ハラスメントを減らすことは、「何も注意できない職場」をつくることではありません
前回のコラムで、「ハラスメントを減らすことは、
『何も注意できない職場』をつくることではありません」
と書きました。
では、どう注意すればいいのでしょうか。
今回は、その具体的な方法です。
なぜ「注意するのが怖い」職場が増えているのか
研修の現場で、管理職の方からよく聞く声があります。
「注意したら、パワハラだと言われそうで怖い」
「言いたいことの半分も言えない」
気持ちはよく分かります。
ただ、注意を避け続けた職場では、別の問題が起きます。
ミスが放置され、真面目に働く人の不満がたまり、
結局、誰も声を上げないまま職場の空気が悪くなっていくのです。
注意は、ハラスメントではありません。
問題は「注意するかどうか」ではなく、「どう注意するか」です。
大原則:人格ではなく、事実と行動に
ハラスメントになる注意と、ならない注意。
その分かれ目は、言葉が「人格」に向いているか、
「事実と行動」に向いているかです。
「何度言ったら分かるの?」
「やる気あるの?」
これは、人格への評価です。
相手は責められたと感じ、防衛的になります。
一方で、事実と行動に基づいて話せば、相手は「何を直せばいいのか」が分かります。
注意の言葉には「順番」があります
私が研修でお伝えしている、注意の言葉の順番はこの4つです。
事実を具体的に伝える
「昨日の報告書、締め切りの16時を過ぎて、18時に出てきました」
影響を伝える
「そのため、取引先への連絡が遅れてしまいました」
期待と提案を伝える
「次からは、遅れそうになった時点で、一度相談してください」
相手の話を聞く
「何か事情がありましたか?」
最後の「聞く」を忘れないでください。
伝える力は、話す力だけではありません。
相手の言い分を聞き、伝わったかどうかを確かめるまでがセットです。
伝える力 = 相手を思う力 × 届ける力 × 確かめる力
この順番で話すだけで、注意は「攻撃」から「育成」に変わります。
場所と、感情の温度も大切です
もう2つ、現場で大切なことがあります。
1つは場所。人前での注意は、内容が正しくても、
相手には「晒された」という感覚が残ります。
注意は個別に、が原則です。
もう1つは、感情の温度です。
怒りが頂点にあるときに発した言葉は、どんなに正しくても届きません。
感情が上がっていると感じたら、一呼吸置く。
その数秒が、言葉の届き方を変えます。
まとめ
注意できる職場は、健全な職場です。
怖いのは「注意すること」ではなく、「人格を責める言葉」や「感情のままの言葉」です。
事実を伝える順番を守り、最後に相手の話を聞く。
それだけで、注意は部下を追い詰めるものから、育てるものに変わります。
注意をやめるのではなく、注意の言葉を選ぶ。
それが、言葉で人が育つ職場への第一歩だと思います。
(浪越あゆみ/ハラスメント防止・伝える力研修講師。管理職向け研修・ハラスメント防止研修のご相談は、
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