【問題解決】組織の問題解決力を底上げするクリティカルシンキング|実践チェックリスト付き [問題解決力②]

弥左大志

弥左大志

テーマ:問題解決力

【全社向け】「本当にそれで正しい?」クリティカルシンキングで問題解決の質を高める

「知っているけど使えていない」問題解決ステップの落とし穴

あなたは「〇〇という問題に対して、この対策で完璧だ!」と自信を持って言えますか?
実は、多くの管理職やリーダーが問題解決のステップを「知識」としては知っていても、現場でメンバーと共に使いこなし、質の高い解決策を導き出せていないケースが少なくありません。

知識と実践のギャップ:なぜ問題解決は「絵に描いた餅」になるのか?

その背景には、「なんとなくの感覚」で課題を捉え、「思いつきベース」で打ち手を決めてしまうという“属人的マネジメント”の慣習が存在します。
これでは、本当に解決すべき問題を見落としたり、的外れな対策に貴重な時間や資源を費やしたりするリスクが高まります。

では、どうすればこのギャップを埋め、より本質的な問題解決ができるようになるのでしょうか? その鍵となるのが、「クリティカルシンキング(批判的思考)」です。
クリティカルシンキング

鍵となる視点:「クリティカルシンキング(批判的思考)」

クリティカルシンキングとは、「物事や情報を無批判に受け入れるのではなく、多角的な角度から検討し、論理的・客観的に理解すること」を指します。
これは決して他者の欠点を指摘するための思考法ではなく、「本当にこれで正しいのか?」という視点を持って物事を見つめ、より正しい結論へと導くための強力なツールです。
クリティカルシンキングは、以下の4つの「思考の軸」で構成されます。
クリティカルシンキング

論理性:それは筋が通っているか?

  • 主張と根拠は論理的に繋がっているか?
  • 矛盾や飛躍はないか?
  • 結論は、その根拠から必然的に導き出せるか?

根拠・前提:その情報・認識は確かか?

  • 情報やデータは正確で信頼できるか?
  • 判断の前提となっている事実は正しいか?
  • 認識は客観的か?(偏見や感情が含まれていないか?)

多角性:他に可能性はないか?

  • 別の解釈や視点はないか?
  • 他に代替案や選択肢はないか?
  • 意図しない影響や、見落としているリスクはないか?

実現性:本当に有効で、実践可能か?

  • 目標達成に最も有効かつ現実的な一手か?
  • 本当に実行可能か?(資源、時間、体制、技術は十分か?)
  • 長期的に持続可能か?望む結果を生み出すか?

実践ステップ(クリティカルシンキング活用例)

この思考軸を実際に活用することで、初期に考えた対策がどのように進化するかを見てみましょう。
ここでは、よくあるビジネスシーンを想定し、クリティカルシンキングがいかに思考を深掘りし、より本質的な解決策へと導くかを解説します。

事例1:「生産性向上(テーマ)」に向けて「稼働を増やす(目的)」のために「システム導入をしよう!(対策)」

【背景と初期対策】

多くの企業で生産性向上が叫ばれる中、システム導入による業務効率化が検討されることがあります。
この時、「システムを導入して業務を効率化すれば、社員が本来やるべき業務(主体工数)により時間を割けるようになり、結果として生産性が上がるだろう」という発想が生まれます。
クリティカルシンキング

  • 初期対策: 「システム導入を検討」

【クリティカルシンキングによる深掘り】

この対策に対し、クリティカルシンキングの軸で問いかけます。

初期対策「システム導入を検討」この対策に対し、クリティカルシンキングの軸で問いかける
論理的に?「主体工数/総工数」を減らすことが、本当に稼働率向上に繋がるのか?
前提は正しい?そもそも「稼働率」が問題なのか?実は「パフォーマンス」が低いのが問題ではないか? (稼働率=主体工数/総工数、パフォーマンス=成果/主体工数、生産性=成果/総工数)
対策はそれだけ?役割分担、業務整理、時間管理といった他の方法は検討したか?
現実的?システム導入は難易度が高い。他に現実的な方法はないか?

