【問題解決】ビジネスで成果を上げる「仮説検証力」|ケースに学ぶ問題解決法 [問題解決力⑤]
目次
問題解決の第一歩:全体把握力で真の課題を見つける!
問題解決とは、複雑な状況を整理し、本質的な課題を捉え、的確に対応するプロセスです。
ビジネスの現場でも「課題解決力が大切」という認識は広がっていますが、いざ実践となると多くの人がこのような悩みに直面します。
- 「何から着手すべきか分からない」
- 「考えているうちに時間ばかり過ぎる」
- 「結果として、部分最適の改善で終わってしまう」
このような現象は、「知識はあるが、実践できていない」という状態を示しています。
知識と実践のギャップ:なぜ問題解決は「絵に描いた餅」になるのか?
その背景には、「なんとなくの感覚」で課題を捉え、「思いつきベース」で打ち手を決めてしまうという“属人的マネジメント”の慣習が存在します。
その結果──
- 本質的な課題を捉えきれず、表面的な対応に終始してしまう
- 解決策の打ち手が思いつき頼みになり、再現性がない
- メンバーに「考える力」が育たず、当事者意識も生まれない
では、どうすればこのギャップを埋め、より本質的な問題解決ができるようになるのでしょうか?
その鍵となるのが、「全体把握力」です。
「木を見て森も見る」:全体把握力で複雑な問題を整理する
「全体把握力」とは、物事を抽象化して捉え、必要な要素を大きなまとまりでざっくりと考える能力を指します。
これを言い換えれば、「何かを構成する要素を大きなまとまりでざっくりと考える方法」です。
複雑な問題に直面したとき、目の前の小さな事象ばかりに囚われてしまうと、問題の本質を見失いがちです。全体把握力を活用することで、以下のメリットが得られます。
- 間違った課題の把握リスクを軽減 部分的な情報に惑わされず、問題全体の構造を理解できます。
- 必要な要素の漏れをなくす 漠然とした事柄から、具体的な構成要素を網羅的に洗い出せます。
- 本当に重要な項目を見逃さない 全体像を把握することで、最も影響力の大きいボトルネックや真因を特定しやすくなります。
- 最適な現状把握を実現 漠然とした状況を整理し、問題解決に必要な情報を効率的に収集・整理できます。
ケーススタディで見る「全体把握力」の実践法(簡易ケース)
【簡易ケース】全体把握力の活用事例:就職活動の悩みを構造化する
例えば、「ある悩める就活生」のケースを考えてみましょう。
- 「就活を始めたけど、悩み尽きなくて大変。」
- 「自分のやりたい仕事の見つけ方が分からない」「ES(書類選考)が通らない」「焦りや不安に追われる」
- 「面接に行っても、自分のアピールポイントが分からない」「内定をもらえない」
- 「周りの就活生と比べてしまう」「就職活動にお金がかかるのが不安」「服装・髪型の正解が分からない」

このような漠然とした悩みを抱える就活生に対し、全体把握力を使ってアドバイスする場合、以下の視点から整理できます。
1.手順が間違っているかもしれない: 就職活動全体の「手順・行動量」に問題があるのではないか?
- 準備段階:自己分析、業界研究・企業研究、3つの論点の整理(志望動機/自己PR/学生時代頑張ったこと)、ES作成、テスト対策。
- 実践段階:インターン、OB訪問、リクルーター面談、本選考。
このように手順を分解することで、どこにつまずいているのかを具体的に特定しやすくなります。
2.行動量や行動の質が十分か?: 内定に向けた「行動量」や「行動の質」は十分か?
