ハラスメントを減らすことは、「何も注意できない職場」をつくることではありません

浪越あゆみ

浪越あゆみ

テーマ:ハラスメント

徳島で15年間、企業や学校、医療機関などで研修や授業を行い、
これまで5万人以上の方に「言葉」と「人との関わり方」についてお伝えしてきました。


ハラスメント防止研修に携わる中で、被害を受けた方だけでなく、
行為を指摘された側の方とお話しする機会もありました。


その中で、何度も耳にしてきた言葉があります。

「冗談のつもりだった」
「周りも言っていたので、いつものノリだと思った」
「お酒の席だから、これくらいは大丈夫だと思った」
「相手も笑っていたので、嫌がっているとは思わなかった」
「自分たちが若い頃は、これくらい当たり前だった」

しかし、昔の当たり前が、今の当たり前とは限りません。


言った側に悪気がなかったとしても、受けた人の傷がなくなるわけではありません。
だからこそ、今の時代に合った関わり方や伝え方を学び、これまでの常識を見直していくことが必要です。

指導する側も悩んでいます


一方で、ハラスメントに悩んでいるのは、部下や若手社員だけではありません。

企業研修や経営者・管理職の方との面談では、次のような声も多く聞きます。

「どこまで厳しく言ってよいのか分からない」
「注意しただけで、ハラスメントだと思われるのではないか」
「何も言えなくなってしまった」
「若手社員が本音を話してくれない」
「世代が違い、会話が続かない」
「若い社員がなかなか定着しない」

部下を育てたい。
必要なことは、きちんと伝えたい。
しかし、伝え方を間違えて傷つけてしまうことは避けたい。

その間で悩み、指導する側が一人で抱え込んでいる職場も少なくありません。

ハラスメント防止は「指導をしないこと」ではありません

ハラスメントを減らすことは、何も注意できない職場をつくることではありません。

部下を甘やかすことでも、問題を見て見ぬふりすることでもありません。

仕事をするうえで必要な注意や指導は、きちんと行う必要があります。ただし、相手の人格や尊厳を傷つけてはいけません。

大切なのは、自分の苛立ちや感情をそのままぶつけるのではなく、相手の成長につながる言葉に変えて伝えることです。

「伝えた」と「伝わった」は違います。


何を言うかだけではなく、誰に、どのような言葉で、どのタイミングで伝えるのか。
相手が受け取れる形に整えて伝えることが、これからの管理職に求められる指導力だと考えています。


小さなSOSを見過ごさない職場へ

先日、徳島県内で亡くなった19歳の男性が、遺書の中で職場でのパワーハラスメントを訴えていたと報道されました。

現時点では事実関係が調査されている段階であり、外部にいる私たちが誰かを一方的に責めたり
出来事の真相を決めつけたりすることはできません。

それでも私は、この出来事を人ごとだとは思えませんでした。

亡くなった男性は、私が普段授業で関わっている学生たちと同じ世代です。
また私は、高校卒業後に就職する生徒たちへの就職ガイダンスにも長年携わってきました。

「私に、もっとできることがあるのではないか」

報道に触れて以来、考え続けています。

私が増やしたいのは、次のような職場です。

・困ったときに、安心して「助けてください」と言える職場
・失敗しても、そこから学び直すことができる職場
・若い人が安心して学び、挑戦し、成長できる職場
・指導する側も、一人で抱え込まずに相談できる職場
・小さな変化やSOSを、周囲が見過ごさない職場

深刻な状況になってからではなく、まだ言葉にできるうちに、その人の声を聴く。
笑っているから大丈夫だと決めつけず、その人の表情や変化に目を向ける。

それは、職場で働く一人ひとりの命と尊厳を守ることにつながります。

一人の言葉が、職場の未来を変えていく

一人の管理職が、部下への言葉を変える。
一人の社員が、同僚の小さなSOSに気づく。
一つの企業が、自社の職場環境を見直す。

その一つひとつの積み重ねが、安心して働ける職場をつくり、徳島の未来を変えていくと私は信じています。

ハラスメント防止は、問題が起きた後だけに取り組むものではありません。

普段から安心して話せる関係をつくること。
適切な褒め方や注意の仕方を学ぶこと。
相談できる環境を整えること。
管理職だけに問題を抱え込ませないこと。

日頃の職場づくりそのものが、ハラスメントを防ぐ土台になります。

徳島の企業の皆様と、一緒に考えたい

2026年10月11日、アオアヲ ナルト リゾートにて、
西村博さんと「褒める力×伝える力~人生と組織を変える特別講演会~」を開催します。
講演会詳細はこちら
この講演会は、今回の出来事を受けて企画したものではありません。
報道される以前から準備を進めてきた講演会です。

しかし今回の出来事を受け、西村さんや運営スタッフと、
私たちが「褒める力」と「伝える力」を届ける意味について、改めて深く考えました。

褒める力とは、相手をただ持ち上げたり、甘やかしたりすることではありません。
その人の努力や可能性を認め、次の一歩を支える力です。

伝える力とは、強く言い聞かせることではありません。
必要なことを、相手の心に届く言葉に変えて伝える力です。

この講演会を、誰かを責めるためではなく、理不尽な扱いを減らし、
誰もが安心して働き、成長できる職場について考える時間にしたいと思っています。

「社員が安心して働ける職場をつくりたい」
「管理職の指導力や伝える力を高めたい」
「若手社員の離職を減らしたい」
「社内のハラスメント防止を、形だけで終わらせたくない」

そのように考えている経営者、管理職、人事・教育担当者の皆様。私たちと一緒に、
徳島から安心して働ける職場を増やしていきませんか。

講演会への企業参加や、ハラスメント防止・コミュニケーション研修についてのご相談も承っています。

取り返しのつかない状況になる前に、小さなSOSに気づける職場を、一緒につくっていきましょう。

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

浪越あゆみ
専門家

浪越あゆみ(マナー講師)

マナーアドバイザー

『理不尽な扱いを終わらせる専門家』言い返さず、我慢もしない。圧の強い相手にも飲み込まれず、言葉・受け取り方・表情・立ち居振る舞いを整え、賢くしなやかに自分を守る力を育てます。

浪越あゆみプロは四国放送が厳正なる審査をした登録専門家です

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

元CAがお伝えする接客・ビジネスマナーのプロ

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ徳島
  3. 徳島のくらし
  4. 徳島の文化・教養・カルチャー
  5. 浪越あゆみ
  6. コラム一覧
  7. ハラスメントを減らすことは、「何も注意できない職場」をつくることではありません

浪越あゆみプロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