【変化した対策イメージ】

  • 生産性向上に向けて、効率化システムの前に、一度「稼働率」ではなく「パフォーマンス」を見直してみよう。(目的を再定義するバージョン)

【補足】:クリティカルシンキングによって、問題の本質が稼働率ではなくパフォーマンスにある可能性が浮上しました。
これにより、システム導入という大きな一歩を踏み出す前に、より効果的で現実的な別の解決策に焦点を当てることが可能になります。
クリティカルシンキング

事例2:「売上向上(テーマ)」に向けて「行動の質を上げる(目的)」のために「ロープレをしよう!(対策)」

【背景と初期対策】

営業目標が未達の場合、「もっと営業の質を高めよう」「そのためにはロープレ(ロールプレイング)を繰り返すべきだ」という結論に至ることはよくあります。
ロープレは営業スキル向上に有効な手段であり、この対策自体は間違いではありません。

  • 初期対策: 「ロープレを実施する」

【クリティカルシンキングによる深掘り】

この対策に対しても、クリティカルシンキングの軸で問いかけます。

初期対策「ロープレを実施する」この対策に対し、クリティカルシンキングの軸で問いかける
論理的に?ロープレで「話し方」「内容」が向上すれば、本当に成果に繋がるのか?
前提は正しい?成功事例やトーク集の変更は必要ないか?
対策はそれだけ?トークの見直しや「行動量」はどうか?トップ営業は何をしているのか?
現実的?ロープレは現実的だが、他に良い方法はないか?

【変化した対策イメージ】

  • :成長するためのロープレは大切だが、「行動量」を再度見直してみよう、またはロープレをする前に、「うまくいっている人の手法を確認してみよう」。(対策を再度見直すバージョン)

【補足】:クリティカルシンキングを適用することで、単なるロープレの実施に留まらず、売上向上のためのより広範な要素(行動量や成功事例の分析など)に目を向けることができるようになりました。これにより、より多角的で効果的な営業戦略の立案が可能になります。
クリティカルシンキング

実践に向けたチェックリスト

  • □ その対策は、論理的に正しいか?
  • □ 判断の前提となる事実・データは正しいか?
  • □ 他に可能性・選択肢を検討したか?
  • □ 対策は現実的で、実行可能か?

最後に:問題の本質を見極め、本当に有効な解決策へ

このように、クリティカルシンキングを活用することで、表面的な対策に飛びつくのではなく、問題の本質や前提にまで立ち返り、多角的な視点からより現実的で有効な解決策を導き出すことが可能になります。
「なんとなく」のマネジメントから脱却し、クリティカルシンキングを組織全体で活用することで、社員一人ひとりが主体的に課題に向き合い、真に成果に繋がる問題解決を実現できるでしょう。

このコラムの内容は、以下のような企業様に特におすすめです:

  • 管理職研修・問題解決研修をご検討中の企業様
  • 属人的な課題対応から脱却したいとお考えの人事部・経営層
  • ロジカルな問題解決力を全社的にで底上げしたい中小・成長企業様

弊社では、管理職育成・問題解決力向上・組織マネジメント支援を一貫してご提供しています。
貴社にあった“再現性のある課題解決支援”をお求めの際は、お気軽にご相談ください。

全社員で学ぶ問題解決スキル:エンゲージメント向上への道

これらの問題解決スキルは、研修を通じて体系的に学ぶことができます。

問題解決ステップ習得スキル一覧
考え方スキル提案思考、感情移入思考、集合天才思考
基礎能力スキル目標・ゴール思考、業務処理能力、共同業務力
現状把握スキル全体像把握力、定量情報収集・整理力、定性情報収集力
課題解決スキル仮説検証力、論理的思考力、コミュニケーション能力、問題(課題)解決力(メタ認知力)
優先順位付け・提案スキル伝達力、プレゼンテーション力、ビジョン構築力
実行・実行改善スキルリーダーシップ力、マネジメント力、実行・検証・改善(PDCA)

これらのスキルを全社員が習得することで、各々が課題に主体的に向き合い、解決策を生み出すことができるようになります。
問題解決
これは個人の成長に繋がり、仕事への主体性や達成感を高めることで、エンゲージメントの向上にも寄与します。
社員一人ひとりが「自分ごと」として問題解決に取り組むことで、組織全体のパフォーマンスが最大化され、高い成果を継続的に創出できる企業へと発展していくでしょう。

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弊社(株式会社バリュー・コア・コンサルティング)では、以下5つのサービスを提供しております。

  1. 総合経営コンサルティング
  2. 勝ちパターン構築プログラム
  3. ワークショップ型 リアル研修プログラム
  4. ワークショップ型 eラーニング型 研修プログラム
  5. 講演・セミナー 開催

取材のご依頼や各種サービスに関するご相談・ご質問などに関し、『無料でご相談(オンライン)』をお受けしております。
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弥左大志
専門家

弥左大志(経営コンサルタント)

株式会社バリュー・コア・コンサルティング

企業にあわせた「勝ちパターン」を見出し、誰でも再現できる仕組みを構築。研修を起点に、現場での実行までサポートします。120%以上の売り上げアップの実績を誇り、金融機関やファンド会社からの依頼も多数。

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