- 内定数を「エントリー数」から「面接通過数」まで分解して考えます:内定数 = エントリー数 × 書類通過数 × 面接数 × 面接通過数
- さらに、それぞれのステップには「通過率」という視点も加わり:内定数 = 母数 × 書類通過率 × 面接率 × 面接通過率とも分解できます
各ステップにおける「通過数」や「通過率」を分析することで、どのフェーズでボトルネックが発生しているのかを明確にし、そこに集中的に改善策を講じることができます。
ケーススタディで見る「全体把握力」の実践法(実務ケース)
【実務ケース】全体把握力のワークイメージ:構成要素の検討
では実際に、具体的な項目を「構成する要素」として分解するワークをイメージしてみましょう。
これは、複雑な事象をロジカルに整理し、現状把握の質を高めるために非常に有効です。
Q1. 以下の事項を、「構成する要素」で考えてください。
【ワーク】
- 生産性
- パフォーマンス(例:アポ取得)
- モチベーション
【回答事例】
■生産性
- 生産性 = アウトプット / インプット = 成果 / 時間(総工数)
- または、 生産性 = (主体工数 / 総工数:稼働率) × (成果 / 主体工数:パフォーマンス)
生産性は、投下した資源(インプット)に対して得られた結果(アウトプット)の割合で測られます。
これをさらに分解すると、実際に業務に費やした時間(主体工数)の割合である「稼働率」と、その時間でどれだけの成果を出せたかという「パフォーマンス」に分けることができます。
■パフォーマンス(例:アポ取得)
- プロセス系での分解例:アポ獲得 = 接客数 × アンケート受領数 × 課題ヒアリング数 × 50分面談数
- アポ取得セールス系での分解例:アポ獲得 = コール数 × 通話率 × 提案率 × アポスピード
「アポ取得」という成果一つとっても、様々なプロセスや活動の積み重ねで成り立っています。このように分解することで、どのプロセスに課題があるのかを明確に特定しやすくなります。
■モチベーション
- 会社への信頼・共感
- 他者の存在
- 外発的動機付け
- 内発的動機付け
モチベーションは非常に複雑な要素ですが、このように「会社」「他者」「外発的要因」「内発的要因」といった大きな塊に分け、さらに具体的に分解することで、社員のモチベーションを向上させるための具体的な施策を検討しやすくなります。
Q2. 以下の事項を、「必要な要素」で考えてください。
【ワーク】
- 意思決定時(何かを決める)
- お客様との対話(セールス)時に必要な要素
- お客様が意思決定をするための要素
【回答事例】
■意思決定時
意思決定のための要素(優先順位のSCI)
- スピード:成果が早い
- コスト:費用が少ない
- インパクト:成果が大きい
何かを決定する際には、これらの要素を複合的に考慮し、最も効果的かつ効率的な選択肢を選ぶことが求められます。
■お客様との対話(セールス)時
セールス時に必要な要素(バーバル・ノンバーバル)
- 内容:トーク内容(整理されているか、ロジカルか)
- 聞き方:頷き方、姿勢、表情、目線など
- 話し方:トーン(高低)、リズム(話すスピード、間)、大きさ、口調、口癖
- 見た目:服装、髪型、姿勢、視線、動作、表情
顧客との対話は、単に情報を伝えるだけでなく、非言語情報も重要です。これらの要素を分解することで、営業スキルの課題を具体的に特定し、改善に繋げることができます。
(参考)その他にも、お客様との信頼関係を結ぶために必要な要素は、
- 誠実である(嘘を付かないと感じられる)
- 話しの筋が通っている(言っていることの辻褄が合っている)
- 共感できる(営業マンの考え方や信念を共感できる)
なども存在します。
■お客様の意思決定
顧客が意思決定をする2つの理由
- ① 避けられる損失:このままだと、〇〇のような損失が発生してしまう…それを避けるために、〇〇の意思決定が必要…
- ② 得られる利益:〇〇の意思決定をすることで、〇〇を得ることができる!〇〇によって、これくらいの利益が出る!
顧客が何かを購入したり、サービスを導入したりする際、大きく分けて「損失回避」と「利益獲得」という2つの動機があります。この視点を持つことで、顧客へのアプローチ方法を最適化できます。
まとめ:全体構造で見る力が、問題解決の起点となる
先程のような全体感を持つことで、今まで問題点(うまくいかない要因)と考えていたもの以外を捉えることが可能となります。
「木を見て森も見る」──これはリーダーも含め、従業員全員にとって欠かせない視点です。
構造で捉え、整理し、要素を的確に拾い上げる「全体把握力」があることで、
- 課題は“全体の中の一部”として正しく位置づけられ
- 改善は“局所ではなく組織全体”に波及する
- メンバーも“当事者”として課題に関われる
結果として、個人の力ではなく、チーム全体で成果が出る仕組みが育ちます。
このコラムは以下のような方におすすめです:
- 組織改善やマネジメント力強化に取り組む経営層・管理職の皆様
- 複雑な課題に対して構造的にアプローチしたい方
- チームで“成果が出る問題解決力”を育てたいリーダー層
弊社では、管理職育成・問題解決力向上・組織マネジメント支援を一貫してご提供しています。
