混乱を整理する3つのステップ【コンサルの視点16】

経営相談を受けていると、よくこんな質問をいただきます。
「先生なら、どうしますか。」
相談を受ける立場としては、ごく自然な問いです。そして、その場ですぐに答えを示したほうが、頼りになるコンサルタントに見えるのかもしれません。
しかし私は、この問いに対して、すぐに結論を伝えることはあまりありません。
もちろん、答えを持っていないわけではありません。これまで多くの企業を支援してきた経験から、「おそらくこの方向だろう」という考えは頭に浮かびます。
それでも、まずは話を聞きます。
会社の歴史を聞きます。
数字を見ます。
現場の様子を見ます。
そして、「なぜ今、その判断に迷っているのか」を一緒に考えます。
それは、経営に万能の正解は存在しないからです。
例えば、「売上を伸ばしたい」という相談一つをとっても、その背景は会社によってまったく異なります。
ある会社では営業体制の問題かもしれません。
別の会社では利益率の低い仕事が増えすぎているのかもしれません。
また別の会社では、社長が現場に入りすぎて、新しい仕事をつくる時間を失っていることもあります。
表面上は同じ「売上を伸ばしたい」という相談でも、本当に向き合うべき課題はそれぞれ違います。
だから私は、最初から答えを出そうとはしません。
むしろ、「本当に考えるべき問いは何か」を探すことから始めます。
経営者の方と話をしていると、最初に相談された内容とはまったく違うところに、本当の課題が見つかることは珍しくありません。
本人も気付いていなかった思い込み。
長年当たり前になっていた仕事の進め方。
誰も疑わなかった前提。
それらが整理されると、経営者自身の表情が変わります。
「そういうことだったのか。」
その一言が出た瞬間、私の役割の半分は終わっています。
私は、コンサルタントとは「答えを教える人」ではなく、「経営者が自ら判断できる状態をつくる人」だと考えています。
AIの進歩によって、知識やノウハウは以前より簡単に手に入るようになりました。
調べれば、多くの答えが見つかる時代です。
だからこそ、これから価値を持つのは、「どの答えを選ぶか」を一緒に考えられる存在ではないでしょうか。
答えは、経営者自身が出すものです。
その答えが自分の言葉になり、自分の意思になるまで伴走すること。
それが、私が考える経営コンサルタントの仕事です。
だから私は、今日もすぐには答えを出しません。
答えを急ぐよりも、その会社にとって本当に大切な判断ができる状態を、一緒につくっていきたいと考えているからです。


