自宅を買うのも立派な不動産投資であります。
減価償却費と簿価
前回のコラムの続きです。
不動産投資を行う場合、建物の減価償却費が多くあれば経費が増えるので相対的にCF(キャッシュフロー)は増える計算になります。
ただし、将来的に物件を手放す時には建物の簿価を知っておく必要があります。
「簿価」というのは帳簿価額のことで、買った時の価格から減価償却をしていた場合、毎年の減価償却が進んでいくと建物簿価が減っていくことになります。
どういうことか簡単に説明します。(譲渡費用などの細かい計算は省いてます)
例えば、4000万円の木造アパート建物と1000万円の土地を買って5年後に売却した場合で考えてみます。
木造アパートの減価償却(耐用年数)20年とし、毎年減価償却費を200万円計上しました。
この場合、5年間で1000万円減価償却を計上したので建物簿価は、
4000万円-1000万円=3000万円になります。
よって、売却時は建物価格3000万円と土地価格1000万円=4000万円より高く売れた場合譲渡所得税がかかることになります。
減価償却による建物簿価を計算しないで単純に買値が5000万円で売値が4500万円でした。
この場合、買値より売値が安いから税金はかからないと思っている方もいらっしゃいますが
これは間違いなのでご注意ください。
不動産投資の成功は売却しないとわからない
保有期間中の税率が同じ場合で、減価償却費を毎年取っていた場合、保有期間はその分税金は安くなります。
その後、購入金額と同額で売却できたとします。
この場合、建物の簿価が減価償却により減少するので売却益が多く発生することになります。
毎年のCF(インカムゲイン)を増やすのには減価償却費が多い方が良いのですが、逆に売却時には税務上の利益が多くなりキャピタルゲインへの課税が高額になります。
このことは売却を検討する場合注意が必要ですが、結局のところは最後に税金を取られるので税負担はほぼトントンになる場合が多いと思います。
次購入する方のことを考えると。
今の所、金融機関は耐用年数の残年数しか返済期間を取ってくれない場合がほとんどです。
耐用年数は、木造20-22年、重量鉄骨34年、鉄筋コンクリート造で47年となります。
ということはあまり古い物件だと長期間の融資が難しくなり売却しにくくなります。
借り入れがなければ関係ありませんが普通は金融機関から借入して投資する方がほとんどです。
売却する時期も簿価と共に考えておく方が良いですね。