貴社にあった“再現性のある課題解決支援”をお求めの際は、お気軽にご相談ください。
全社員で学ぶ問題解決スキル:エンゲージメント向上への道
これらの問題解決スキルは、研修を通じて体系的に学ぶことができます。
| 問題解決ステップ | 習得スキル一覧 |
|---|---|
| 考え方スキル | 提案思考、感情移入思考、集合天才思考 |
| 基礎能力スキル | 目標・ゴール思考、業務処理能力、共同業務力 |
| 現状把握スキル | 全体像把握力、定量情報収集・整理力、定性情報収集力 |
| 課題解決スキル | 仮説検証力、論理的思考力、コミュニケーション能力、問題(課題)解決力(メタ認知力) |
| 優先順位付け・提案スキル | 伝達力、プレゼンテーション力、ビジョン構築力 |
| 実行・実行改善スキル | リーダーシップ力、マネジメント力、実行・検証・改善(PDCA) |
これらのスキルを全社員が習得することで、各々が課題に主体的に向き合い、解決策を生み出すことができるようになります。
これは個人の成長に繋がり、仕事への主体性や達成感を高めることで、エンゲージメントの向上にも寄与します。
社員一人ひとりが「自分ごと」として問題解決に取り組むことで、組織全体のパフォーマンスが最大化され、高い成果を継続的に創出できる企業へと発展していくでしょう。
【会社案内・サービス概要資料】をすぐにご覧いただけます
当社の特徴や提供サービスをまとめた「会社案内・サービス概要資料」と「無料相談のご案内」をご用意しています。
「会社案内の資料」はフォーム入力なしで、すぐに内容をご確認いただけます。
ご検討中の企業様へ(1)|VCCの会社案内・サービス全体像ダウンロード
▼無料ダウンロードはこちら(フォーム入力なし)
「会社案内・5つのサービス」PDFを ”今すぐダウンロード” する
※ パスワード「 VCC2025 」を入力してください
ご検討中の企業様へ(2)|無料相談(予約制)のご案内
弊社(株式会社バリュー・コア・コンサルティング)では、以下5つのサービスを提供しております。
- 総合経営コンサルティング
- 勝ちパターン構築プログラム
- ワークショップ型 リアル研修プログラム
- ワークショップ型 eラーニング型 研修プログラム
- 講演・セミナー 開催
取材のご依頼や各種サービスに関するご相談・ご質問などに関し、『無料でご相談(オンライン)』をお受けしております。
以下フォームより、お気軽にお問い合わせください。
▼無料相談 予約URLはこちら
>無料相談(WEB)の日程調整をする
【First Step】前工程として必要な全社『問題解決』の手法を知りたい方はこちら
- 【問題解決①】問題解決で高めるエンゲージメント──“成果が出る”課題解決手法とは?
- 【問題解決】全社で成果を最大化! クリティカルシンキングで高める組織エンゲージメント [問題解決力②]
- 【問題解決】問題解決は「正確な現状把握」から!定量・定性の両面で真の課題を見つけ出す [問題解決力③]
【Next Step】次に必要な全社『問題解決』の手法を知りたい方はこちら
【First Step】前工程としての『マネジメント』手法を知りたい方はこちら
- 【実マネ① | 基本】管理職が育たないのはなぜ?マネージャー向け”人材育成5原則”
- 【実マネ② | 対策_絞込】部下が”やりきれない”…。「成果の出る"SCI"優先順位付け
- 【実マネ③ | 課題_特定】部下の“課題”が分からない…。課題特定3要素の導入ステップ
- 【実マネ④ | 目標_設定】目標設定がズレていませんか?“成果につながる“KPI設定3視点
- 【実マネ⑤ | 行動_やり切らせる】「やり切れない部下」を”最後までやりきらせる”行動管理
- 【実マネ⑥ | 成長_促進】部下育成で「なぜ学びが定着しないのか?」 “成長マネジメント
- 【実マネ⑦ | 案件_サポート】「同じ相談が繰り返される…」脱却!1on1で部下育成に効く案件管理
- 【実マネ⑧ | モチベーション】部下の“やる気が出ない”のは“視点のズレ”? モチベーション管理
- 【実マネ(統合) | PDCA】PDCAが回らない本当の理由とは?成果が出る“高速PDCA”の実践法
【First Step】前工程としての『リーダーシップ』手法を知りたい方はこちら
- 【リーダー① | 基本】“人望”ある管理職・経営層が実践するリーダーシップ4Eとは?
- 【リーダー② | エネルギー】管理職が持つべき「情熱」とは何か?エネルギー言語化6要素
- 【リーダー③ | エネルギー】熱意があるのに伝わらない。管理職が陥りやすい落とし穴と“内面3軸”
- 【リーダー④ | エナジャイズ】組織エネルギーを高める!優秀管理職のエナジャイズ仕組と育成法
- 【リーダー⑤ | エッジ】厳しい意思決定を恐れない:チームを動かす“エッジ”の実践フレームとは
- 【リーダー⑥ | エグゼキュート】「やり切る力」を成果に変える実践フレームと行動基準
- 【リーダー⑦ | 理念浸透】理念浸透しない組織は伸びない?“組織文化醸成”のステップ
- 【リーダー⑧ | スタンス】優秀管理者のスタンス・マインドとは?—4E+「経験学習×探求思考」実践法
- 【リーダー⑨ | エンゲージメント】生産性を変える──リーダーが取り組むべき仕組みと実践法





