の成長(個)
- 目標:月間売上〇〇万円の達成
現状把握
- 定量:月間売上〇〇万円(内訳:行動の量・質)
- 定性:モチベーション・周囲との協力体制・仕組み
課題分析・仮説検証・真因特定
- 課題:やり方・やる時間・やる仕組みが無い…
- 仮説検証:社内ベンチマーク確認・数値検証 → 真因特定
対策の立案(優先順位)
- 短期:複数からスピード・コスト・インパクトで施策決定
- 中期:緊急度×重要度における優先順位付け
動機付け
- 外発的動機付:給与・社内評価の明確化(+協力関係)
- 内発的動機付:達成感・成長量・裁量権(発言力)
実行・検証・改善
- チェック体制:定期的チェック体制・フィードバック受領
- 対策アクション:複数改善アクションの選択肢・意思決定
個人の売上目標達成に向け、現状把握で不足を特定。
課題が「やり方・時間・仕組みの不足」にあると突き止め、スピードとコスト、インパクトを考慮した対策を立案・実行します。
動機付けも取り入れながら、PDCAサイクルで改善を継続することで、売上向上を実現します。
2. 事務:コストダウンのための問題解決
目的・ゴール
- 目的:全社の利益向上(全)・自分自身の成長(個)
- 目標:年間利益(コストダウン)〇〇万円の達成
現状把握
- 定量:現状コストの洗い出し
- 定性:組織モチベーション・周囲との協力体制・仕組み
課題分析・仮説検証・真因特定
- 課題:コストダウンのやり方・やる時間・やる仕組みが無い…
- 仮説検証:他社ベンチマーク確認・数値検証 ► 真因特定
対策の立案(優先順位)
- 短期:複数からスピード・コスト・インパクトで施策決定
- 中期:緊急度×重要度における優先順位付け
動機付け
- 外発的動機付:役職・社内評価の明確化(+協力関係)
- 内発的動機付:達成感・成長量・裁量権(発言力)
実行・検証・改善
- チェック体制:定期的チェック体制・フィードバック受領
- 対策アクション:複数改善アクションの選択肢・意思決定
コスト削減目標の達成に向け、現状のコストを洗い出し、課題を特定します。
こちらも「やり方・時間・仕組みの不足」が課題となる場合が多く、スピードとコスト、インパクトを考慮した対策を立案し、動機付けを促しながら実行・改善を繰り返すことで、コスト削減という成果に繋げます。
これらの事例が示すように、問題解決力は、個人や組織、顧客に対して「主体的」で「建設的」な行動を促し、設定した目標達成に大きく貢献します。
全社員で学ぶ問題解決スキル:エンゲージメント向上への道
これらの問題解決スキルは、研修を通じて体系的に学ぶことができます。
| 問題解決ステップ | 習得スキル一覧 |
|---|---|
| 考え方スキル | 提案思考、感情移入思考、集合天才思考 |
| 基礎能力スキル | 目標・ゴール思考、業務処理能力、共同業務力 |
| 現状把握スキル | 全体像把握力、定量情報収集・整理力、定性情報収集力 |
| 課題解決スキル | 仮説検証力、論理的思考力、コミュニケーション能力、問題(課題)解決力(メタ認知力) |
| 優先順位付け・提案スキル | 伝達力、プレゼンテーション力、ビジョン構築力 |
| 実行・実行改善スキル | リーダーシップ力、マネジメント力、実行・検証・改善(PDCA) |
これらのスキルを全社員が習得することで、各々が課題に主体的に向き合い、解決策を生み出すことができるようになります。
これは個人の成長に繋がり、仕事への主体性や達成感を高めることで、エンゲージメントの向上にも寄与します。
社員一人ひとりが「自分ごと」として問題解決に取り組むことで、組織全体のパフォーマンスが最大化され、高い成果を継続的に創出できる企業へと発展していくでしょう。
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