著作権者の行方がわからない場合
プロシード国際特許商標事務所の弁理士の鈴木康介です。
先日、ジブリが場面写真の無償提供を始めました。
その理由の一つとして、使われない作品は忘れられてしまうということがあるようです。
私もそう思います。
著作物は使われなければ消えてしまいます。
高校時代に好きだった本をまた書いなおそうと探しても、絶版しており再度購入することが
難しくなっています。
ところで、著作権の保護期間が長いと創作意欲が増大するという話があります。
これは本当でしょうか?
2008年に出版された本ですが、著作権の保護期間について
経済的に分析された本があります。
「著作権の保護期間 延長は文化を進行するか?」
という本です。
ちょうど著作権の保護期間を50年から70年にするという議論がされていた頃に出版されました。
この本の中では、著作者の死後にどの程度出版されるかなどの研究がされています。
例えば、生前出版点数が100点以上の著作者48名のデータを用いた研究では、
生前9537点の作品が出版されました。
これが死後10年で何点出版されていると思いますか?
なんと1,499点です。
50年後には、300点しか出版されていません。
また、Eldred vs Ashcroft事件でノーベル経済学賞をとった5名の経済学者を含むグループは
意見書の中で、遠い将来の収益の割引き現在価値は極めて低く、
50年から70年に延長しても、現在割引経済価値は0.33%上昇すぎないと述べたという
事例が紹介されていました。
あまりにも長すぎる著作権ですと、作品が使われずに忘れ去られている
危険性が高まります。
例えば、死後に権利行使するためには、著作権登録が必要とすると、
経済価値が高い作品は登録料を納付するでしょうから、守られますし、
遺族が登録料を納付する必要がないと思った作品はパブリックドメインに
早く移行しますから、利用される可能性が高まり、消えにくくなるのではないでしょうか?
参考:著作権の保護期間
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弁理士 鈴木康介(特定侵害訴訟代理権付記)
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